西野監督会見「パチューカは巧みだった」=クラブW杯
おくすることなく、チャレンジスピリットを持って戦ってくれた
決勝ゴールを決めたG大阪の山崎 【写真は共同】
ただやはり、相当なダメージが選手にあって、やりたい部分を出し切れたわけではないんですが、持っている力は出し尽くした結果だと受け止めます。(マンチェスター・ユナイテッドとの)準決勝でああいう(3−5という)ゲームコントロールになってしまったので、そういう意味では、いろんなコンディションの中でも(パチューカ戦で)1−0というゲームコントロールをできたことは評価したいです。最後はアップアップでしたが、それはすべて出してきた中でのことなので。
選手も喜んでいるというよりは、憔悴(しょうすい)し切ったロッカールームで、次にまた厳しいゲーム(25日の天皇杯の名古屋戦)が残っているので、それどころではないのかもしれません。とにかく3試合できて、すべて出し切った状態で、大きな経験だったと思います。
――昨年は浦和レッズがクラブW杯で3位になって、今年はガンバが再び3位になった。これはJリーグのどのような強さを表していると思うか?
レッズの過去はどうでもいいと思っていますし(笑)、レッズがどうだから今ガンバがということでもないと思いますし、Jリーグを代表した昨年のレッズ、今年のわれわれのアプローチもまた違うと思います。(サッカーの)スタイルも、クラブのスタイルも違います。また違ったJの1チームが今年、2008年のCWC(クラブW杯)にチャレンジできたということです。
ただ、Jリーグの代表としてACL(AFCチャンピオンズリーグ)も当然制覇しなければいけない(日本の)サッカー界だと思います。今年3チーム(G大阪、浦和、鹿島アントラーズ)参戦した中で、アジアではやはりJリーグの(チームの)中でリーダーとなっていかなければいけないと思っています。その使命を今年ガンバが果たせて、こういう新しい、高いステージでチャレンジできたこと、それはJの宿命だと思います。常にアジアのリーダーになっていなければいけないと思います。ACLを取れた、そしてこの大会である程度使命は果たせたということだけで、常にレッズと対比されるところもあったり、「昨年の〜」という言い方をされるんですが、それはピンとこないです。
パチューカのボールの動かし方は巧みだった
(パチューカは)非常に技術力を発揮したショートボールを正確に速くつないでくるチームで、ユナイテッドとはまた違うスタイルに対応しなければいけなかった。ディフェンスは(ユナイテッド戦と)同じことではないですが、プレッシングを怖がらずにプッシュアップして、中盤でのコンパクト性を作りながら、ボールへのディフェンス、人ではないボールへのディフェンスを強くする。そういう中でお互いの距離感や、前線からのファーストディフェンダーへの入り方に気をつけながらやった(試合への)入りはできていたんですが、(パチューカは)そういうところも巧みに打開してくるチームスタイルでした。少しずつ目が慣れて(ボールを)奪える瞬間は多くなりましたが、もっともっと厳しいプレッシングを理想としていたところです。
前半やはり少しずつ(ディフェンス)ラインが落ちて、理想としていたところより10メートル以上落ちていました。ハーフタイムには、「きついけど中盤の選手は運動量を増やしてラインを上げよう」と(言って)、ただできませんでしたね。やはりリトリート(退却)してしまって、押し込められましたが、何十分かはできました。そのお互いの距離感と強いプレッシングが発揮できて、対応できたのかなと思います。さすがに(パチューカの)ボールの動かし方は巧みだなと思いました。
――世界と戦っていく上で、今のチームのアプローチで間違いないという手応えをつかんだか? それとも少し変えていかなければいけないと思ったか?
チームコンセプトやスタイルはありますが、やはり相手のあることなので。ユナイテッドとの対戦、パチューカとの対戦の中で、いろんな状況に応じたアプローチを考えていかなければいけない。もちろんベースとなるものはありますが、選手が臨機応変に状況に応じた戦術眼を持って戦う、2チームに対しての狙いは多少は取れていたと思います。
これが世界に素直にすべて通用するかというと、もっと違うスタイルの選手がいたり、戦術を乱してくるようなロングフィードをもっと駆使されれば、プレッシングもなくなるので。いろいろな意味で柔軟に対応することが必要だと思います。チームとして、このゲームにはこうやっていこうというプランニングは、共通理解を持って戦えた3ゲームだったと思います。常に相手に対応していくことも考えて戦う必要はあると思います。