バレーボール日本代表・男子コメント=W杯米国戦

田中夕子
 上位3チームに北京五輪出場権が与えられるバレーボールのワールドカップ男子大会第9日が30日、東京体育館などで行われた。すでに今大会での五輪出場が消えた日本は米国に0−3で敗れ、通算成績は3勝6敗となった。
 以下は試合後の、植田辰哉監督と選手のコメント。

米国にストレート負けを喫した日本 【坂本清】

■荻野正二「勝負の分かれ目は2セット目」
 福岡でのプエルトリコ戦、スペイン戦で課題だったレセプション(サーブレシーブ)に関しては、点を取られることがなかった。その部分は改善できた。昨日の練習から『まずは(ボールを)上に上げておこう』と話し合った成果は出たと思う。
 勝負は2セット目に(25−24の場面から)2点を取れなかったこと。それが敗因で、勝負の分かれ目は2セット目だったと思う。

■宇佐美大輔「最後の詰めの部分でのミスが多かった」
 レセプションが短くても、まずは高く上げることを徹底していた。前半はできていたが、そこからのトスを僕がもっと考えなければいけなかった。以前の米国に比べれば、ブロックはばらけていた。相手のブロックが高いというよりも、そこで(ブロックの)穴を突けなかったのは、僕のせいでもある。もっともっとその穴を突いたり、(スパイクを)通していかなければ、セットも取れないし、勝てないと思う。明日のブルガリア戦では、もっとその穴を突いていけるようにしたい。

 レセプションが短いなかで、例えば両サイドへの速いトスやパイプ(攻撃)の使い方、クイックの使い方も、今日はAではなくてBだったかもしれないし、アタッカーが速いトスを要求していないのに僕は速いトスを上げたり、しっかり確認をしていない部分があった。1つ1つは小さいことだけど、そこが大きな1点につながっている。形としては悪くないと思うが、最後の詰めの部分でのレセプション、サーブ、スパイク、トスでミスが多いので、もっと詰められれば流れも切ることができるし、勝つこともできると思う。

 2セット目の最後はライトではなくレフトに持っていくべきだった。上げる前までは(ライトに)上げられると思ったけれど、手に入った瞬間にあそこまで無理をしてあげるトスではなかったと感じた。自分のなかの反省点で、やってはならないことだったと思う。

声出しなど、ムードづくりを心掛ける越川 【坂本清】

■越川優「勝負どころでの点を取れる選手になっていきたい」
 1セット目の最後からコートに入ったので、まずはムードを上げてリズムを作りたいと思った。攻撃面に関してはミスも出たが、まあまあの仕事はできていたと思う。ディグ(スパイクレシーブ)は上がったボールもあるが、ブロックがいい所で跳んでくれていたので、ガードナー(15番)のスパイクはもう少し拾えるボールがあったし、上げなければ苦しいと感じた。

 今日はパイプが効果的に決まり、トスとしっかり合っていた。それでも3セット目に1本ミスが出て、ブロックが1枚でコースも見えていたのにしっかり打ち切れず、ネットに当ててしまった。1本にこだわって決めなければ流れは作っていけないし、ポイントにできないと思う。(自分の)流れはできているので、明日、明後日の試合でもまたしっかり使っていきたいと思う。

 2セット目の勝負どころでレセプションの(ミス)ポイントもあったし、勝負どころでの1点、2点を取れないと、大事なゲームで勝てるチームにはならないと思う。そこでしっかり取れる選手、チームになっていきたい。

■山村宏太「米国のサーブ、ブロックにやられた」
 米国のサーブ、ブロックにやられた。試合に入る前には、日本の特徴であるクイックを通さないと、いい展開にはならないと思っていた。試合前から意識していたが、クイックに対する相手のブロックが良かったので、うまくいかなかった。
 クイックへ2枚でブロックに来られるときつい。後半は日本のレセプションが乱れていたこともあるし、センター(からの攻撃)が通らなかったので、そこを使うのはセッターは勇気がいることだと思う。後半はクイックの本数が少なかった。

