オグシオ、最大の危機で強めた結束力

平野貴也

先日行われたインドネシア・オープンでは初戦敗退となったオグシオ。これをバネに、北京本番では上位進出を目指す 【スポーツナビ】

 初の五輪を目前に控え、「オグシオ」は結束力を強めている。バドミントンの北京五輪日本代表選手が22日、都内で会見に臨み意気込みを語った。会見には、インドネシアオープンの決勝に残った末綱聡子・前田美順の女子ダブルス1組を除く8選手が出席。その中で多くの報道陣から注目を集めたのは、やはり「オグシオ」こと、女子ダブルスの小椋久美子・潮田玲子組だった。

 バドミントン界の美女ペアとして話題を呼び、二人の愛称は瞬く間に広まった。その人気ぶりは写真集が発売されるほどで、21日には二人を中心に変化を見せるバドミントン界を描いた「オグシオ・デイズ」(ベースボール・マガジン社)も出版された。この日の会見では北京五輪で着用する新ユニホームが発表され、二人も新しい勝負服姿を披露した。素材にストレッチパイルライトを用いて、高いストレッチ性を発揮するなど、当然のことながら運動面の機能を考えられた仕様となっているが、見た目はかわいらしい感じのするワンピース。二人が「恥ずかしい」と言って照れると、無数のフラッシュが浴びせられた。
 昨夏に世界選手権で銅メダルを獲得するなど実力も申し分なく、五輪初出場ながら、注目度も手伝ってメダル獲得の期待は高まっている。しかし、トップアスリートの戦いの場は、やはり笑顔だけではいられない。二人は今、最大の危機からはい上がろうとしている。きっかけは、4月に小椋が腰を痛めて戦線離脱を余儀なくされたことだ。その間、小椋は回復に努め、潮田は別のパートナーと組みながら実戦をこなした。それまで一緒にいることが当たり前だった二人は、別々の時間を過ごしながらコミュニケーションを取ることで、互いに新たな思いを抱くようになった。

小椋の復帰初戦で変化を見せた潮田

実戦復帰を果たした小椋。リハビリ中のパートナーの心づかいに感謝した 【スポーツナビ】

 2カ月半の休養を経て小椋が復帰し、ペア再結成後に初めて臨んだのが17日に開幕したインドネシアオープンだった。すでに五輪出場権を獲得し、北京五輪に向けた調整段階にある二人ではあるが、結果は初戦敗退。小椋は腰の不安こそ払拭(ふっしょく)できたものの、試合勘が戻らずに自信がないまま臨んでいたという。「自分が何をしたいのか、どうすればよいのかも分からなかった。ただ頑張らなくてはという思いだけ。自信を持てないと本当にダメなのだと感じた。五輪の前に試合を行うことができて良かった。こういう試合が五輪で出てしまったら、絶対に悔いが残る」と、築き上げた自信を失いかけた敗戦を振り返った。
 試合に負けた後、二人は宿舎の部屋で1時間ほど反省点などを話した。復帰直後で本調子ではなかった小椋は、当然のように「自分が足を引っ張って、コンビネーションが合わなかった」と考えていたが、潮田は「二人でやっているんだから、一人の調子が悪くても、もう一人がカバーすることができたはず」と、自分自身が責任を持つという姿勢を強く示したという。
 相手を思いやる気持ちは、それまでももちろんあった。リハビリ中の小椋は、遠征中の潮田から送られてきたメールに「頑張って」という言葉がないことに気付き、「頑張ってと言われたら、どうしても焦ってしまうのを知っているからだと思っていたけれど、話してみたらやっぱりそうだった」と、古くは小学校時代から知るパートナーの心配りに感謝した。しかし、五輪まで残り数十日という状況下、小椋が感じ取ったのは優しさだけではなかった。「玲ちゃん(潮田)が引っ張っていこうとしてくれているのをすごく感じた」と話した。

「やっぱり、二人で一つのダブルス」

笑顔で会見に臨んだ潮田。小椋の一時休養で、あらためてコンビネーションの大切さを感じた 【スポーツナビ】

 一方の潮田は、小椋不在の間、国別対抗戦のユーバー杯や日韓交流戦に別のパートナーと出場。報道陣には「おぐっち(小椋)の存在の大きさを再確認できた」、「すごく頼っていた部分があったことが分かった」と話していた。小椋が復帰したインドネシアオープンでは、フィジカル面でピークを迎えており、絶好調だったという。復帰初戦の小椋の分までと気負ったものの、「一人だけが良くてもダメで、ダブルスは難しいなとあらためて感じた。やっぱり二人で一つのダブルス」と、コンビネーションの大切さを再確認した。

 北京五輪の開幕まであと47日。課題は少なくない。「今はとにかく試合をしたい」と話す小椋は試合感覚を取り戻さなければならず、その上で、二人のコンビネーションを再び高める必要がある。また、初舞台で強まる注目やプレッシャーにも打ち勝たなければならない。しかし、7月26日には、バドミントンの組み合わせ抽選が行われるなど、大舞台はおよそ1カ月半と迫っており、いずれにせよ「悩んでいる時間もない」(小椋)時期に来ているのは間違いない。不安や焦りが襲い掛かってくるが、窮地に立たされたオグシオは「ここまでも二人で戦ってきた」と口をそろえ、より強固になった二人三脚で立ち向かう。

<了>
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著者プロフィール

1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。主に育成年代のサッカーを取材。2009年からJリーグの大宮アルディージャでオフィシャルライターを務めている。

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