「天下一Jr.」が波乱のプレ開幕=ZERO1-MAX

高木裕美

天下一ジュニア予選を突破、本戦出場を決めた澤 【スポーツナビ】

 28日のZERO1−MAX「ZERO1 PRE−CIOUS Vol.1」(東京・新木場1stRING)では、2日後に開幕する「天下一ジュニア2008」(30日、東京・後楽園ホール)を前に、早くも戦いの火花がスパーク。この日は本戦出場権をかけた予選トーナメントが行われ、ZERO1から浪口修と斎藤謙、バトラーツから澤宗紀と矢野啓太、LA−DOJOからドランゴとナルト、そして、ZERO1壊滅を企てる謎の団体WPFからキンボス・ライスとヤヤ・ブラジルの計8選手が参加。澤とキンボスの2選手が出場権を手に入れると、すでに本戦出場が確定している日高郁人、高岩竜一、藤田ミノルも加わっての大アピール合戦が繰り広げられた。

「天下一ジュニア2008」は、10個のクリスタルボール(ZERO1版ドラゴンボール)をかけてジュニア戦士たちがトーナメント形式で戦うもので、勝利した者が相手の持つボールを獲得。最後にすべてのボールを集めた優勝者が、1つだけ願いを叶えてもらうことができる。

 今年は日高、高岩、藤田、菅原拓也(ElDorado)といったレギュラーメンバーに加え、他団体から稔(新日本プロレス)、ザ・グレート・サスケ(みちのくプロレス)も参戦。例年以上に過酷な戦いが予想される。

WPFから謎の刺客が来襲

WPFの刺客ヤヤ・ブラジル。澤に敗れる 【スポーツナビ】

 ZERO1事務所をポルシェで視察したり、ZERO1代表の大谷晋二郎の新居をストーキングするなど謎の行動を見せるWPF。この日は前日までマスク姿で正体をひた隠しにしていた2選手が初めて試合を行ったが、ベールを脱いだその中身も、やはりとんだいっぱい食わせものだった。

 澤と予選1回戦で対戦したヤヤは、ブラジルというよりはジャマイカのラスタカラーを思わせるコスチュームで、顔や体中にブラジルの国旗をペイントした、いかにもうさんくさい風ぼう。さらに、名前にちなんで「ヤーヤー」と叫びながらエルボーを打つなど、とても日本マット初登場とは思えない順応ぶりを見せたが、澤のシャイニングウィザードに撃沈。
 一方、顔と右肩にトライバルのタトゥーを入れたキンボスも、なぜかタイツに「RICKY」という別人の名前が入っており、タダ者ではないことをうかがわせると、必殺技のキラースライスで矢野、ドランゴを次々と撃破。本戦での藤田との対戦権を手に入れた。

澤「天下一品の変態になる」

 日本人対決となった澤vs.浪口の決定戦では、「これが最後のチャンス」という背水の陣で臨んだ浪口が、澤のキック誤爆を誘い、ストンピング、ドラゴンスクリュー、足4の字固めといった攻撃で執ような右ヒザ攻めを見せるが、あせりと気負いのせいか技を何度も失敗。冷静にチャンスをうかがっていた澤が、豪快なナックルから渾身(こんしん)の卍固めで勝利した。

 メーンイベントにふさわしい熱戦を制し、満足げな表情を浮かべた澤だが、その直後に突如、藤田にラリアットで襲われ、「これが決勝じゃなかったのかよ」とこれから本戦がスタートするという事実にがく然とした。

 そんな澤をヨソに、次々と本戦出場選手が登場し、「優勝するのはこのオレ」(藤田)、「WPFイチバーン!」(キンボス)、「今年の天下一Jr.に番狂わせはない」(高岩)、「今年こそは6度目の正直。稔を倒して、誰が来ても絶対にオレが優勝する」(日高)と、それぞれの選手が意気込みを語った。
 澤もすっかり油断していた藤田にシャイニングウィザードを放って先ほどの借りを返すと、「この勢いで天下一品の変態になって頑張ります」と負けじと勝利宣言。ZERO1のリングをバトラーツ流の「1、2、3、ナシャーッ!」で締め、2日後の本戦1回戦で戦う菅原に「イケメンは嫌い」と宣戦布告した。

佐藤「どっちが橋本真也直伝の蹴りか見せてやる」

佐藤(左)は永田戦へ好調維持 【スポーツナビ】

 2日後の後楽園で永田裕志(新日本プロレス)の世界ヘビー級王座に挑戦する佐藤耕平は、対永田戦に向け「蹴撃対決」を予告。この日は崔領二と組んで、若手の植田使徒&小幡優作組と対戦したが、序盤から蹴りを多用した攻撃で若手コンビを圧倒すると、小幡にローキック、カウンターのヒザ蹴り、裏投げとたたみかけ、パイルドライバーでフィニッシュを決めてしまった。

 必殺技のジャーマンスープレックスを出すまでもなく、わずか205秒で勝負を決め、絶好調ぶりをアピールした佐藤は「どっちが橋本真也直伝の蹴りか見せてやる」と、永田が否定した師匠・橋本真也さんとの絆をリング上で永田の体に分からせると断言。新日本10.13両国国技館で永田が叫んだ「ZERO1−MAX敗れたり!」という言葉を返上させるべく、「2日後はオレが世界ヘビー級のベルトを取り返して、『新日本敗れたり!』と言ってやる」と“上から目線”の王者からベルトも自信もすべて奪い取ることを誓った。

■ZERO1−MAX「ZERO1 PRE−CIOUS Vol.1」
10月28日(火) 東京・新木場1stRING

<第7試合 天下一ジュニアトーナメント2008予選トーナメント2回戦>
●浪口 修
(11分15秒 卍固め)
○澤 宗紀

<第6試合 天下一ジュニアトーナメント2008予選トーナメント2回戦>
●ドランゴ
(8分53秒 キラースライス→片エビ固め)
○キンボス・ライス

<第5試合 タッグマッチ>
○佐藤耕平、崔 領二
(3分25秒 パイルドライバー→体固め)
植田使徒、●小幡優作(XWF)

<天下一ジュニアトーナメント2008予選トーナメント1回戦 4>
○澤 宗紀(バトラーツ)
(7分40秒 シャイニング・ウィザード→片エビ固め)
●ヤヤ・ブラジル(WPF)

<天下一ジュニアトーナメント2008予選トーナメント1回戦 3>
○浪口 修(ZERO1−MAX)
(1分40秒 逆片エビ固め)
●ナルト(LA−DOJO)

<天下一ジュニアトーナメント2008予選トーナメント1回戦 2>
●矢野啓太(バトラーツ)
(6分36秒 キラースライス→片エビ固め)
○キンボス・ライス(WPF)

<天下一ジュニアトーナメント2008予選トーナメント1回戦 1>
●斎藤 謙(ZERO1−MAX)
(6分14秒 腕ひしぎ逆十字固め)
○ドランゴ(LA−DOJO)
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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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