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コラム〜水上の若きサムライたち〜

涙の数だけ強くなった男 峰竜太(前編)

峰 竜太(みね りゅうた)選手

2011年5月1日更新 文:黒須田守(BOATBoy) 写真:中尾茂幸(BOATBoy)

順調に成長していく

選手としては長身の部類に入る
選手としては長身の部類に入る

 男子たるもの涙を見せてはならない――そんな物言いがよくされる。それは一面的には真理であろうし、男らしく生きるとはどういうことかを先人たちが規定したものであろう。同時に、実は男もよく泣くのだということの裏返しでもあり、その涙をこらえることが男子のあり方なのだと強く戒めようともしているわけだ。
 だが、本当だろうか。涙というのは、感情の発露である。ということは、感性が強かったり、また感情を抑え切れないほどストレートに何かを成し遂げようとしたとき、男であろうと女であろうと、涙もろくなるのが当然である。まして、ボートレースという勝負の世界において、ただひたすらに勝利を願い、努力し、全力を尽くして戦い、そして敗れたとき、悔恨の感情が大きければ大きいほど、涙は自然と流れてくるものだろう。同様に勝利を得た場合でも、やはり涙することはあって当たり前。それをグッとこらえるのが男らしさだという意見には賛同しつつ、しかし真剣勝負の後の涙もまた、ひとつの男らしさと言えるのではないかと思う。
 峰竜太という男がいる。5月24日にボートレース尼崎で開幕するSG笹川賞にも出場する、若手の精鋭選手。彼はもちろん、SGに出場できるだけの実力でファンを魅了してきた男だが、もうひとつ、彼のトレードマークでもあり、感動させられるファンが多いのが、まさしく「涙」だ。限りなくピュアで、限りなく感性が強い峰竜太は、これまで何度か涙を見せてきた。そして、涙を流すたび、峰は間違いなく強くなってきた。

進入から全力投球を見せる
進入から全力投球を見せる

 峰竜太は2003年に第95期生としてやまと学校に入学。プロデビューは04年11月、地元の唐津で初出走を迎えている。デビュー戦は2着。その節では勝ち星はあげられなかったものの、ポテンシャルを感じさせる走りを見せて、大きな期待を浴びている。初勝利は翌月の福岡。6コースからの豪快なまくりで、水神祭を果たしている。
 翌年の3月には準優出、さらに4月には優出と、デビュー期から活躍を見せ始め、その後も順調に成績を上げていった。デビューから1年経った頃には、準優進出は当たり前、優勝戦にも頻繁に名を連ねるようになって、「佐賀にイキのいい若手がいる」ということが多くのファンに知られていく。初優勝は06年8月まで待つことになるが、間違いなく次代の大物であることは認知されるようになっていった。
 峰の名前がどんどんと売れていくことに一役買ったのは、その名前である。ボートレースファンでもそうでなくとも、有名タレントと同姓同名であることは一瞬で気づくだろう。ボートファンにしても、やはり最初はその名前に目が留まった。実際、峰も当時は「あの人と同姓同名ですね」というような言葉を何度も何度も投げかけられたそうだ。それに加えて実力も急上昇し、ファンにとっては舟券の対象になる機会もおおいに増えていったのだから、峰竜太の名前は強く印象に残る。そうして、峰はデビュー2年を迎える頃には、その名前をほぼ全国区にしていたのである。
 07年1月。峰はデビュー2年2カ月にして、新鋭王座決定戦に出場する。これがGI初出場かといえば、そうではなく、その前節の地元・唐津GI全日本王者決定戦に出場しており、GI初1着の水神祭も飾っているのだが、それにしてもデビューから2年余で新鋭王座に出場できる選手はそれほど多いわけではない。事実、峰と同期の95期生はほかに誰も出場していなかったし、1期先輩の94期にしても3人を送り込んだだけだった(一人は昨年の笹川賞を制した岡崎恭裕)。峰は、準優勝戦に駒を進める健闘を見せ、優勝戦には進出できなかったものの、全国発売のGIでさらに名前をアピールする。
 その後も、峰の前進ぶりは実に順調だった。レースで見せる実力、また女性ファンも魅了するルックス、そして目立つ名前、それらも相まって、07年5月、デビュー2年半でSG出場を果たすのである。ファン投票で出場選手が決まる笹川賞。峰はその時点で、もはやスターとなったのである。その笹川賞では巨大な先輩たちの壁にぶつかり、跳ね返される結果となっているが(それでも1着は1本獲っている)、笹川賞に出場し、SGのスタートラインにも立ったことで、峰はさらなる飛躍を果たしていく。

(後編に続く・・・)5/15(日)更新予定

峰 竜太
峰 竜太 (みね りゅうた)選手プロフィール

登録番号4320。95期。佐賀県出身。1985年3月30日生まれ。B型。

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