「6戦無勝利」=J1第6節 千葉 2−4 大宮

西部謙司

見違えるような後半

 後半、千葉は市原と中島浩司をアウト、新居辰基と米倉恒貴を送る。フォーメーションは4−4−2のままだが、ポジションが変わった。2トップは巻と新居、前半FWだった青木がMF左、フルゴビッチがボランチに下がって下村東美と組む。右の工藤浩平は変わらず。DFの右は市原に代わって米倉、あとはセンターが斎藤&ボスナー、左の坂本將貴で変更なし。

 後半の千葉は見違えるようなプレーを見せた。新居にボールが収まるので攻撃に意図がつながるようになり、左サイドの青木からは再三クロスが入ってくる。本人は「FWのほうがやりやすい」と言うが、この試合では左サイドのほうが効いていた。多少無理な体勢からでもクロスを入れられるので、ゴール前が本領の巻、新居にとってはやりやすかったはずだ。前半はほとんど拾えなかったセカンドボールも、拾えるようになった。

 71分、奮闘した工藤に代わって馬場憂太が入ると、立て続けに丁寧に裏を突くパスが出て、2つめは得点につながった。巻が抜け出してシュート、ポストに当たったところを坂本將貴がプッシュして1−2。青木のクロスをフリーの馬場が外した後、ついに同点に追いつく。

 中央右寄りの斎藤から、左サイドに張り出した坂本へロングパス。ようやくやるべき形になる。坂本は少しためてからファーポストの米倉へハイクロス、米倉が頭で折り返し、反対のポスト前にいた新居がオーバーヘッドで決めた。バウンドして浮いているボールを少し流して、オーバーヘッドで蹴った感覚は見事。あれ以外ではゴールにならなかっただろう。

 逆転へ押せ押せのムードになったが、大宮は交代出場の片岡洋介がミドルをたたき込んで突き放す。ロスタイムにはデニス・マルケスに代わったペドロ・ジュニオールがスローインを受けて突進、GKまでかわしてダメ押しのゴールを決めた。

まとめ

 痛い敗戦でした。前半の不出来が響きましたね。

 守備に関しては、連係がもう1つ。4−4−2なら、もう少しディフェンスラインを上げられないと厳しい。4−1−4−1なら現状でもいけるかもしれませんが、そうなると攻撃が難しい。昨季までマンマークベースだったのをゾーンに変えているせいか、組織の精度はまだ改善の余地があると思います。

 ドリブルで抜かれるのはカバーの問題もありますが、あんなに抜かれてはいけません。まあ、前半があの出来と分かっていたなら、4−1−4−1にしておけばよかったかも。あそこまでデニス・マルケスにボールが入ることもなかったでしょう。もちろん思い切り結果論なのですが。

 攻撃では、当面セットプレーをしっかりやるべきではないでしょうかね。巻、ボスナー、斎藤なら高さは十分です。即効性があるので、入れるボールの質とタイミングを工夫すれば、もっと武器になるはずです。

 イチから作っているのですから我慢は必要でしょう。昨季の鹿島アントラーズだって、出足は最悪だったんですから。後半のようなプレーができればいい。しかし、選手交代して急によくなるのは監督の交代がうまいのか、それともスタメンが間違っているのでしょうか。

<了>

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著者プロフィール

1962年9月27日、東京都出身。サッカー専門誌記者を経て2002年よりフリーランス。近著は『フットボール代表 プレースタイル図鑑』(カンゼン) 『Jリーグ新戦術レポート2022』(ELGOLAZO BOOKS)。タグマにてWEBマガジン『犬の生活SUPER』を展開中

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