 米国は、ブロックが非常に良く、ブロックとディグの関係がとてもいいので、見習わなければならないし、もっとディグを高めて1本でも上げられるボールを増やしたい。米国のブロックはチームとしてしっかりしていると思うし、ブロックの意識が強い。やろうとしていることがとてもよく伝わってきた。
 日本チームがこの3連戦で何を学ぶことができるのか。1セットでも取りたいし、1点でも多く取りたい。すべてのプレーをしっかりやっていかなくてはならないと思う。

■石島雄介「まずはレシーブをきっちり上げようと思っていた」
 荻野さんは声の掛け方などが上手なので、自分も声を出していこうと思っていた。スパイク(の失敗)でいちいち沈んでも仕方がないので、スパイクが決まらなければ、何か別のことをしようと思って、まずはレシーブをきっちり上げようと思っていた。
 相手のブロックは、1枚1枚が固いので、ブロックされる場面もあった。相手の手の間など、どこが空いているかすきをうまく見つけて狙わないとダメだと感じた。

守備面での反省点を話した清水 【坂本清】

■清水邦広「最後の1点を取れなかったことが敗因」
 スパイクは良かったが、ディグの面で上げられるボールを上げられなかったり、チャンスボールをセッターにしっかり返せずミスにつながってしまった。明日以降に改善しなければならないと感じた。
 2セット目の終盤のように、負けていたところから追いついたのに、最後の1点を取れなかったことが敗因だと思う。

■植田辰哉監督「山本、越川、石島がしっかり機能することが大事」
 清水の攻撃面は悪くなかったが、リズムをつくる意味では(守備面で)目で追うだけのボールが何本かあった。そういったプレーはリズムを消すと思ったし、清水に対してそのあたりを教育しなければならないと考え、山本に代えた。
 途中出場の山本、越川はリズムを変えてくれたし、決定率、効果率も残してくれたが、石島が4点と得点が少ない。その3人がしっかり機能することが大事。石島はアウトサイドに転向して1年半から2年というところで、今大会は自分の課題が見えてきたと思うし、外国のトップと戦ったときに自分のプレーが通用するか、肌で感じていると思う。明日に向けて頭を切り替えて、3人のエースに対してしっかりアドバイスをして機能させたい。

 日本のブロックが6本に対して、米国は13本。倍以上取られた差が大きく出た。とても大きな差があるとは感じなかったが、普段出ないようなミスや、小さな差が積もった結果ではないか。
 今日は石島が37本のサーブを受けたのに対し、津曲は8本。米国などの強いチームは、徹底的に弱い部分やエースを狙って(サーブを)打ってくる。そこで立て直そうと努力している姿が見えたので、彼にとっては大きな経験で、何かを学んでくれていると思う。ただそこから打ちに行かなければならないので、4点という数字は米国には通用しなかったということではないか。気持ちの面で切れてしまうことはなくなったので、そのあたりは進歩している。

<了>
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著者プロフィール

神奈川県生まれ。神奈川新聞運動部でのアルバイトを経て、『月刊トレーニングジャーナル』編集部勤務。2004年にフリーとなり、バレーボール、水泳、フェンシング、レスリングなど五輪競技を取材。著書に『高校バレーは頭脳が9割』(日本文化出版)。共著に『海と、がれきと、ボールと、絆』(講談社)、『青春サプリ』(ポプラ社)。『SAORI』(日本文化出版)、『夢を泳ぐ』(徳間書店)、『絆があれば何度でもやり直せる』(カンゼン)など女子アスリートの著書や、前橋育英高校硬式野球部の荒井直樹監督が記した『当たり前の積み重ねが本物になる』『凡事徹底 前橋育英高校野球部で教え続けていること』(カンゼン)などで構成を担当

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