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中央学院大・成田のエースの背中
第57回全日本大学野球選手権2日目リポート

サヨナラで負け投手に

【奈良産大 1対0 中央学院大】 「成田は責められない。先行できなかったのがすべて」。そう言って唇をかんだ指揮官の視線の先には、座り込んで涙を流す成田考宏(4年=日大一高)の姿があった。成田は得意のスライダーで相手打線を翻ろう。持ち味の打たせて取るピッチングで得点を許さなかったが、延長13回に奈良産大・北山恵丞(4年=帝京第五高)にサヨナラ打を浴び、負け投手になった。

味方の援護がなくても

 投手戦になることは分かっていた。中央学院大・菅原悦郎監督は「1点勝負は予想していた。3点あれば間違いなく勝てる。そう思っていた」と語る。しかし、奈良産大・蕭一傑(しょう・いっけつ/4年=日南学園高)の投球は、指揮官の想定を超えていた。「思ったより変化球のコントロールが良かった。最後まで的を絞れなかった」と菅原監督が語るとおり、チャンスをつくってもあと一本が出ない。結局、中央学院大は最後まで得点を奪えず、好投する成田を見殺しにしてしまう。

 

 それについても成田は「(点が入らないことに)焦りはなかったです。相手もいい投手だっていうことは分かっていたし、打線が良くないときは自分が抑える。それが勝つために必要なことですから。むしろミスもなくしっかり守ってくれたのに申し訳ないです」と自分を責めた。

役目を果たしたエースの背中

 この日、12回3分の2を投げて1失点という成績を収めたにもかかわらず、背番号13の胸中は悔しさばかりだった。

「0対1で負けるより、15対14で勝ったほうがいい。負けたら意味がないんです」

 成田はそう言って涙をぬぐった。誰よりも勝ちにこだわっていたからこそ、結果に納得がいかないのである。

 

 菅原監督は、どんなにイニングが進んでも「成田を代えるつもりはまったくなかった」と言う。それは成田でダメなら仕方ないという信頼の証だ。試合後、チームの運命とともにマウンドを降りた成田の後ろ姿は、敗者のものではなかった。それは、役目を果たしたエースの背中だった。


<了>

スポーツナビ

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