集大成の王監督、開幕戦で最高の船出
理想は「豪快な野球」
予期せぬ戦い方だった。ことしのテーマには「0.1秒 スピードアップ」を掲げ、ホームランや長打などの大技だけに頼らず走塁を含めた小技の意識を強く持つという方針を打ち出していた。開幕の前日にも「ことしは総合力で戦わないといけない。爆発的な力は出にくい。チーム力で戦っていくんだ」と話していた。
しかし、王監督の本当の理想は違う。ホークスの本来の野球は「豪快な野球」という。そして、前回日本一に輝いた03年シーズンを「黄金期」と位置付けている。その年は井口資仁、松中信彦、城島健司が中軸に座り、3人で100本近い本塁打を放ち、いずれの選手も100打点を越えた。チーム打率2割9分7厘はプロ野球のシーズン記録だった。
「もう1度黄金期をつくらないといけない」
昨季のシーズン終了後、王監督はそのように決意を語った。
積極的なスイングが生み出したサヨナラ弾
そして、ホークスに開幕戦勝利をもたらしたのは「積極的」で「豪快」な野球だった。サヨナラ本塁打を放った柴原は「ボール球だったかもしれない」と振り返った。それでも彼は強振した。その直前にライトフェンス直撃の二塁打を放った松中も高めのボール球を無理やりたたいた。
内容を問われれば、8回までわずかに5安打。東北楽天の岩隈久志ら3投手の前に打線が沈黙するなど、ダメ出しだらけの試合だった。しかし、終わってみればホークスの原点を見たこの日は、5年ぶりのリーグ優勝、そして日本一への最高の船出となった。
<了>
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