欧州8強出そろう 頂点に立つのはどの国だ!? =ユーロ2008決勝トーナメント展望
攻撃的なチームが決勝トーナメントへ
ここまで4ゴールと絶好調のスペイン代表ビジャ(手前) 【REUTERS】
それぞれにスタイルは異なるものの、ポルトガル、オランダ、スペインの3チームはここまで好調な戦いぶりを披露しており、視界は良好だ。だが、ユーロ2004でギリシャの優勝を目撃したわれわれは知っている。力の拮抗(きっこう)するヨーロッパの大会では、常に“サプライズ”はつきものだと。
幸運なことに、今大会のグループリーグでは、バリエーション豊かな戦術やシステムが見られた。分析するのに格好の材料がそろっているわけだが、中でも魅力的なフットボールを見せているのは、前述の3カ国だ。ダビド・ビジャとフェルナンド・トーレスの2トップがゴールを量産しているスペイン、ポジションチェンジが激しく、カウンターのさえるオランダ、偉大なるMFデコが攻撃を操り、クリスティアーノ・ロナウドら決定力のあるFWを擁するポルトガル。いずれも、相手ゴールにたどり着くため、効果的に攻撃を組み立てている。
ポルトガルの最大の試練は、ドイツとの準々決勝
4年前の悔しさをバネに成熟度が増したポルトガルのロナウド(中央) 【REUTERS】
しかし、ブラジル人監督ルイス・フェリペ・スコラーリのチームにとっての最大の試練は、準々決勝の“くせ者”ドイツとの一戦になるだろう。2006年ワールドカップ(W杯)以後、ドイツ監督のヨアヒム・レーブはユルゲン・クリンスマンからチームを引き継いだが、前任者時代からコーチを務めており、戦術に大きな違いはない。国際大会で優勝こそ果たしていないが、常に上位に顔を出している。
かつての西ドイツ時代のようにスターぞろいというわけではないが、ミヒャエル・バラック、ルーカス・ポドルスキ、ミロスラフ・クローゼらタレントを擁する。バラックはチェルシーに移籍してしばらくは調子を落としていたが、シーズン終盤には完全復活。ポーランド生まれのFW2人も爆発力を秘めている(クローゼは今大会はまだ眠ったままだが)。グループBでクロアチアの後塵こそ拝したが、そのダイナミックなフットボールは決勝にまで上り詰める力を持っている。
クロアチアとトルコは対等
クロアチアが誇るゲームメーカー、モドリッチが攻撃を支える 【REUTERS】
クロアチアは、準々決勝でトルコと対戦する。奇跡のような逆転勝利で決勝トーナメント進出をつかんだトルコは4年前のギリシャのような存在と言えるが、もっと手ごわいことは確かだ。
ミランの監督を務めるなど、経験豊かなファティフ・テリム率いるトルコは、今大会3度目のアップセットをもくろんでいることだろう。グループリーグ第2戦のスイス戦では、ロスタイムのゴールで勝ち越し。最終戦でも、残り15分で2点のビハインドを跳ね返す大逆転勝利を飾った。初戦のポルトガル戦に敗れた後の2連勝で、トルコは精神的に勢いづいている。失うもののない彼らは、クロアチアとも対等に戦えるだろう。勝者は蓋を開けるまで分からない。