スナイデル「自分たちの可能性を信じている」=“死の組”突破を目指すオランダ代表の司令塔

強豪オランダの大黒柱に成長したスナイデル 【Getty Images/AFLO】

●●ユーロ(欧州選手権)2008で、優勝候補の一角に挙げられるオランダ代表。その司令塔を務めるのが、ウェスレイ・スナイデルだ。前回の2004年大会では限られた出場時間しか与えられなかったが、今大会は若手とベテランが融合を図る“新生オランイェ”のシンボルとしてピッチに君臨する。

 名門アヤックスのユース出身で、卓越した戦術眼を持ち、パス、シュート、フリーキックいずれにおいても、精密機械のようなコントロールショットを放つスナイデル。10代のころから将来を嘱望されていたが、その線の細さから、トップレベルでの実力を疑問視する者もいた。しかし今季はレアル・マドリーに移籍すると、中心選手としてリーガ・エスパニョーラ2連覇に貢献。欧州中にその真価を知らしめた。

 オランダは今大会、“死の組”と呼ばれるグループCに入り、2006年ワールドカップ(W杯)王者のイタリア、同準優勝フランス、そして予選で後塵を拝したルーマニアと激突する。過酷な戦いが待ち受けているが、スナイデルは自分たちの可能性を信じ、さらにこのグループを突破したものこそ、頂点に近づくと語る。初戦のイタリア戦が行われる6月9日は、くしくもスナイデルにとって24歳の誕生日。オランダをグループリーグ突破、そして頂点へ導く門出の記念日となるだろうか●●

ファン・バステン監督とのすれ違いは克服

――オランダはグループCでイタリア、フランス、ルーマニアと同居することになった。決して運がいいとは言えないけれど……

 確かにそれは事実だ。“最悪なグループ”と言えるかもしれないね。だけど、僕らは自分たちの可能性を信じているし、準々決勝へ進めると思っている。試合が終わるまでは、いろいろなことを言われるだろうけれど、まずは結果を見てみたいね。もちろん同組の3カ国は手ごわいし、そのうちの2つ(イタリアとフランス)は2年前のワールドカップ(W杯)のファイナリストだ。ルーマニアだって伝統的にいいフットボールをする。オランダは十分に注意しなければならない。

――オランダは若い選手が多いけど、ヨーロッパ各地のビッグクラブで経験を積んでいる。その中でも、今大会は君に注目が集まると思うけど、それはプレッシャーにはならない?

 そうでもないよ。僕らはそれぞれ普段からビッグクラブでプレーしているし、僕の場合もレアル・マドリーでテレビカメラが常にそばにいるのは慣れているからね。それに、僕らはユーロのようなビッグトーナメントがどのようなものか知っている。監督のマルコ・ファン・バステンは経験が豊富だし、1988年ユーロの優勝メンバーでもある。だから、いろいろな経験談をしてくれるんだ。

――ファン・バステン監督と選手たちの関係は? 過去には何人か問題を抱えていた選手もいたけれど

 今はとてもいい関係だと思うよ。僕らは過去のすれ違いを克服したし、ルート・ファン・ニステルローイも今は代表で居心地がいいはずだ。僕らオランダは前回のW杯で苦い思いをしたからね。

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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