ダイワスカーレット圧逃V! 37年ぶりの牝馬制覇=有馬記念
ダイワスカーレットが圧逃V! 37年ぶりの牝馬制覇を達成 【スポーツナビ】
2着には1馬身4分の3差で14番人気アドマイヤモナーク(牡7=松田博厩舎)、さらに4分の3馬身差の3着には10番人気エアシェイディ(牡7=伊藤正厩舎)が入り、3連単は98万5580円の有馬史上最高配当。また、3連複19万2500円、ワイド2万8200円もともに最高配当となった。
一方、昨年の優勝馬で史上5頭目の連覇の期待がかかっていたマツリダゴッホ(牡5=国枝厩舎)は12着、武豊が騎乗してこれが引退レースとなるメイショウサムソン(牡5=高橋成厩舎)は8着、今年のジャパンカップの勝ち馬スクリーンヒーロー(牡4=鹿戸雄厩舎)は5着に敗れた。
天皇賞・秋の悔しさは忘れない……陣営一丸の完ぺき仕上げ
返し馬の時点から「天皇賞とは全然違っていた」とアンカツは自信を深めた 【スポーツナビ】
「あの悔しさは一生忘れないと思います」と松田国英調教師が語った、2センチ差で同世代のライバル馬ウオッカに敗れた前走GI天皇賞・秋。直接対決では3勝2敗と1つ勝ち越しているものの、この1つの大きな敗戦で「最強=ウオッカ」へと流れが傾きかけていた。
再び最強の称号を取り戻すためにも有馬は落とせない――その大目標へ向け、天皇賞からこの2カ月弱、「チーム・ダイワスカーレット」はさらに結束を強固。そして、決戦の28日・中山競馬場に送り出されたダイワスカーレットは完ぺきに仕上がっていた。この中間、調教にも携わっていた安藤勝己が振り返る。
「パドックでまたがった時から天皇賞とは全然違っていた。すごくいい仕上がりでしたね。返し馬が終わった時点で『今日は大丈夫だ』って安心感がありました」
「とにかくいいリズムで」ハイペースを悠々の逃走
最強の証明――直線は影も踏ませぬ圧逃劇! 【スポーツナビ】
同じ徹を踏まないためにも、「天皇賞後はいかにリラックスして競馬ができるようにするか、馬場入りの練習、普通キャンターから念には念をいれました」と松田国調教師。その執念の調整が実り、ダイワスカーレットは陣営の期待どおりの落ち着きを取り戻していた。そして、安藤勝に自信を宿らせるリラックスした状態でゲートイン。スタートの扉が開くと、好スタートから当たり前のように、スッとハナを主張する。
「スタートが速いのは分かっているし、きょうの状態だったら変に抑えるよりも、スカーレットのペースで行こうと思いました。天皇賞みたいにガチーン!と行っていないからね。とにかくいいリズムで走れれば、と思っていたんです」
1周目の3コーナーから11秒台のラップを快調に刻み続け、1000メートルの通過は60秒を切るペース。2002年−04年に有馬3連覇を達成し、今年はアルナスラインに騎乗していたオリビエ・ペリエが「みんなダイワスカーレットを意識して、これが2500メートルのレース?ってくらい、前半は速かった」と語っていたほどの激流ペースだった。
さらに、後ろにピッタリつけていたメイショウサムソン、カワカミプリンセスが早くも向こう正面から突っついてくる。この速い流れでマークされる展開となると、普通は逃げ馬は苦しいもの。しかし、アンカツは慌てない。むしろ、絶対的な“恋人”のスピードを信じていた。
1頭別次元の競馬「この馬の強さを見せることができた」
「この馬の強さを見せることができました」とアンカツはニッコリ 【スポーツナビ】
アンカツが振り返ったように、むしろ手応えがキツくなってきたのはサムソン以下2番手グループ。逆にダイワスカーレットは気持ち良さそうにまたペースを上げると、直線では完全に突き放して一人旅だ。
ダイワスカーレットを目標に早めに仕掛けていった先行グループが次々と失速する中、最後方で脚をタメていた人気薄のアドマイヤモナークが大外から突っ込んできたものの、焦点は2着争い。ダイワスカーレットは完全に別次元を走っていた。
「この馬の強さを見せることができました」とパーフェクトな騎乗を見せたアンカツはニッコリ。一方、松田国調教師は「何て言ったらいいのか……。厩務員もアンカツさんも、大城オーナー、社台ファーム、感謝の言葉しかありません」と感無量の表情で話し、「2センチ差で負けた時の悔しさをなくすことなく、今回の仕上げに持ってこれた。みんな、いい仕事をしてくれました」と、感謝とねぎらいの言葉を送った。
09年はいざ海外へ、松田国師「3勝したいですね」
来年は海外へ、ダイワスカーレットなら陣営が掲げる「3勝」も夢ではない 【スポーツナビ】
そして、来年も現役続行が決定しているだけに、次なる目標は大きな注目となるだろう。まだオーナーに了承は得ていませんが、と前置きした上で2009年シーズンの大目標を松田国調教師は明かした。
「海外で3勝したいですね。勝つために、国内で1戦使って海外に行くのか、海外で1回使って(目標のレースを)勝ちに行くかは決めていませんが、どこの国のどのレースにするか、今必死でリサーチしています。一番強い馬が集まるレースを目指したい」
具体的なレース名こそ出さなかったものの、“一番強い馬が集まるレース”となると、ドバイワールドカップ、英国キングジョージVI世&クイーンエリザベスS、フランスの凱旋門賞、そして、米国ブリーダーズカップなどが候補となる。ウオッカも来年は海外遠征を視野に入れている分、もちろん、これらのレースで最大のライバルと世界一の座をかけ、再び激突することもあるだろう。その時が真の決着戦だ。
日本が誇る女傑から世界を制する女傑へ――2009年はその名のモデルのごとく、ダイワスカーレットが世界中で愛されるヒロインとなる。