チャンピオンの貫禄に屈す=J1第2節 東京V 0−2 鹿島
結果こそが百万言に勝る
「後半、鹿島は体力的に厳しくなってきて、セカンドボールの拾い合いで劣勢となってから、ゴール前を固めてカウンターを狙ってきた。そこにはホームの東京Vが前に出てくるに違いないという予測があったのでしょう。自分たちの力をうまく利用された感じです」
試合を通じて、東京Vは相手の攻撃をしっかり受け止め、ボール奪取からパスをつないで鹿島のゴールに迫った。ゲームの構成力では、まったく見劣りしていない。フィニッシュの部分で決め手を欠くのは否めないが、そこまでの過程は見応えたっぷりだ。
柱谷監督が「とにかく、試合に使い続けることで成長を促す」と期待をかける富澤清太郎は言った。
「相手の2トップをはじめ、守備面で警戒していた部分はほぼ消せていたし、自分自身もボランチとして開幕戦よりいいイメージで試合に入れている。チームの方向性は間違っていないと確信しています。それは十分証明できていると思う。今後、プレーの質を高め、チーム力を上げていきたい」
右サイドのタッチラインを激しく往復し、攻守両面に奮闘した廣山の見方はこうだ。
「サイドを突破口にチャンスを作るというチームの狙いはまずまずできた。マッチアップする選手との関係でなかなか前に出られない時間もあったが、押し込まれているという感覚ではありません。開幕からの2試合、全力で相手にぶつかり、内容的には思った以上のものが出せている」
それぞれ話の中では、結果負けてしまったことの反省があり、特に廣山は最初のビッグチャンス(7分、GK曽ヶ端準との1対1があった)を逸した際の残念話もあるわけだが、ここでは省く。それより、選手たちにはいつも話を聞かせてもらっているので、たまにはこちらの正直な感想を言ってみた。90分間とてもワクワクしたし、見ていて面白いサッカーだったと。負けて悔いなしとはいかないが、相手のほうが上手だったと気持ちの落とし所がある。
「こういうゲームは、やっている僕らも楽しいですよ。充実感がある。もちろん、勝てればもっといいんですけどね。早く次の試合をしたいという気持ちです」
気掛かりなのは、目に見えない流れや風向きは常に変化し、コントロールが難しいということ。この戦い方を貫けば結果はついてくると信じ続けながら、いつの間にか流れが変わり、そのうち身を持ち崩してしまうケースもある。基本、シーズンは大波小波に揺られてどんぶらこ。せいぜい波の振れ幅を小さくするように努めるしかない。この場合、いいサッカーをしているという褒め言葉は慰めにしかならず、結果こそが百万言に勝る影響力を持つ。
現時点の東京Vは相撲用語で言うところの、まだ片目すら開いていない立場だ(1勝で片目、2勝で両目が開いたと表現する)。やや強引に言うならば、勝ち点1でわずかに薄目を開けている状態。2試合とも相手より先に失点しており、今度は先制する展開に持ち込みたいと考えるが、それはどのチームでも望むことである。待望される初勝利によって、視界はぐっと広がるだろう。大きく見開いた先に何が見えるかは、そのときのお楽しみだ。
<了>