20年ぶりによみがえった「南海ホークス」
杉浦監督の涙から7164日
福岡ソフトバンク・ホークスはこの日、甲子園球場で行われた阪神戦に「南海ホークス復刻ユニホーム」を着用して試合に臨んだ。モスグリーンの帽子とロゴマークに、特徴的な左腰の「腰番号」。これは、南海が輝かしい成績を残した1959年から10年間着用したホーム用のユニホームを復刻したもので、球団創設70周年を記念して、この試合でお披露目されることになったのだ。
このユニホーム、製作にはかなりの苦労があったそうだ。特に大変だったのが独特のモスグリーンの色合いを再現することだった。南海時代にプレーをしていた解説者などのアドバイスを受けて、何度も何度も改良を重ねたと聞いている。そのかいあって出来栄えは上々。元南海戦士で解説者の藤原満さん(1969年入団)は「懐かしい」とレプリカに袖を通しただけでも大喜びしていた。
一方、現在のホークスに南海でプレーした選手は誰もいない(現役では巨人の大道典嘉が唯一の南海ホークス経験者)。それでも川崎宗則は「歴史の厚みを感じました」と話し、「その時のプレーヤーの気持ちになって、無敵のホークスとして戦いたい」と力を込めた。また、選手たちに好評だったのが足元の「オールドスタイル」。甲子園球場という場所も重なって「高校のころはこのスタイルが当たり前だった。当時を思い出します」という声が多く聞かれた。
また、王貞治監督にとって当時の南海は手ごわいライバルだった。「当時は南海も人気があった。大阪球場はお客さんでいっぱいだった」と懐かしみ、ユニホームについても「こういう色はいいね。最近は派手な色が多いから」と目を細めた。
南海の復活を歓迎したファンたち
レフトスタンドの一角を陣取ったホークスファンの数は、2003年の日本シリーズで見たときよりも多かった。そしてこの日、選手別の応援歌は南海当時のものを使用していて、このメロディーは佐々木誠だ、そうだ山本和範だ、これは門田博光だなどと記憶をよみがえらせながら試合を観戦した。7回の演奏も「いざゆけ若鷹軍団」ではなく「南海ホークスの歌」だった。
この日、甲子園球場は平日のナイターにもかかわらず、今季最多の観客動員数を記録した。阪神ファンも含めて、関西の野球ファンは「南海」が帰ってくることを待ち望んでいたようだ。
この南海ユニホームを見るチャンスはあと2回。8月3日と4日のオリックス戦(京セラドーム)がある。生誕の地、大阪で「南海ホークス」が躍動する。今から待ち遠しいファンも多いだろう。
ただ、個人的には福岡でも見たかった。特に7月15日と16日の埼玉西武戦(ヤフードーム)では、埼玉西武が「西鉄ライオンズ復刻ユニホーム」を着用する。かつての「南海 vs. 西鉄」はパ・リーグを代表する黄金カードだった。その再現がかなえばファンはもっと盛り上がったのに、と思う。
<了>
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