川崎が得た「MVP」よりも大切なもの
プロ人生初の「MVP」受賞
交流戦全24試合にフルイニング出場した川崎は12球団トップの37安打を放ち、打率も全体4位の3割6分6厘を記録した。6月1日の巨人戦(ヤフードーム)では延長12回にサヨナラ打を放って4連勝に貢献し、交流戦で出塁できなかった試合はわずか3試合だけという安定した活躍でチャンスメーカーとしての役割を果たした。
川崎は「ビックリしました。トナリ(大隣憲司・交流戦で4勝0敗の成績)かなと思っていたので。転がり込んできましたね」と驚いた様子。また、意外にも「MVP」と名のつく賞にはこれまで無縁だったという。予想外の受賞に実感がわかないのが本音なのだろう。
「1球」の怖さを思い知った交流戦
普通に考えれば優勝が決まった6月22日の巨人戦(東京ドーム)を挙げると想像しがちだ。もしくはサヨナラ打かもしれない。しかし、川崎の脳裏には優勝決定戦の前日の6月21日の巨人戦(東京ドーム)が焼き付いていた。
この試合は緊迫の投手戦。初回に松中信彦の犠飛で奪った1点を、先発の杉内俊哉が素晴らしい投球で守り抜いていた。9回裏2死走者なし、カウントは2−3。「あと1球」でホークスは勝てるはずだった。しかし、かつてチームメートだった代打の大道典嘉がまさかの同点弾。延長戦の末、ホークスは惜敗した。
「あんな経験は初めて。1球の怖さをあらためて思い知りました。ミスをしたらいけないし、投手を助けてあげないといけないんだと深く思いましたね」
王監督の胴上げは「秋に必ず」
主砲の松中信彦も「若い選手が勝てばうれしいということが分かったと思う。この緊張感の中でやれたことは大きいよ」と言った。
27日からはパ・リーグのレギュラーシーズンが再開される。ホークスはここまで72試合を消化。ちょうど半分だ。
「交流戦の優勝は後半戦に弾みがつく。西武との差も一時は7.5ゲーム差もあったが、ずいぶん縮まった(交流戦終了時点で2.5ゲーム差)。背番号がはっきりと見えるところまできた。後半戦は最初からムチを入れて頑張りますよ」(王貞治監督)
川崎も「シーズンで優勝すれば、この3倍も4倍もうれしいし、気持ちがいいと思う。必ず優勝を勝ち取ろうとみんなで話をしました」と気合を入れている。
交流戦の優勝では王監督の胴上げは行わなかった。それは「秋に必ず」というホークスナインの強い決意の表れである。
<了>
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