健介が森嶋に激勝! GHC奪取で3大メジャーを完全制覇=ノア

高木裕美

健介が森嶋を撃破しGHC王座を奪取、史上初の3大メジャータイトル制覇を達成した 【t.SAKUMA】

 プロレスリング・ノア「Shiny Navig.’08〜第2回日テレ杯争奪ジュニアヘビー級タッグリーグ戦〜」最終戦となる6日の日本武道館大会では、満員となる1万1500人を動員した。

 メーンイベントでは佐々木健介がGHCヘビー級王者・森嶋猛を破り新王者が誕生。これまで新日本プロレスのIWGPヘビー級、全日本プロレスの三冠ヘビー級王座を獲得してきた健介が、3大メジャータイトル制覇という史上初の快挙を達成した。これまでIWGP王者は22人(49代)、三冠王者は19人(37代)、GHC王者は9人(12代)誕生しているが、そのうち、3つのベルト全部に挑戦したことがある選手は、ベイダー(GHCは未戴冠)、高山(三冠は未戴冠)、蝶野(IWGPのみ戴冠)鈴木みのる(三冠のみ戴冠)、永田裕志(IWGPのみ戴冠)、そして健介とわずか6人のみ。非常に狭き門であり、そして、いままで誰も成し遂げられなかった偉業を初めて健介が果たした。

新王者・健介「これからノアを熱くします!」

健介は試合後、「これからノアを熱くします!」とGHCヘビー級チャンピオンとしてノアマットを盛り上げる決意を語った 【t.SAKUMA】

 健介と森嶋は4.15熊本で行われた「グローバル・タッグリーグ」公式戦で初対決を果たし、30分時間切れという結果に終わると、初シングルとなった7.13博多でも30分時間切れという結果に。7.18武道館でGHC王座V2を果たした森嶋はリング上から健介を次期挑戦者に指名し、タイトルマッチでの完全決着戦をアピールした。

 190センチ、145キロの森嶋と、180センチ、115キロの健介。スーパーヘビー級同士の対決は、息をすることすら忘れてしまうほどの壮絶な肉弾戦に。ラリアット、タックル合戦にはじまり、森嶋が串刺しヒッププレス、スカッドミサイルを発射すれば、健介も花道でのブレーバスター、バックドロップ3連弾。森嶋は投げっぱなしジャーマンで健介を首からマットにメリ込ませると、19分ごろにはついに必殺のバックドロップを炸裂。しかし、健介も怒涛のラリアット連打からジャーマンで森嶋の巨体をブン投げ、マグロ漁船(カチ上げ式ラリアット)からの北斗ボムで勝利。その瞬間、客席後方で観戦していた北斗も飛び上がって祝福した。

 「現役の間にこのベルトと関わることはないかと思ってた」というGHCベルトを腰に巻いた健介は「今日はとっても最高です!」と喜びを爆発させ、「みんな、オレがGHCチャンオピオンだ!」と絶叫。次期挑戦者については「誰でもこのベルトに向かってくるヤツがいれば、いつでも、明日でもあさってでも、どこでもやってやるぞ!」とリング上で吠えまくった。
 史上初の3大タイトル制覇については「3つのベルト巻いたっていうのはあるけど、あのチャンピオンに勝ててベルトを獲れてうれしい」と、記録よりも目の前の強大な敵に打ち勝てたという現実を噛み締めつつ、「これからノアを熱くします!」とGHCヘビー級チャンピオンとしてノアマットを盛り上げる覚悟を見せた。

2連覇のKENTA、石森組がJr.タッグ王座奪回へ

KENTA(右)、石森(左)組が宿敵・金丸組を下し、奇跡のタッグリーグ2連覇 【t.SAKUMA】

 シリーズを通して8チーム参加で争われた「第2回日テレ杯争奪ジュニアタッグリーグ戦」は、KENTA、石森太二組が奇跡の2連覇を達成。現GHCジュニアタッグ王者であり、宿敵である金丸義信、鈴木鼓太郎組を2度も破って優勝の栄冠をつかんだ。

