岩田鮮やかイン強襲! “怪物2世”セイウンワンダー父子2代制覇=朝日杯FS

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セイウンワンダーが朝日杯FSを父子2代制覇、来春クラシックへ名乗りを挙げた 【スポーツナビ】

 鮮やかイン強襲! JRAの2歳牡馬チャンピオン決定戦・第60回GI朝日杯フューチュリティステークス(1600メートル芝)が21日、中山競馬場で開催され、岩田康誠騎乗の2番人気セイウンワンダー(牡2=領家厩舎)が最後の直線でインを突き、猛追するフィフスペトル(牡2=加藤征厩舎)をアタマ差封じ込め優勝。父グラスワンダーに続く父子2代で2歳王者の称号を手にするとともに、来春のクラシック有力候補に大きく名乗りを挙げた。勝ちタイムは1分35秒1。朝日杯FS初勝利の岩田は今年の最多勝単独トップを確定させるJRA・GI4勝目、同馬を管理する領家政蔵調教師も朝日杯は初勝利となる。

 2着の5番人気フィフスペトルはアタマ差及ばず、騎乗したクリストフ・ルメールは下半期GI3勝目はならず。また、11月23日京都競馬での落馬負傷(右腕尺骨骨折)以来およそ1カ月ぶりの復帰戦で注目を集めた武豊騎乗の1番人気ブレイクランアウト(牡2=戸田厩舎)は3着に敗れ、復帰即GI優勝はならなかった。

ゲートもスムーズ、「理想の位置」中団インから突き抜けた

フィフスペトル(右)の猛追をかわし、先頭を死守 【スポーツナビ】

 次週は騎乗停止のため、このレースが2008年JRAラストの騎乗となる岩田。最後の最後で名手が魅せてくれた。中団追走から最後の直線、ポッカリとあいた最内へ迷わず突っ込み、渾身のステッキ注入。相棒セイウンワンダーもこれに応えるようにグイっとメンバー最速の脚(3F35秒0)を繰り出し、2歳王者への階段を一気に駆け上がった。

 「新潟では出負けしたんですけど、きょうはスムーズにゲートを出てくれましたし、いいポジションにつけることができました」
 岩田がレースを振り返る。8月のGIII新潟2歳Sではゲートで大きく立ち遅れ、最後方からの競馬。それでも直線は外ラチいっぱいから脚を伸ばし、豪快に差し切っている。ただ、これは広い新潟コースだからこそできる芸当であり、小回りの部類に入る中山コースではゲート出遅れは致命傷。しかし、「ゲート内での駐立の練習もさせていたし、普通にしていたらゲートの速い馬だから」と領家調教師が語ったとおり、この日はスムーズに発進。そして、「理想的な位置」とトレーナーも安心する中団インのポジションからレースを進めた。

 4コーナーではいったん、内ラチから3頭分ほど外を通ったが、最後の直線に入ると最内へズバッと切り込む。
 「新潟でも外ラチ沿いに走りましたし、ラチに頼った方がレースをしやすいと思って」と岩田。時計のかかる中山の芝も、そして心臓破りの急坂もパワフルに乗り切り、先頭でゴールを駆け抜けた。

目標は皐月賞、岩田「もっと強いレースを見せられる」

このレースが今年ラスト騎乗となった岩田もセイウンワンダーの素質を絶賛 【スポーツナビ】

 最後はフィフスペトルにアタマ差まで詰め寄られ、一瞬ヒヤッとはしたものの、「まあ、あれが3カ月ぶりかな」と領家調教師。当初は新潟2歳S後は朝日杯へのステップとして11月のGIII東京スポーツ杯2歳Sを使う予定だったが、左前脚の蹄球炎のアクシデントのため、3カ月ぶりのぶっつけ本番となった経緯がある。
 しかし、そんな久々の不利もアッサリ克服。「精神力はただ者ではないと思っていた馬でしたから」と指揮官が笑顔を見せたように、着差以上に底知れない能力を秘めた馬と言えるだろう。セイウンワンダーの素質、可能性については領家調教師が手放しで絶賛している。
 「長く脚が使えるところがこの馬のいいところですし、何より体力も強いし、精神力も強い」

 もちろん、来年の目標は3歳馬の頂点を決めるクラシック三冠レース。とりわけ第一冠目の皐月賞(09年4月19日、中山2000メートル芝)だ。
 「夢が近くなってきたかなと思いますね。調教ではうるさいところもありますが、レースに行けばなかなか肝がすわっていますし、距離は大丈夫。次走は決めていませんが、目標は皐月賞ですので、そこまでに1回使えれば、と思います」
 今年のJRAラスト騎乗をGI締めで飾った岩田も「すごく乗りやすい馬で、どこからでも競馬ができる。すごい馬体をしていますし、もっと強いレースを見せられるんじゃないかと思います」と、2歳王者に大きな手応えを語った。

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