川崎「ぶっつけ本番でも」―復帰に意欲=鷹詞〜たかことば〜
2日からキャッチボールを再開
メダルを逃した北京五輪で、左足の疲労骨折という大きな代償を追った川崎 【Photo:ロイター/アフロ】
居残り組のウオーミングアップが始まると、川崎はそれには参加せずにトレーニングルームに直行。室内ではエアロバイクをこぐなど足に負担のかからないメニューをこなしていた。
気になる左足の状態を尋ねると「まだ痛い」とのこと。
「痛くなかったらゲームに出るよ」
当然の答えだ。球団の発表では全治未定だが、足の故障が多いサッカー選手を調べてみると、同様の骨折をした場合に全治まで2カ月ほどかかっている。それを考えると、今季中の復帰はかなり困難だ。川崎の今シーズンは終わってしまったのか。
しかし、川崎はあきらめていない。室内でのトレーニングを終えると、グラブを持って屋外の芝生グラウンドでキャッチボールを始めた。約15メートルの距離だが、指先の感触や体の使い方を確かめるように、丁寧に10分間ほど照りつける太陽の下でボールに触れた。
「キャッチボールは(北京五輪準決勝の)韓国戦以来。やっぱり体を動かすのは気持ちがいいね」
足元を見れば練習用のシューズを履いている。特注品ではない。いつもと同じものだ。さらに室内に戻るとバランスボールに座ったまま捕球動作とティー打撃も行った。
「五輪出場が良かったと思える日が来る」
「今は分からない。でも、今まで後悔をしたことがない。だから、北京五輪に出たことも『良かった』と必ず思える日がくると思うよ」(川崎)
そして、4日も川崎は西戸崎練習場で汗を流した。キャッチボールの距離はあっという間に30メートルを越えていた。時間も5分伸びて15分間行った。その練習後、北京五輪が無駄でなかったと思える出来事があった。用具メーカーの担当者と何か話し合っている。グラブの型を変えたいという。参考にしたのは代表主将の宮本慎也(東京ヤクルト)のグラブだった。
この日、福岡ソフトバンクは北海道日本ハムにサヨナラ負けを喫して3位に転落した。今の不安定な戦いでは、クライマックスシリーズ進出すら危うい。レギュラーシーズンでの復帰を目指す川崎は日程表を見ながら、呟いた。
「ファームの最終戦は9月21日か…。そうなると、ぶっつけ本番だな」
それ以降も1軍の試合はまだ10試合以上残っている。川崎の中で、ひとつの目標が芽生えた。
<了>
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