コラム〜水上の若きサムライたち〜

信州の星になれ! 金児隆太(前編)

金児隆太(かねこ りゅうた)選手

2019年6月1日更新 文:黒須田守(BOATBoy) 写真:池上一摩(BOATBoy)

生涯レーサー

モタードレースで大活躍!
モタードレースで大活躍!

 先ごろ、第1回ボートレース甲子園の出場選手が発表された。これは今年から新設されたG2レースで、47都道府県の出身レーサーから1名ずつが代表として選出されて開催される戦いだ。47都道府県からの代表が一堂に会するといえば、春と夏の全国高校野球選手権、すなわち「甲子園」。このコンセプトをボートレースに持ち込んだのが、ボートレース甲子園というわけだ。第1回はボートレース浜名湖で開催される。
 この企画が可能なのは、全47都道府県に出身レーサーが存在しているからだ。ボートレース場が存在する都道府県は18だが、それでも全都道府県がボートレーサーを輩出しているのだ。もちろんそれぞれの出身レーサー数には差がある。やはりボートレース場が存在している都道府県は出身者が多いし、しかも都市圏と言える東京都や愛知県、大阪府、福岡県は特別に多い。一方、ボートレース場が存在せず、ボートレース自体の馴染みが薄い都道府県は出身レーサーは少ない。たとえば、鳥取県出身の現役レーサーは村岡賢人ただ一人。山形県も多田有佑だけだ。彼らは今後出身レーサーがデビューしない限り、毎年ボートレース甲子園の出場は当確である(ただしこの第1回は、3月のG2準優Fによって村岡の出場がかなわなくなってしまった。残念ながら栄えある第1回大会は全都道府県が出揃わないことになった)。
 ボートレースファンも、間違いなく全47都道府県出身者が存在するはずである。それぞれ、自身と同郷のレーサーへの思い入れも深いことだろう。まして、先の鳥取や山形のように現役レーサーがただ一人だったりすると、彼らへの応援は自然と熱が入る。他にも出身レーサーが数少ない都道府県はあって、出身ファンは同郷レーサーを熱く見守るものである。
 本稿の主役である金児隆太は長野県出身。現役で長野出身は、飯山泰と金児の2人だけだ。第1回の甲子園には先輩の飯山が出場することになったが、いずれ金児が代表に選ばれることもあるだろう。ここからはいささか私事になってしまうのだが、筆者も実は長野県出身。なにしろ長野にはボートレース場はおろかボートレースチケットショップも存在しないボートレース不毛の地である。そんな長野を出身とするファンとしては、数少ない信州レーサーである飯山と金児は、いわば身内である。そうしたわけで、甲子園出場選手の発表間もない今回は、金児を取り上げる次第。身贔屓についてはお許し願いたい。

特別試験枠でボート界へ
特別試験枠でボート界へ

 金児隆太は117期生として2014年秋にやまと学校(現ボートレーサー養成所)に入所。すでに27歳となっていたが、この年齢での入所には理由がある。金児はそれまで、有名なオートバイレーサーだったのだ。インターネットで金児隆太と検索すると、当時のトピックスが今でも見つかるほどだ。金児が参戦していたのはモタードレースというもので、モトクロスにロードのタイヤをつけて、舗装とダートが混在する走路を走るレースだそうだ。2013年には全日本スーパーモタード選手権シリーズランキングで3位、世界ランキングでも21位と好成績をあげた。
 この活躍が認められて、金児は特別推薦枠でやまと学校に合格している。特別推薦とは、ボートレース競走会が認める競技の成績上位者を優遇する制度で、他競技からボートレースへの転向を促す、あるいは歓迎するシステムと言える。金児はまさしくモタードレースからボートレースへと転向したわけで、オートバイレースの業界でも話題になるほどのトピックだったそうだ。金児としては突然の転身というわけでもなく、20歳の頃から先輩レーサーにボートレースの存在を知らされていたという。26歳のとき、自分にもまだチャンスがあるのだと知ったことで、もともと「生涯レーサーでいたい」という思いが強かったこともあって、レーサーとしてのステージをサーキットから水面へと移したのである。
 他競技で実績を残した者にとって、新たなチャレンジは決して平坦な道のりではなかっただろう。年齢的にも年長であり、何よりそれまでにある程度の成功を収めていたという自負もある。それを、最も年下の同期生とは10歳も離れているという環境のなかで、彼らと同じ“ド素人”として一からボートレーサーを目指す。心身ともに楽な1年間ではなかったはずだ。
 そうした苦労も乗り越え、金児は2015年11月に地元桐生でデビューした。ちなみに、長野出身の飯山泰は東京支部だが、金児は群馬支部に所属し、ボートレーサーとしての第一歩を踏み出している。
 (後編に続く・・・)6/15(土)更新予定

金児隆太
金児隆太 (かねこ りゅうた)選手プロフィール

登録番号4888。117期。支部・群馬。出身・長野。1987年9月15日生まれ。A型。

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