デコ「素晴らしいユーロになる」=ポルトガル代表の心臓の鼓動

ポルトガルの“心臓”デコは、チームを頂点に導けるか 【Photo:AFLO】

●●ブラジルからポルトガルに帰化してはや5年。ユーロ(欧州選手権)2004準優勝、2006年ワールドカップ(W杯)ベスト4というポルトガル代表の躍進を、同郷のルイス・フェリペ・スコラーリ監督とともに支え続けたアンデルソン・ルイス・デ・ソウザ、通称“デコ”。かつてはルイ・コスタやフィーゴの、そして今はクリスティアーノ・ロナウドというスターの影に隠れがちだが、フットボールを知る者であれば、彼こそがポルトガル代表の心臓であることを理解しているだろう。

 堅実なボールキープに、緩急をつけた自在のパス。そして労を惜しまぬランニングと、献身的な守備。ポルトガル代表のすべての歯車は、デコを中心に回っていく。今季のバルセロナではけがもあり、良いシーズンを送れなかったが、ユーロに向けてコンディションは上がっていると語るデコ。悲願の欧州制覇を狙うチームの心臓は、歓喜の瞬間を待ちわびながら、ひとつひとつ、静かに脈を打っている●●

ポルトガルは本当に最高のチームになっている

――ポルトガルは前回大会のユーロで準優勝、そして2年前のW杯でもベスト4と、近年はいい成績を収めている。今度のユーロについても手応えはある?

 チームのコンディションはいいと思うよ。正直に言うと、とてもいい状態に仕上がっている。チームは若い選手と、ユーロやW杯を経験しているベテランがうまくミックスされている。そしてクリスティアーノ・ロナウドやクアレスマのように、若いけれどすでに多くの経験を積んでいる選手もいるしね。レアル・マドリーのペペ、ポルトのボジングワといった中堅の選手も、各国のビッグクラブでプレーしている。ポルトガルは本当に最高のチームになっていると思う。願うのは、ひとりの負傷者も出さずに大会を戦い切ることだ。そうすれば、素晴らしいユーロになるんじゃないかな。

――今大会、ポルトガルが大本命として見なされていることは認識している?

 大本命とは言えないと思う。僕らよりもっと歴史のあるチーム――フランス、ドイツ、イタリアといった、ビッグトーナメントで何度も優勝を経験している国があるからね。でも、ポルトガルは先のユーロやW杯で結果を残してきたし、今の戦力を考えれば、優勝候補の一つには挙げられるんじゃないかな。でも大本命ではないと思うよ。

――ポルトガルの一番の強みは何だろうか

 まず、僕らには偉大な監督(スコラーリ)がいる。そこはほかのチームと比べても、大きなアドバンテージだと思う。そしてポルトガルには、何か大きなことを成し遂げようと野心に燃える若手選手もいる。特にクリスティアーノはまさに選手としての絶頂期にいると言えるんじゃないかな。堅いディフェンスも僕らの特徴だし、いい大会になると信じているんだ。

――逆にウイークポイントは?

 うーん、どうだろう。分からないな……。純粋なストライカーが必要だと言えるかもしれないけれど、それについては既に監督が解決策を見いだしているから……。もちろん僕らにも弱点あるけれど、今ここでは言わないよ(笑)。弱点のないチームなんてないからね。

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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