ダイワスカーレット、逆転で桜の女王に=安藤勝は連覇&JRA通算700勝メモリアルV

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安藤勝の手綱に導かれ、桜の女王に輝いたダイワスカーレット 【スポーツナビ】

 ダイワスカーレットが逆転、ウオッカは2着。JRA春競馬のGIシリーズ開幕を告げる3歳牝馬三冠クラシック第1弾・第67回GI桜花賞(芝1600メートル)が8日、兵庫・阪神競馬場で開催された。昨年12月の2歳女王決定戦・GI阪神ジュベナイルフィリーズ(JF)を制し、前哨戦のGIIIチューリップ賞でも圧倒的な走りで快勝したウオッカが単勝1.4倍と断然の1番人気に支持されていたが、直線で伸びきれず2着敗戦。無敵と思われた2歳女王を倒し、桜の女王となったのは、チューリップ賞2着からの逆転を狙っていた安藤勝己騎乗の3番人気ダイワスカーレット(牝3=松田国厩舎)だった。安藤勝は昨年のキストゥヘヴンに続いての桜花賞連覇、管理する松田国英調教師は初勝利となった。
 3着は藤田伸二騎乗の7番人気カタマチボタン(牝3=加藤征厩舎)。“3強”の一角として2番人気に支持されていた武豊騎乗のアストンマーチャン(牝3=石坂厩舎)は、直線半ばでバテて7着に敗れた。

「この馬の力を出し切って負けたんだったら仕方ない」

安藤勝は「この馬の競馬をして負けたら仕方ない」とダイワスカーレット(左)の力を信頼し、四位ウオッカ(右)を撃破 【スポーツナビ】

 今年絶好調の名手・安藤勝のハラは決まっていた。
「この馬の力を出し切って負けたんだったら仕方ない」

 今年の3歳牝馬戦線はウオッカ、アストンマーチャン、ダイワスカーレットの“3強”と見られていたが、その一方で2歳女王ウオッカの独壇場という向きも強かった。前哨戦のチューリップ賞で完敗し、安藤勝も「あの馬は相当強い」とウオッカの強さに舌を巻いている。だからこそ、相手をどう負かそうかと考えるよりも、愛馬の全能力を出し切らせることに集中した。

 ダイワスカーレットはスタートに若干の不安を抱えるものの、今回のレースはまずまずの出だしだった。
「スタートはずいぶんとうまくなった。ただ、最初は抑え切れないくらいでしたね。ユタカちゃん(武豊)も折り合いに苦労していたみたいだったけど、あの馬(アストンマーチャン)と一緒に行ったら落ち着いてくれましたね」と安藤勝。行きたがるダイワスカーレットをなだめつつ、大外18番枠からジワッと他馬の出方をうかがいながら好位外めの位置をとり、引っ掛かり気味に2番手に上がっていった武豊アストンマーチャンの後に続くように3番手にポジションを上げていく。ウオッカはその後ろだ。
 番手こそ違えど、ウオッカとダイワスカーレットの位置関係はチューリップ賞とほぼ同じ。またもマークされる展開になったのだが、2度同じ轍(てつ)は踏むまいと、安藤勝は3コーナー過ぎから勝負に出た。
「瞬発力勝負じゃあ、ウオッカに勝てないからね。位置取りはどこでも良かったんだけど、前走よりも先に動こうと思ったし、なるべく早く向こうに追い出させる展開にしたかった。かわされる前に動いて、向こうが先に追い出したら勝算があるかなって」

早め先行でライバル完封!

兄ダイワメジャーに続き、クラシックホースとなったダイワスカーレットの次なる目標は5月東京のオークス 【スポーツナビ】

 前走のチューリップ賞では、ダイワスカーレットがいざ動こうと思った時にはすでにウオッカに馬体を併せられ、瞬発力に勝るライバルの前になす術なくねじ伏せられた。一瞬の切れというよりも、いい脚を長く使うダイワスカーレットにとっては先手、先手を打ちながら早めに抜け出して、後続を完封してしまうのが必勝パターン。同じく安藤勝が主戦を務める3歳上の兄ダイワメジャーが同じような脚質を持っており、この早め先行パターンでGIを3度勝った。
 父は違えど、妹も同じ血の土台を受け継いでいる。自ら動いて先手を握ることこそが、ダイワスカーレットの競馬だ。
「相手がどうこうというのは考えていなくて、とにかくこの馬のペースで走らせてあげようと思っていた。これで負けたら仕方がないとも思って乗りましたね」

 4コーナーから直線入り口では逃げたアマノチェリーラン、2番手アストンマーチャンを射程圏内に入れる、およそ3馬身差の位置にまで進出。それでいて、安藤勝の手綱は手応え十分の持ったまま。逆に手応えが悪いのはぴったりマークしていたウオッカの方で、早くも追い出しにかかっていた。
 直線に入ってウオッカが並びかけてくると、安藤勝ダイワスカーレットは馬体を寄せてけん制。この抜け目ない手綱さばきも名手ならではの技だ。そしてウオッカがひるんだ隙(すき)に一気のスパート。先行2騎をあっさり追い抜くと、日本の競馬場で3番目に長い474メートルの新・阪神競馬場外回りコースの最後の直線を勢い良く先頭で駆け抜けた。

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