バレー全日本女子、難関の初戦で貴重な白星=五輪最終予選

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データバレーの巧者・ポーランドを破り、白星発進の全日本女子 【(C)坂本清】

 バレーボールの北京五輪最終予選が17日に東京体育館で開幕し、日本女子代表はポーランド女子代表を3−1(25−20、27−25、19−25、25−17)で下し、白星スタートを切った。8チーム総当りのリーグ戦で争われる今大会は、アジア予選を兼ねる。そのため、最上位、およびアジア圏から参加の最上位、この両国を除く他の上位2位の計4チームに五輪出場権が与えられる。

第2セットはポーランドのミスに救われて逆転

 1月に発表された最新の世界ランクでは、セルビアが最上位の7位に位置し、その下に8位の日本、9位のポーランドが続く。日本は開催国の権利として、2試合分の対戦カードと日程を指定することができ、今大会では第1戦のポーランドと、第5戦の韓国を指定。結果としては、この選択が吉と出た。ポーランドのマルコ・ボニッタ監督は肝心の初戦でありながら「1週間ほど前からしか準備ができず、選手は皆、コンディションが悪かった」と調整ミスを敗因に挙げた。打点の高い速攻や、高さを生かしたブロックなどで日本を苦しめる場面もあったが、リズムをつかむことができなかった。負傷の影響もあったというカタジナ・スコブロニスカは、パワーのあるスパイクを放つものの、ボールはことごとくネットに引っかかり自陣へ落ちるなど不調。第2セットには先にセットポイントを奪ったもののサーブミスなどで自滅し、セットを失った。

選手は反省点挙げるも決して悪くないスタート

 対する日本も北京五輪の出場権がかかる緊張感からか動きが硬く、反省点がないとは言えない。しかし、ミスを恐れてスパイクを打ち切れない展開に何度もおちいったが、我慢強く戦い抜いた。要所で活躍した栗原は「大きな山場の一つを乗り越えられたのは良かった。でも、はずみがつくというより、つけないといけない。個人的にはまったくダメ。ブロックにつかまった場面で弱気になり、逃げてしまってアウトにしてしまった。これを修正しなければ次はない」と、安堵(あんど)と反省の入り混じった表情で話した。荒木絵里香や高橋みゆきら活躍を見せた選手も反省点が口を突いた。しかし「負けてはいけない」初戦の結果としては、決して悪くない。相手の高さに苦しみながらも、粘り強さを見せた。柳本晶一監督は、内容には満足していないと言いながらも「私が五輪最終予選を戦うのは2回目。プレッシャーがかかるのは分かっている。私の厳しい要求に対し、チームがどのように反応し、団結するかが大事。最後までよく戦った結果だと思う」と大事な初戦で難敵から貴重な勝ち星をつかんだメンバーをねぎらった。日本は翌18日にプエルトリコ(初戦は韓国に1−3で敗戦)との第2戦を迎える。

戦評

<第1セット>

 第1セットは、日本が素晴らしい出足からリードを奪い続けた。序盤、竹下佳江のサーブから始まる攻撃で4点を先取すると、その後も栗原、高橋、木村沙織を中心に得点を重ね、リードを6点差と広げた。しかし、中盤に入るとブロックに捕まる場面が目立つ。ポーランドは、アンナ・ポドレッツがバックアタックの体勢からフェイントを落とすなど(日本)18−17(ポーランド)と1点差に詰め寄った。それでも日本は竹下のフェイントや相手のミスで24−20と4点差に突き放すと、最後は投入直後の櫻井由香がサーブでポーランドの守備を乱し、相手のスパイクミスを呼び込んだ。第1セットは、日本が25−20で先取。

<第2セット>

 第2セットは、1〜2点差でリードを奪い合う一進一退の展開。中盤、互いがフェイントを繰り出す展開になると、日本はリベロの佐野優子が好レシーブを見せるなど粘りを見せる。ポーランドはアグニェシュカ・ベドナレクが速攻から打点が高いスパイクを素早く打ち込んで応戦。22−22の同点から日本のサーブミス、エースのマウゴジャータ・グリンカのバックアタックで(日本)22−24(ポーランド)とセットポイントを呼び込んだ。しかし、ポドレッツがサーブをミス。日本は竹下に代えて多治見麻子を投入すると、高さに厚みが加わわった前線で荒木がブロックを決め、24−24のジュースに持ち込んだ。互いに得点を取り合った25−25の展開から、日本は佐野のスーパーレシーブ、荒木のブロックなどでアドバンテージを奪うと、最後は木村のバックアタックで27−25と逆転で2セット連取を果たした。

<第3セット>

 第3セットもきん差の攻防となった。序盤、日本は栗原が長身を生かした溜めのあるスパイクを決め、木村が不安定なトスをバックアタックで決め切るなど好プレーが見られるものの、相手の攻撃を止められずに両チームの得点は拮抗した。中盤に入ると、日本は竹下が好レシーブを連発するものの、トスがうまく上がらないために攻め切ることができず、フェイントに頼る形が増える。すると、木村のバックアタックが3枚のブロックに阻まれて13−17と4点のリードを奪われるなど攻撃に余裕がなくなり、次第に流れを失っていく。結局、その後も3連続失点を喫するなど苦しみ、最後はサーブミスで19−25とセットを奪われた。

<第4セット>

 第4セットは、日本が勝利をつかみ取るか、ポーランドが流れを変えるかの勝負どころとなった。日本が木村のスパイクで12−9とするまで、双方のリードが3点以上になることはなかった。しかし、そこから日本が一気に流れをつかんだ。竹下のバックトスを高橋がストレートに打ち込んで決めると「2003年の時点から2人と心中するつもり」でチームを作ってきた柳本監督は咆哮(ほうこう)。さらに荒木がブロックを決めて3連続得点とした。その後はシーソーゲームとなったが、ポーランドはミスが目立ち逆転の可能性を生み出せない。最後は、この試合の勝ちセットでは必ず終盤に投入された大村加奈子がブロックを決め、25−17でマッチポイントを物にした。

<了>
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