G大阪の西野監督「『素晴らしい』というのは社交辞令」=クラブW杯

スポーツナビ

「素晴らしい」というのは社交辞令

G大阪はボール保持率でマンUを上回るなど中盤の攻防で互角の競り合いを見せた 【Getty Images】

(対戦相手から)素晴らしいと言っていただけるのは社交(辞令)だと思います。タフなゲームだったと思います。ガンバの時間帯もありましたし、ウチの持っている力を出せた時間帯もあったと思います。ただ失点のケースとか時間帯が非常に残念で、(相手を)本気にさせた中で戦えなかった。ああいうシンプルでスピーディーな流れになってしまうと、まったく対応できない。
 3点取れたということで、ガンバのスタイルは多少は示せたと思いますが、全体的には残念という気がします。やはり勝敗にこだわって、可能性が少ない中でも、そこを追求した戦いの中で、簡単に点を失ったことは非常に残念です。選手が、リードされても相手ゴールに対する意識を、最後まで持ち続けて戦った(ことへの)評価はしたいです。全体に満足できるかというと、自分では、そういう感じではないです。

――セットプレーからの2失点は、メンタルな部分が欠けていたのか? また5点取られたのは、攻撃力でのポテンシャルの差で取られたのか?

 メンタルではないですね。守りようがない部分もありました。(相手に)パス交換をさせて、ディフェンスからボール奪取をできれば、そう負担はなかったんですが。縦への人の動き、ボールの速い動きに(対して)は、怖がらずに最終ラインもプッシュアップしながら、中盤でのディフェンスを考えていました。中盤からシンプルに縦のボールを入れられたときの対応は、ウイーク(ポイント)ではあるんですが、ルーニーのように際どいところを取られて、そこをうまく突かれたな、という感じはします。
 リスタートで(点を)取られたところは、どうしようもない部分は確かにあります。GKのポジショニングだとか、数センチ、コンマ何秒の対応が遅れれば、ああいう状況になってしまうという、本当に厳しいところでの争い。(セットプレーは)われわれのウイークポイントでもあるので。リスタートなら、オフサイドトラップを使うとか、いろいろ策はあったんですが、コーナーキックでは仕方なかった。ああいう対応を、もう少しうまくできればなと。決してメンタルで押されているとか、弱いとか、そういう部分での失点ではないと思います。

――どういうゲームの入り方を目指したのか? 最初はいいリズムで攻めたが、それができなくなったことに関して、後半に向けてどのような修正をしたのか?

(ボール)ポゼッションを取られて、全体がリトリート(退却)せざるを得ない状況を強いられるだろうという中で、2トップにしたり、遠藤をボランチに(ポジションを)落としたり、ルーカスを中盤に変えたりしました。まずは全体のフォアチェック、プレッシングを高いラインで設定し、最終ラインも怖がらずにプッシュアップしていく。プレッシングサッカーを仕掛ける。で、ボールが奪えれば、早い段階でシンプルにダイレクトで(つなぎ)、できなければ遠藤を中心にしっかりボールを動かして両サイドを使う。そのへんの入りというのは、非常に良かったと思います。

 そういうガンバの戦いに対して、前半の半ば以降からユナイテッドがサイドチェンジを使い出して、対応できなくなりました。あそこは同サイドでディフェンスを強固にしていくことをハーフタイムで修正し、(相手に)スピードアップさせないことを心掛けながら、(ボールを)つながれても全体のプッシュアップの中でディフェンスをもう一度整備した上で、(攻撃は)ダイレクトプレーで仕掛けようと。後半もかなり遠藤を中心にボールは動いていたと思いますし、フィニッシュまでにいろいろ変化をつけながら、サイド、センターと十分に崩せていました。
 2−1になった後、ルーニーが入ってからの対応がもう少しうまくいけば、(スコアを)ひっくり返せたかもしれないです。ああいう時間帯で、シンプルにフィニッシュを取られたというのは(今日の試合の)ポイントだったと思います。それが残念です。全体的には、ポゼッション率が下がるわけではないし、やはり、すべてにおいてのスピード、シンキングスピードしかり、フィジカルなスピードしかり、そういう速さに後半は少し対応できなかった部分はあります。

決して「面白かった」とは思わない

――8点も入って、とても面白い試合になったと思うが、この試合から何かいい側面を持ち帰るとするなら?

 この会場に来る前に、何人かの人に「面白かった」と言われたんですが、決して僕自身はそう思わないです。確かに点が入れば面白いサッカーに見えるかもしれませんが、ガンバにとっては、逆の得失点の関係なら「面白い」ということが素直に受け入れられるのかもしれませんが。
 このゲームの中で真っ向勝負、ガンバのスタイルを出そうとしたチーム力については評価したいと思います。決して臆することなく、自分たちの攻撃的なスタイルは、選手1人1人が持っていたし、ユナイテッド相手に1点取ることも難しいと思います。果敢にそういうアグレッシブ性を持ちながらオフェンシブに、多少のリスクは負いながらもそういうスタイルを貫いた。それはガンバが求めている部分なので、そういう部分は、いい財産になると思います。ただ5失点している。それも与えなくていい失点をしていることについては、大きな課題が残っていると思います。ただ、これがガンバのスタイルでもあるので。ゲームを「面白い」だけで評価されるのは、非常に厳しいものを感じますが。逆の展開になるように、頑張って目指したいと思います。

――遠藤をボランチに下げて、橋本を右MFに置いた狙いは?

 やはり遠藤には、多少マーキングが厳しくなる。高い位置になればなるほど、マークが厳しくなることは予想しました。逆に今日は、遠藤にボールがたくさん集まる状況の中での展開、その中心に彼を持っていきたかった。相手の前線をクリアできれば、ウチのボランチのラインで、十分にボールをキープし、ためができる。切り替えさえ早くしていけば、十分にボールが集まる。そこでの(ボールの)配りが大事と考えたので。ヤット(遠藤)の展開力、あるいはミドル(パス)やロング(パス)を使う攻撃の起点を、彼を中心に組み立てたかった。完全に(ゲームを)コントロールできるとは思わなかったので、コントロールできるとすれば、(攻守の)切り替わった瞬間のラインで、しかもそういった展開が必要でした。
 あと橋本に関しては、佐々木を失って、サイドのディフェンスから縦への活性を求めたかった部分があります。よく、ポジションをシフトした中でも、やってくれたと思います。そういう狙いはしっかり取れていたので、簡単に(ボールを)失うのは、アデレード戦よりは少なかったと思います。ビルドアップは良かったと思います。

<了>
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

スポーツナビ編集部による執筆・編集・構成の記事。コラムやインタビューなどの深い読み物や、“今知りたい”スポーツの最新情報をお届けします。

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント