フルセット勝利で見えた、取り組むべき課題=バレーボール女子1次リーグ 日本 3−2 ポーランド
第1、2セット連取も、五輪は甘くない
ポーランドに競り勝った日本。残すキューバ、中国との試合ではエース栗原の爆発に期待したい 【Photo:ロイター/アフロ】
対するは、美女軍団・ポーランド。五輪世界最終予選やワールドカップなど、「ここ一番」というところで、もはや必ずと言ってもいいほど対戦機会が巡ってくる相手だ。
最終予選では、試合順に指名権を持つ日本が「IDバレーの相手にデータを取らせないようにするためと、本調子を出す前に対戦しておきたいという2つの意味を込めて」(柳本晶一監督)と、初戦での対戦を希望。思惑がピタリと当たり、フタを開ければ3−1で日本が快勝した。
五輪本番では、当然地元・中国に送られる大声援を除けば、ほかの国にアドバンテージは存在しない。ポーランドにとっても、同じく負けられない一戦であることに変わりはない。激しい戦いが予想された。
ところがそんな予想を裏切って、日本が1、2セットを連取する。サーブで崩してブロックで仕留め、リベロ・佐野優子のレシーブでつないだボールを栗原恵、木村沙織、高橋みゆきらサイド陣が得点につなげる。理想通りとも言えるような展開で試合は進み、このままストレート勝ちを収めるかと思われた。
しかし、やはり五輪はそう甘くはないらしい。
第3、4セットは第1、2セットとは反対に、日本のサーブレシーブが崩され、思うような攻撃ができず、そこを高いブロックが立ちはだかる。完全にポーランドのペースにはまり、嫌なムードが漂い始める。日本での試合であれば、そのような場面も会場に響く「ニッポン」コールで一掃できるかもしれない。しかし、北京の首都体育館の応援合戦はポーランドのサポーターが叫ぶ「ポルスカ」コールがやや優勢。日本はセットカウント2−1で迎えた第4セットを23−21からポーランドに4連続失点を喫し、試合は最終セットまでもつれた。
ボールへの執着心でフルセットを制す
「1本のボールをつなぐことに対する執着心が、相手より勝っていたと思う」
試合後に竹下がそう語ったように、ディグ(スパイクレシーブ)、ブロックフォロー、フェイントカバーなど、「このボールは落とさない」という気持ちが見て取れるレシーブで攻撃につなぎ、中盤から日本がわずかに抜け出す。
終盤に追い上げられ苦戦しながらも、最後は木村がレフトからストレートに放ったスパイクでフルセットを制し、2勝目を挙げた。
コート横のフェンスに激突しながらレシーブをした佐野、相手ブロックをピンポイントに狙った高橋のうまいスパイクなど、光るプレーはいくつもあった。竹下の言う「執着心」も確かに随所で発揮されていた。しかし同時に、チャンスボールをチャンスで返す正確な返球、ラリーが続いた場面でのエース・栗原の決定力、木村がサーブレシーブで崩された際の対処法など、取り組むべき課題も明確だ。
2勝したことで、準々決勝進出に関しては「セイフティーゾーン」ととらえることもできるかもしれないが、まだ他国の対戦状況によっては確定ではない。残すはキューバ、中国。目標を「メダル獲得」と掲げるならば、たとえ相手がどれほどの強豪国だろうと、絶対に負けられない相手であることに違いはない。
レシーブには粘りが出始め、ブロックも荒木絵里香、杉山祥子らセンター陣を軸にし、ワンタッチを効果的に取るなど試合を追うごとに機能してきているのは確かだ。
キューバ、中国をもうならせる要所での決定力をいかに高めるか。エース栗原の爆発的な攻撃力だけでなく、竹下のトスワークが残る試合の鍵になりそうだ。
<了>
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