急きょ登場の為末「出場は30分前に言われた」=4×400mリレー後コメント

スポーツナビ
 北京五輪の陸上は22日、午後に男女の4×400mリレー予選が行われ、日本は男女共に決勝へ進めなかった。男子はエースの金丸祐三(法政大)が右足ハムストリング(太もも裏)のけがのために、急きょ為末大(APF.TC)が出場。3分04秒18のシーズンベストを出したが、2組6位で予選で敗退した。丹野麻美(ナチュリル)らが出場した女子も、3分30秒52のシーズンべストを出したが、1組8位で敗退した。

 以下は、レース後の選手コメント。

為末「この体が持つ限りはやろうと」

(出場を言われたのは)30分前です。もちろんアップはしていたんですが、直前に急きょ決まって。金丸が行けそうだったら行くということだったんですが、直前に無理そうな状態になったので。
 僕が行ってどうなるレベルではないと重々承知していたんですけど。リレーメンバーはこれしかない選手もいるので、この体が持つ限りはやろうと。どんなレースだったのかも覚えていないです。たぶん、全体のタイムからすれば僕が一番遅いと思います。

(アップ不足か?)いや、それはないです。(金丸の)話は選手村で聞いていたので、いつ言われても行けるように準備していました。ただ、実際に言われたら、インカレに出るってのとはわけが違うので。周りが周りですし。
(リレーは世界選手権の)エドモントンが最後です。五輪のリレーは初めてですね。リレーは、自分の力以上のタイムを出して走るくらいだと思うので、それは個人で行ってるよりも責任感があるから。普通に400m走ったらこんなタイムは出ないですから。

(最後は成迫選手が2人抜きましたが)成迫は(400m)ハードルの後、何日間ですごく調子が上がってきてましたね。
 マイルリレーの場合、アテネで4番に入ったときのメンバーはいいんですけど、それ以外のメンバーは本当にみんなつらそうに思い出を語るので、そういう場にはしたくなかった。みんな複雑な思いはあると思いますが、精いっぱい、誰も力を抜いて走ったわけではないので、(自分以外の)3人は胸を張ってほしいです。

 金丸君が行けばという気持ちがあって、それぐらいで行くつもりはあったんですが、僕の体なので。僕の力分くらいしか走れないので、申し訳なかったです。みんなこのために来ていますから。
 もう今年はレースには出ません。アキレス腱も痛くなってきて、腰も痛い。いずれにしても関節とかは、ぎりぎりのところで調整していたので。オリンピックは夢の途中みたいなところなので、日本に帰らないと平常には戻れないです。

成迫健児(ミズノ)「為末さんが走ってくれてうれしかった」

(ハードルが終わってから調子が上がっているようだが)あと1週間あれば、思うようなレースができたと思うんですが。レースが終わって、為末さんからも、昨日ぐらいが一番キレのある走りができていると言われました。誰がけがをしてもいいように、為末さんも準備してくれていたので、動揺はなかったです。為末さんは何を起こすか分からない力があるので、逆に力が入りました。

 予選通過が目標だったんですが、届かずに悔しかったです。最後に抜いたのは意地です。このままでは終われなかった。5着以内だと可能性があったので。
(為末選手が自分が出て申し訳ないと言っていたが)本当ですか? 僕は為末さんが走ってくれてうれしかったです。為末さんも目の色が変わっていたし、ウオーミングアップからかなり緊張感を持ってやっていたので。個々の走力がないと(世界とは)勝負できないです。45秒台(の選手)をそろえないと。自分もそこに入っていきたい。

丹野「A標準を切って五輪に行くことが一つの課題」

 個人では、だいぶ自分らしいレースができたと思います。(オーダーを変えた理由は?)理由は先生に聞いていないですが、やはり前半に置いて行かれてしまうとなかなか勝負できないと思うので、前半から海外の選手としっかりと(並んで)レースに参加できるようにと、このオーダーになったと思います。まだまだ世界の壁はすごく高いなと思いますが、この場に立てたことだけでも、女子の短距離界としては1歩進んだと思うので、2歩、3歩と世界に近づいていけたらいいと思います。

(3分30秒を切りたかった?)そうですね。日本記録を狙っていたので、出せなかったことはすごく残念です。4人の力が上がらないと30秒は切れないと思います。その点はみんなで反省をして、また次に生かせるようにしたいです。
(原因分析は)走り自体はそんなに悪くなかったですが、全体的に走力を上げていかないといけないと思います。世界の壁はまだまだ高いので、いきなりは難しいですが、少しずつでもいいので、まずは30秒を切って、28秒、27秒と少しずつでも縮めていけたら。

(バトンワークが惜しかったが)想像以上に混戦になったので、バトンをスムーズに渡せなかったですが、これがマイルリレーだと思うので、しっかり練習していきたいです。結果的には差が大きいのは明らかなんですが、要所要所ではレースに参加できたと感じるので、その点は良かったです。なかなか混戦でマイルリレーをする機会がなくて。国内でやるとどうしても相手がいないので、もっと海外のいろいろな試合に出て、こういう経験をしないといけないと思います。

 4年後も、しっかりオリンピックを目指していきたいと思います。そういう意味では、1度経験しているのとしていないのとでは全然違うと思うので、自分の競技生活の上でいい経験になりました。経験を生かして、この舞台に帰ってこれるように、あと4年間をしっかりやりたい。今回のオリンピックでA標準を切らないと全然勝負にならないということが分かったので、A標準を切ってオリンピックに行くことが一つの課題だと思います。

<了>
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