銅メダルの柴田が狙う「大ベスト」=競泳 女子400m自由形

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女子400m自由形銅メダルの柴田(右) 【(C)Getty Images/AFLO】

 「大ベストを出したい」。柴田亜衣(チームアリーナ)が、どの種目においても必ずと言っていいほど口にする言葉だ。しかし柴田は、「大ベスト」の正体をまだ明かさない。
 世界水泳メルボルン大会競泳が始まった25日の女子400m自由形決勝前、世界記録保持者ロール・マナドゥ(フランス)と柴田のベストタイムは約4秒も離れていた。柴田は4分6秒74、マナドゥが4分2秒13。長距離種目とはいえ、この差は大きい。

「マナドゥをあせらせたい」

 レース本番、柴田は不安や緊張を感じさせず、落ち着いた試合運びで4分07秒17の1位。全体では3位に付け、難なく予選を突破した。
 「1位だと分かったので、最後は決勝のことを考えてちょっと抑えちゃった」と余裕の表情さえ浮かべた。マナドゥが予選を全体トップで通過したことを知ると、「いい位置(隣)で泳げる」と決勝へさらに士気を高めた。
 
 「マナドゥをあせらせることができたら」と臨んだ決勝。前半から勢いよく飛び出した。100mを59秒15。久々に1分台を切る。いつもは後半でじりじりとスピードを上げてくる柴田だが、きょうは最初から積極的にいった。今まで手も足も出なかった同種目で、女王を隣に必死で食らい付いていこうとする柴田がいた。

 柴田の気迫が通じたかのように、マナドゥも前半から思い切りのいいレースを展開。自身の世界記録を破るハイペースで、会場のロッド・レーバー・アリーナに詰め掛けた観客の大声援に応えた。マナドゥは、200mをターンした時点で2位以下を体一つ分リード。しかし、後半に力を失い、世界新には0秒48届かなかった。それでも、4分2秒61の好タイムで圧巻の優勝を飾った。

自己ベストと勝負と

 柴田は粘りの泳ぎで後半追い上げ、タッチの差で3位に入った。今大会の日本競泳陣初のメダル獲得。4分5秒19と自身の持つ日本記録も更新した。1秒55も縮める快挙だった。
 だが、柴田の心境は複雑だったようだ。「むちゃくちゃうれしいけど、悔しい」と、銅メダルにもタイムにもいまひとつ満足していない様子。マナドゥとの差を約3秒に縮め、「マナドゥさんへの手応えを感じた」が、狙っていた自己ベストの4分4秒台にはわずか0秒19届かなかった。

 それでも、世界記録まで3秒06に迫った柴田。じわりじわりとマナドゥに詰め寄る。柴田の夢見る「大ベスト」もじわりじわりと正体を現してきたようだ。

<了>
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