不屈の主砲・小久保がもたらす浮上のキッカケ
満身創痍の体で積み重ねてきた本塁打
プロの世界に飛び込んで15年、ずっとホームランを追い求めてきた。「1ミリでも遠くに飛ばす」が小久保の永遠のテーマだ。「この世界で距離へのこだわりを捨てたら、引退するとき」とまで言っている。身長182センチ、体重86キロの体は松中信彦や山崎武司、清原和博らスラッガーと呼ばれる打者に比べれば決して大きくない。だからこそ不断の努力を続け、全力プレーを行ってきた。
その代償は大きな故障となって表れた。「手術をしたのは6回かな。傷だらけ、ツギハギだらけの体です」という。真っ先に思い出されるのが2003年のオープン戦だ。一塁走者だった小久保は次打者の長打で一気にホームをついた。クロスプレーとなり、相手捕手の全体重が自身の右ひざの上に乗っかった。前十字じん帯断裂、内側じん帯損傷、外側半月板損傷などの大けが。1シーズンを棒に振った。それ以外にも1998年には右肩の手術、そして昨オフには左手首の手術を行った。
6度目の手術を乗り越えて
ゆっくりはしていられなかった。王貞治監督が「集大成で臨む」と宣言したシーズンだったが、チームはいま一つ波に乗り切れない。
「負けに慣れないように、声を出してやっていきたい」
4月、ホークスはあと5試合を残しながら月間勝ち越しがなくなった。4月の負け越しは10年ぶりの屈辱。つまりホークスが福岡にやってきて初優勝した99年よりも前の話だ。
小久保のメモリアル弾こそ、チーム浮上のキッカケになる。この3連戦、小久保の打席から目が離せない。
<了>
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