 KENTAと石森は昨年の第1回タッグリーグで劇的な優勝を果たすと、今年3月、敵地DRAGON GATEに乗り込んでGHCジュニアタッグ王座を悲願の初戴冠。ついに名実ともにノアジュニアの頂点に立ったが、7.13博多で行われた金丸、鼓太郎組とのタイトル戦では金丸組のセコンドについた平柳玄藩が再三に渡り試合に介入。KENTAが後輩の鼓太郎にフォールを許す形でベルトを奪われてしまった。

 ベルト奪回へ向け2連覇を誓ったKENTA組だが、負けなしの単独首位に立つ金丸組(4勝2分=10点)に対し、KENTA組は8点(4勝2敗)。最後の公式戦となるこの直接対決では、金丸組は勝つか引き分ければ即優勝。もしKENTA組みが勝っても、ようやく同点に並ぶだけで、再び行われる優勝決定戦でも勝たなければならないという、非常に過酷な状況で試合に臨むことになった。

 先に入場したKENTA、石森組を待ち構えていたのは金丸、鼓太郎組の奇襲攻撃。平柳をオトリに使い、背後から襲い掛かってきた金丸たちはそのまま短期決着をつけようと試みるが、KENTAたちは必死で阻止。その後も平柳による妨害工作やレフェリーの死角を突いた急所攻撃などで金丸組が試合をコントロールするも、絆の深さで上回るKENTA、石森組が相手のピンチを互いにフォロー。鼓太郎のブルーディスティニーをKENTAに助けられた石森がメキシカンロールで丸め込み、公式戦で勝利を飾った。

 その直後、2分と間を置かずにスタートした優勝決定戦では、イスを手に乱入を試みた平柳をKENTAがgo2sleepでKO。2試合目とは思えないスピードで金丸組を圧倒し、石森との合体攻撃からKENTAがgo2sleepで金丸に勝利。博多でGHCジュニアタッグ王座を奪われた借りを倍返しした。

 2連覇を達成した2人は、次の目標として「ジュニアタッグのベルトを獲り返したい」とタイトルマッチの実現をアピール。不正な形で奪われた至宝を正々堂々取り返すことを誓った。

中嶋&飯伏組「また組みたい」、夢の続き実現を誓う

タッグリーグ台風の目となった中嶋(右)、飯伏(右から3人目)はタッグ再結成を約束 【t.SAKUMA】

 今リーグ戦の台風の目となった中嶋勝彦、飯伏幸太組は、「勝てば優勝決定戦進出の可能性が残る」という状況でジェイ・ブリスコ、マーク・ブリスコのブリスコ兄弟と対戦。飯伏のムーンサルト・ムーンサルトやフェニックス・スプラッシュ、中嶋のキレのあるキックやコンビネーションで実力者コンビにあと一歩まで迫ったものの、必殺技のドゥームスデイ・デバイスに飯伏が沈み、惜しくも優勝には届かず。しかし、若さとスピード、そして意外性あふれるファイトで会場を沸かせ、表彰式では技能賞を受賞するなど、確実にファンの支持を得た。
 「いい経験ができた」という飯伏に、中嶋も「また組みたい。楽しかった。来年こそ優勝したい!」と”夢の続き”の実現を誓った。

丸藤が全日本の世界ジュニア挑戦へ

丸藤(手前)は全日本プロレスの世界ジュニア王座挑戦へ名乗り 【t.SAKUMA】

 今年デビュー10周年を迎えた丸藤正道が全日本プロレスの世界ジュニア王座挑戦に名乗り。高校の1年先輩である王者・土方隆司へ向けて挑戦状を叩き付けた。

 丸藤は高校卒業後に全日本プロレスに入門し、98年8月にデビュー。しかし、タイトルマッチ挑戦を果たす前に00年にノアへ移籍した。ノアではGHCヘビー、タッグ、ジュニアヘビー、ジュニアタッグ、そしてグローバル・ハードコア・クラウンの全5タイトルを制覇した丸藤だが、「どうしても巻きたいベルト」である世界ジュニアへの挑戦をアピール。
 「10周年というのをひとつの区切りとして、自分の原点に触れたい」と、“ジャイアント馬場最後の弟子”として、かつての憧れであったベルト取りへ動き出した。

