黒田博樹、メモリアル・シーズンの幕開け

カルロス山崎

オープン戦で得た大きな収穫

オープン戦最終登板で好投したドジャースの黒田。女房役、マーティンとの意思疎通の問題もなく、万全の状態で初戦に挑む 【 (C)Getty Images/AFLO】

 米大リーグ、ドジャース黒田博樹のメジャー1年目が幕を開ける。先発4番手で、初登板は現地時間4日(日本時間5日)、敵地サンディエゴでのパドレス戦だが、「相手よりも、自分だと思います」と気負いは見られない。7試合に先発したオープン戦では2勝1敗、防御率4.18という成績。しかし、数字には決して現れることのない大きな収穫もあったようだ。オープン戦最後の登板となった30日のレッドソックス戦の後、黒田はこう振り返っている。

「ラッセルは幅広い配球をしてくれている。自分にとってもすごく勉強になった部分もあって、試合ごとにいろんな発見もあった。また、ぼく自身がこういうボールが投げたい、というのもラッセルに分かってもらえるようになったと思う。最初はただ投げているだけ、という感覚だったが、徐々にピッチングらしくなってきた」

 メジャー1年目の黒田にとって、ラッセル・マーティン捕手の存在は大きいはずだ。まだ25歳と若いマーティンだが、2006年にレギュラーの座をつかむと、07年にはファン投票でオールスターに選ばれるなど、ナショナルリーグを代表する捕手となった。強肩に加え判断力も優れており、リーグ1位となる盗塁阻止率3割3分3厘(ちなみにメジャー1位は城島の4割6分5厘)という成績を残した。また、打率2割9分3厘、本塁打19本、打点87、さらには21盗塁をマークし、ゴールドグラブ賞とシルバースラッガー賞も受賞。チームMVP級の活躍で、08年版ドジャースのポケットスケジュールはマーティンが表紙を飾っていることが証明しているように、まさにドジャースの顔というべき存在だ。

良き女房役、マーティン

 そんなマーティンは打撃が良いだけの捕手ではない。投手の良いところを引き出すことに長け、リード面に定評がある「打撃も良い捕手」なのだ。また、マーティンのキャッチングについて黒田は「すごくうまいですよ」と評価しており、レッドソックスとのオープン戦で奪った6つの三振のうち、ミットが流れないしっかりしたキャッチング(メジャーの捕手はよくミットが動く)が功を奏した部分も実際にあった。黒田はオープン戦最終登板の後、

「会話だけじゃなくて、意思の疎通というか、マウンドとキャッチャーとの間での意図というか、そういうのが合ってきた」とマーティンとの呼吸が合ってきていることを認めているが、捕手との意思疎通面における懸念材料が少ないのは、余計なストレスも少ないということ。つまり、黒田は比較的早い段階にして、大きな収穫を得たと言っていいだろう。ただし、プロ11年の経験からか、気持ちを引き締めることも忘れない。

「(オープン戦)最後の登板でいいピッチングができたので、気持ちよくシーズンに入っていけると思う。ただ、こんなに簡単に抑えられるとは思っていないので、自分のベストのピッチングができるようしっかりやっていきたい」。

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著者プロフィール

大阪府高槻市出身。これまでにNACK5、FM802、ZIP-FM、J-WAVE、α-station、文化放送、MBSラジオなどで番組制作を担当。現在は米東海岸を拠点に、スポーツ・ラジオ・リポーター、ライターとして、レッドソックス、ヤンキースをはじめとするMLBや、NFL、NHLなどの取材活動を行っている

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