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コラム〜水上の若きサムライたち〜

苦い思いを糧にして飛躍を! 和田拓也(前編)

和田拓也(わだ たくや)選手

2018年5月1日更新 文:黒須田守(BOATBoy) 写真:池上一摩(BOATBoy)

苦しかった新人時代

プロペラを手に真剣な表情
プロペラを手に真剣な表情

 4月30日に、2018年後期適用の級別審査期間が終了した。2018年後期は、2カ月後の7月からスタートする。各年、前期が1~6月、後期が7~12月。その期における自らの“身分”を決定する級別審査は、その2カ月前に終了するわけだ。
 前期適用の級別審査はその前年の5月1日~10月31日。後期のそれは、前年の11月1日~当年の4月30日。それぞれ、半年間の勝率により、級別は決定する。当欄ではよく「デビュー期」「デビュー○期目」という言い方をするが、この「期」は級別審査期間を指す。
 勝率はいわば選手の実力の指標であるから、その勝率順に決定する級別もまた、選手の力量をあらわすもののひとつだ。最上級のA1級は、全体の20%。A2級が全体の20%。B1級が全体の50%。現役選手数は約1600人だから、勝率上位320人ほどがA1級となり、A2級も同様。B1級は800人ほどとなる。勝率順と書いたが、2連対率、3連対率、出走回数の規定もあり、それらを満たさなければ下の級別に組み込まれる。また事故率が0.70を超えれば勝率がどれだけ高くても最下級であるB2級となる。というわけで、級別が実力に見合っていない場合もあるが、まあおおむね、級別が上であるほど“強い選手”ということにはなる。
 級別は、同時にまた、それぞれの“稼ぎ”にも直結する。たとえば、賞金の高いG1レースには、原則としてA1級しか斡旋されず、さらに賞金の高いSGレースもA1級であることが出場条件になっているものも多い(5月開催のボートレースオールスターもそうだ)。また、A級とB級では、斡旋数自体に差がつけられている。もちろん、A級のほうが斡旋数が多く、1年を通してA級であった選手と1年を通してB級であった選手には、けっこうな年収差が生じるわけだ。
 斡旋数の差は、当欄で取り上げるようなルーキー選手にとっては、収入だけでなく「経験」の差にもなってくる。1走でも多くレースに出走して場数を踏み、レースを覚え、キャリアを積みたい世代だ。また、A2級であれば、G2レースや正月のBOATRACEバトルトーナメントの斡旋が入る可能性があるので、トップクラスの選手に混じって戦うという経験もできる。だから、若手選手は何よりもまず、A級を目指したい。それこそ経験の差が先輩レーサーとの間にあるから、なかなかハードルは高いけれども、A級になれるかどうかは次のステップに進むための重要な要素だ。
 4月末、そうした級別をめぐる“悲喜こもごも”が数多くあった。当欄の主役である和田拓也は、「悲」のほうを味わわなければならなかった一人だ。しかも和田は、2018年前期は自身初のA級昇級を果たしながら、当稿執筆時点では、後期のB級降級の可能性が高い。この5月からは、和田にとっては巻き返しの季節となる。

兄譲りの落ち着いた雰囲気
兄譲りの落ち着いた雰囲気

 和田拓也は、2013年11月に第113期生としてプロデビューを果たした。デビュー戦は地元の尼崎。その節は一度も舟券に絡めないという苦い初陣となっている。それでも和田は、一介の新人というわけではなかった。兄が、すでにA1級の常連として記念戦線でも戦っていた和田兼輔なのだ。強豪選手を兄にもつ選手は、やはり注目が集まるもの。和田もそうした環境で、レーサーとして船出を果たしたわけだ。
 デビュー当初は苦労も多かった。デビュー2節目の児島では、一節の間にフライングと出遅れを経験。出遅れは選手責任外だったが、一節間でこの両方を喫するケースは非常にまれだ。結果もなかなか出なかった。デビュー期は2着1回、3着3回。舟券に絡めたのはこれだけだった。勝率も1.98に留まり、2期連続B2級となっている。
 初勝利は、デビューから約1年後の2013年10月。2節目で苦しい経験を喫した児島でのものだった。デビューから1年以上も初1着をあげられない選手も珍しくない昨今ではあるが、やや時間がかかってしまったことは否めない。デビュー2期目の勝率は2.66までアップしたが、2連対率が8.2%だったため、デビュー3期目もB2級で戦うことになってしまっている(現在では「2連対率10%以上」というB1級の規定は取っ払われている)。和田の“新人”時代は、決して順風満帆とは言えないまま、過ぎていったのだった。
 (後編に続く・・・)5/15(火)更新予定

和田拓也
和田拓也 (わだ たくや)選手プロフィール

登録番号4794。113期。支部・兵庫。出身・兵庫。1990年6月30日生まれ。O型。

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