 これまでも丸藤はザ・グレ−ト・サスケ、棚橋弘至、初代タイガーマスクなど、リスクを恐れることなく他団体の大物と戦ってきており、「軽くあいさつしたことがあるぐらい」という柔道部出身の1年先輩(丸藤はレスリング部)への挑戦にも堂々と名乗りを上げた。
 土方自身も8.31両国国技館で「ジュニアヘビー級リーグ戦」を制したKAIを相手に防衛に成功して「全日本最強を証明」したことから「他団体とやりたい」と語っており、双方の会社が合意に至れば、早ければ9.28全日本・横浜文化体育館で実現の運びとなりそうだ。 

■プロレスリング・ノア「Shiny Navig’08」最終戦
9月6日(土)東京・日本武道館 観衆:11500人(満員)

<第9試合 GHCヘビー級選手権試合 60分1本勝負>
[王者]●森嶋 猛
(22分2秒 北斗ボム→片エビ固め)
[挑戦者]○佐々木健介
※健介が第13代王者に

<第2回日テレ杯争奪ジュニアヘビー級タッグリーグ戦優勝決定戦 時間無制限1本勝負>
●金丸義信、鈴木鼓太郎
(12分32秒 go2sleep→エビ固め)
○KENTA、石森太二
※KENTA&石森組が優勝

<第8試合 第2回日テレ杯争奪ジュニアヘビー級タッグリーグ戦公式戦 30分1本勝負>
金丸義信、●鈴木鼓太郎(10点)
(19分59秒 メキシカンロール)
KENTA、○石森太二(10点)
※金丸組、KENTA組が同点で並んだため優勝決定戦へ

<第7試合 第2回日テレ杯争奪ジュニアヘビー級タッグリーグ戦公式戦 30分1本勝負>
○ジェイ・ブリスコ、マーク・ブリスコ(9点)
(16分01秒 ドゥームスデイ・デバイス→片エビ固め)
中嶋勝彦(健介オフィス)、●飯伏幸太(DDT)(8点)

<第6試合 タッグマッチ 30分1本勝負>
田上 明、○モハメド ヨネ
(10分32秒 キン肉バスター→エビ固め)
高山善廣、●佐野巧真

<第5試合 6人タッグマッチ 30分1本勝負>
三沢光晴、小川良成、○杉浦 貴
(12分44秒 オリンピック予選スラム→体固め)
秋山 準、力皇 猛、●青木篤志

<第4試合 タッグマッチ 30分1本勝負>
小橋建太、○本田多聞
(13分38秒 デッドエンド→体固め)
齋藤彰俊、●井上雅央

<第3試合 第2回日テレ杯争奪ジュニアヘビー級タッグリーグ戦公式戦 30分1本勝負>
○デイビー・リチャーズ、ブライアン・ダニエルソン(9点)
(9分40秒 DRドライバー→エビ固め)
丸藤正道、●宮原健斗(健介オフィス)(2点)

<第2試合 6人タッグマッチ 30分1本勝負>
川畑輝鎮、志賀賢太郎、●平柳玄藩
(7分47秒 横入り式回転エビ固め)
泉田純至、○菊地 毅、橋 誠

<第1試合 タッグマッチ 30分1本勝負>
伊藤旭彦、●太田一平
(8分08秒 ワカラナイカッター(変型フィッシャーマンズバスター)→エビ固め)
リッキー・マルビン、○エディ・エドワーズ
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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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