女子日本代表が迎えるオールジャパン=天皇杯・皇后杯バスケ第5日

小永吉陽子

プレーに精彩さを欠く最終予選組

準々決勝で対戦した大神雄子(JOMO、左)と小磯典子(アイシン・エィ・ダブリュ)。五輪予選後は乗り切れない時期もあったが、今大会には調子を合わせてきた。 【(C)JBA】

 5日にベスト4が出そろい、佳境を迎えた天皇杯・皇后杯全日本総合バスケットボール選手権(オールジャパン)。準決勝を前に、女子ベスト4チームの主力である「日本代表選手」の戦いぶりにスポットを当ててみたい。

 北京五輪が開催された2008年。女子代表は6月にスペインで行われた五輪世界最終予選に出場したが、出場権を得ることはできなかった。
 その後、08年10月から女子日本リーグ(Wリーグ)が始まったが、ここまでの戦いぶりを見ると、最終予選に出場した選手たちのプレーに精彩のなさが目立つ。それは、最終予選に一度ピークを持ってきているためか、秋からのリーグ戦に、再度ピーキングの波を作れなかったことが原因のようだ。
 その証拠に、昨年ファイナルを戦い、五輪予選に多くの選手を輩出した富士通とJOMOに安定感が見られず、12月のリーグ中断時点で、トヨタ自動車に首位の座を奪われている。

日本代表選手を襲った“バーンアウト”

 最終予選による“バーンアウト”(燃え尽き症候群)に陥った筆頭は、序盤戦に自分のプレーができずに苦しんだ富士通の三谷藍(30歳)だ。
「最終予選で体も気持ちもエネルギーを使い切ってしまい、リーグに向けてどう調子を上げればいいのか分からなかった」

 同じく富士通の矢野良子(30歳)も、まだ本調子ではない。ただ彼女の場合は、過去に何度も代表との掛け持ちをしており「シーズンを通しながらマイペースに調子を上げていく」と、長期的な調整法を心がけている。

 今大会ベスト4入りはならなかったが、JOMOとの準々決勝で35得点と気を吐いたアイシン・エィ・ダブリュの大黒柱、小磯典子(34歳)も序盤戦は乗り切れなかった一人。
「全身全霊をかけて戦った最終予選は、ある意味、オリンピックに出たようなもの。バーンアウトは絶対に来るものなので、うまく付き合いながら調子を上げてきました」

 もっとも、富士通もアイシン・エィ・ダブリュも新戦力が台頭してチームの底上げ期でもあるため、チームの仕上がり自体が遅れている。そのため、彼女たちにとっても、今ひとつ乗り切れないシーズンになり、調整の難しさに輪をかけてしまった感はある。

WNBAプレーヤー大神雄子に休みはない

 今シーズンもっとも多忙を極めたのが大神雄子(26歳、JOMO)だ。五輪最終予選のあと、自身初となるWNBA(米国女子プロリーグ)に参戦。米国から帰国後、すぐに迎えたWリーグ開幕では、WNBAで控えに回っていたうっぷんを晴らすかのように大暴れした。しかし、最終予選、WNBA、Wリーグと1シーズンに3回ものピークを持ってくることは、いくら脂の乗っている26歳の大神といえど、容易なことではなかった。
 12月上旬、JOMOはトヨタ自動車に連敗。コートで指示を出す大神の体にキレはなかった。
「あの頃は自分でもどうしたんだと思うくらいの筋肉疲労があり、体と気持ちが落ち込みました。このままではいけないと思い、リーグが中断する期間を利用して、一度休んでから、ひたすら体作りをしてきました。準決勝以降にピークが来ると信じています」

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著者プロフィール

スポーツライター。『月刊バスケットボール』『HOOP』編集部を経て、2002年よりフリーランスの記者となる。日本代表・トップリーグ・高校生・中学生などオールジャンルにわたってバスケットボールの現場を駆け回り、取材、執筆、本作りまでを手掛ける。

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