チームワークで決勝進出を狙う創価大=第57回全日本大学野球選手権直前リポート

矢島彩

エース離脱で精神面磨かれた3年生右腕

今春のリーグ戦で6勝を挙げた本格派碗・大塚。エース勝又の故障の穴を埋めた 【矢島彩】

 東京新大学野球春季リーグ戦を10勝1敗(勝ち点5)で制した創価大が、5年連続16回目の全日本大学野球選手権(6月10日〜/神宮球場・東京ドーム)の出場を決めた。全国大会で3年連続ベスト4と安定した強さを見せているが、今大会は明大、九州共立大、上武大など好投手ひしめく激戦ゾーンに入っている。昨年のチームから田中隆彦(光星学院高卒・現王子製紙)、小早川伸仁(創価高卒・現JR東海)ら強打者が卒業したことしの創価大の戦力とは?

 心機一転、ゼロからのスタートだった。昨秋リーグ連覇記録を8で止められる屈辱を味わった。岸雅司監督は「1、2年生主体のチーム(流通経済大)に負けたことが歯がゆかった」と振り返る。その悔しさを胸にスタートした新チームは、センターラインが抜け、エース・勝又一樹投手(4年=富士宮西高)も戦列離脱。毎年守備からリズムをつくるチームだけあって、不安要素が多かった。
 そこで、目の色を変えたのが、2番手だった本格派右腕の大塚豊投手(3年=創価高)だ。
「ずっと1戦目で投げたいと思っていた。昨年、東北福祉大を完封してから次の早大戦でバテてしまった。ことしは何連投でもできるように意識して練習してきた」
 あまり好きではないという走りこみの量も質も増やした。技術以上に精神面が磨かれ、自他ともに「我慢強くなって態度に出なくなった」と話す。その証しに今春のリーグ戦では調子を落としながらも6勝をマーク。流通経済大との天王山は1戦目に155球を投げ抜き、中1日置いて負ければV逸の場面で再び完投。これぞ、“心で勝つ”をモットーにする創価大の野球だった。

試合に出ている選手全員がキャプテン

例年に比べて小粒になった創価大だが、1番から9番まで足が使える打線となった。前列左から脇山、長谷部コーチ、遠藤、後列左から花山、田上 【矢島彩】

 ことしは大塚豊を筆頭に下級生主体のチームだ。クリーンアップには花山貴志外野手(3年=愛工大名電高)、清野友仁外野手(3年=習志野高)、高橋秀信内野手(3年=花咲徳栄高)、田上健一外野手(3年=創価高)と3年生が並び、1番には1年生の脇山渉(愛工大名電高)が抜てきされた。「みんな1番打者みたいな選手」(岸監督)と、1番から9番まで俊足がそろう。レギュラーの4年生は遠藤徹内野手(4年=岩倉高)だけ。このようなチーム構成だと、どうしてもモチベーションが低くなりがちだが、創価大にその心配は皆無だ。
「出てる選手全員がキャプテンという気持ちで試合に臨んでいる。それに、4年生が陰で引っ張ってくれていますから」(遠藤)

 寮はもちろん、グラウンド脇でジャージ姿の4年生スタッフが環境整備に徹する。勝又は春は投げられないと承知の上でも手本となって先頭でランニングをこなしてきた。大塚豊が「試合に出てなくても3年生は4年生についていってます」と当然のように話せば、新人の脇山も「ここに来て選手以外のスタッフの働きにびっくりした。そうやって支えてくれている人たちのためにも勝たなければと思う」と気を引き締める。
 チームの団結力は近年でも屈指。ことしこそ、決勝進出の壁を打ち破りたいところだ。

<了>
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著者プロフィール

 1984年、神奈川県出身。『アマチュア野球』、『輝け甲子園の星』『カレッジベースヒーローズ』(以上、日刊スポーツ出版社)や『ホームラン』(廣済堂出版)などで雑誌編集や取材に携わる。また、日刊スポーツコム内でアマチュア野球のブログを配信中

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