コラム〜水上の若きサムライたち〜

2020年トップルーキー! 井上一輝(後編)

井上一輝(いのうえ かずき)選手

2020年2月15日更新 文:黒須田守(BOATBoy) 写真:池上一摩(BOATBoy)

住之江お盆レースで劇的V!

2020年トップルーキーに選出
2020年トップルーキーに選出

 デビュー2走目で初勝利をあげ、デビュー期は上々の成績を残しながら、その後は長い足踏みを強いられた井上一輝。同期生たちが次々と実績を突き重ねていくなか、臥薪嘗胆の日々を強いられたわけだが、そんな井上にステップアップの足掛かりができたのはデビュー5年目に突入したころだった。
 ひとつのきっかけは、デビューして丸4年が経とうとしていたときのことだろうか。それまでにもちろん努力を積み重ねてきた井上にとって、ひとつの大きな結果となったのが、18年4月のデビュー初優出だった。蒲郡のルーキーシリーズで予選を着実に戦った井上は、準優勝戦でも2着に入って嬉しい優勝戦進出。優勝戦は4着だったが、殻をひとつ破った瞬間であった。
 この前後から、まくりが増えてきたことも特筆される。井上が衝撃的にデビュー初勝利をあげたのは、6コースからのまくりでのものだった。しかしその後、まくりで勝利することはほとんどなく、1着数も劇的に増えていくことはなかった。しかし、優出を果たした蒲郡でも予選でまくって勝ったレースがあり、5年目に突入してからはさらにまくり1着が増えた。差しての勝利も増えており、戦い方に幅が出てきたのだ。18年6月の多摩川では、初戦2戦目とまくりで連勝。この活躍もあって2度目の優出を果たしている。
 それが井上をワンランク上に押し上げた。デビュー9期目、井上はついに勝率を5点台に乗せ、A2級に昇級するのである。
 デビュー10期目には、さらに勢いが増す。足が仕上がったときの豪快なレースぶりは実に爽快で、まくりやまくり差しの豪快な攻撃で勝利を量産することもあった。圧巻だったのは、19年4月の福岡ルーキーシリーズだ。初戦で6コースから2着に食い込むと、センターまくりを2度決めたり、5コースからのまくり差しで突き抜けたりと大活躍。オール2連対で優勝戦に駒を進めると、優勝戦はきっちりと逃げ切ってVゴールを決めたのだ。これが井上にとってデビュー初優勝。ついに井上はそのポテンシャルを開花させたのである。

19年8月の優勝は劇的だった!
19年8月の優勝は劇的だった!

 優勝を経験した井上は、一皮むけたかのように安定した成績を残していく。予選突破も当たり前のようになり、G3イースタンヤングでも優出を果たすなど、確実に優勝戦線をにぎわす存在となっていった。
 驚かされたのは、やはり19年8月の住之江お盆シリーズだろう。年末年始、ゴールデンウィーク、お盆は全国のレース場で地元トップレーサーの凱旋レースが開催される。賞金も高く設定されており、長期連休時期の風物詩にもなっている。井上の属する大阪支部=住之江のそうしたレースは特に強烈だ。オール大阪とも呼ばれ、層の厚い大阪支部のトップレーサーが勢揃いするのだ。松井繁、田中信一郎、太田和美、丸岡正典、湯川浩司、石野貴之……SGを複数優勝し、グランプリも制しているような強豪が目白押しだ。優勝はほとんど彼らのなかから出るのが通例で、オール大阪を優勝するのはひとつのステータスともいえるようなものになっている。
 井上はこのお盆シリーズで、予選7戦5勝と活躍。準優勝戦でも2着で優勝戦に駒を進めた。ただし、枠番は6号艇。インが抜群に強い住之江では、優勝の可能性は極めて薄いというしかなかった。1号艇に湯川、3号艇には石野、4号艇には太田が入り、2号艇の岡村仁、5号艇の上條暢嵩もG1ウィナー。明らかに井上は圧倒的に格下だった。
 井上はここでミラクルを起こすのである。4カドからまくっていった太田が作った展開を見極め、最内に渾身の差しハンドル。これが一気に先頭まで突き抜けたのだ。並みいる先輩たちを向こうに回し、6コースから快勝!
 誰もが声をあげるインパクト絶大な勝ち方で、栄えあるオール大阪を劇的に優勝してみせたのだ。井上の名前が一気に広まった瞬間だったと言えるだろう。
 そうした目を見張る活躍もあって、この期に井上が残した勝率は6.27。井上はついに、A1級への昇級を決めたのである。長い雌伏の期間でもくさらずに努力し、力を積み上げていったことで、最上級に辿り着いた。そして、2020年のトップルーキーにも選ばれた。井上は文字通り、スターへの道のスタート地点に立ったのである。
 もちろん勝負はこれからだ。強すぎる先輩がズラリと居並ぶ大阪支部でのし上がっていくには、さらなる努力と奮闘が求められるだろう。近況はやや調子を落としているが、トップルーキーとしての自覚で巻き返していくはずだ。これからの井上がどんな迫力ある戦いを見せてくれるのか、おおいに期待したい。

井上一輝
井上一輝 (いのうえ かずき)選手プロフィール

登録番号4826。114期。支部・大阪。出身・大阪。1994年5月7日生まれ。O型。

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