パッキャオがマレーシアでビッグマッチ マティセとのKO決着濃厚ベテラン対決

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パッキャオ自身が復帰戦をプロモート

6階級で世界王座を獲得したスーパースター、マニー・パッキャオ(右)が再起戦に臨む 【Getty Images】

 プロボクシングのスーパーライト級WBC暫定王座とWBAウェルター級の2階級制覇王者、35歳のルーカス・マティセ(アルゼンチン)と、6階級で世界王座を獲得したスーパースター、39歳のマニー・パッキャオ(フィリピン)。実績十分のベテラン強打者同士の一戦はKO決着が濃厚だ。オッズは9対5でパッキャオ有利と出ているが、左右ともに硬質感のあるマティセの強打が、その数字をもひっくり返す可能性は十分にある。「パッキャオをKOして引導をわたす」というマティセの宣言を支持する関係者やファンは少なくない。

 試合は7月15日にマレーシアの首都クアラルンプールで行われる。決戦の舞台は1万6000人の収容能力を持つアシアタ・アリーナで、プロモーターはパッキャオ自身が務める。マレーシアでボクシングの世界的な注目イベントが開催されるのは1975年6月30日、モハメド・アリ(米国)対ジョー・バグナー(イギリス)の世界ヘビー級タイトルマッチ以来43年ぶりのこととなる。

 昨年7月、ジェフ・ホーン(オーストラリア)に小差の判定負けを喫してWBO世界ウェルター級王座を失ったパッキャオは、契約するトップランク社の仕切りのもと4月に再起戦を予定していた。日程と相手が内定していたが、1月に戴冠を果たしたマティセへの挑戦をパッキャオが熱望したため、内定していた試合を見送り、紆余(うよ)曲折を経て今回のカードが実現することになった。パッキャオが代表を務めるMPプロモーションズが、マティセを擁するゴールデンボーイ・プロモーションズの協力を得てイベントのプロモートを行うのは、こうした経緯があるためだ。試合は米国のゴールデンタイムのテレビ放送の時間を優先し、マレーシアの昼のゴングとなる。

トレーナーの変更も不安要素か

 世界王座を持っているのはマティセだが、主役がパッキャオであることは誰もが認めるところであろう。ゴールデンボーイ・プロモーションズのトップでもあるオスカー・デラホーヤと並ぶ6階級制覇を成し遂げているパッキャオは、年末には40歳になる。16歳1カ月でデビューしたのが95年1月だから、23年以上もプロのリングに上がり続けている計算だ。その間にフライ級(約50.8キロ以下)からスーパーウェルター級(約69.8キロ以下)まで体重の壁を越えて戦い、6つの階級で世界一の称号を手にした。身長166センチ、リーチ170センチと体そのものは決して大きくないが、鋭く的確な踏み込みと上下に打ち分ける左ストレート、右フックを主武器に数々の名勝負を演じてきた。通算戦績は68戦59勝(38KO)7敗2分で、そのうち22度は世界戦(16勝8KO4敗2分)だ。

 ただ、最近は相手から研究されていることもあって、09年11月のミゲール・コット(プエルトリコ)戦の12回TKO勝ちを最後に9年間、13戦もKO勝ちから遠ざかっている。こうしたデータや年齢のこともあり、衰えを指摘する声もある。パッキャオ自身は試合のたびに「まるで20代のときのようにハツラツとした動きができる」と強気なコメントを発し続けているが、衰えの自覚の裏返しと解釈することもできそうだ。また、今回の試合を前に17年間も師事してきたフレディ・ローチトレーナーとのコンビを解消するなど、このあたりも不安要素といえるかもしれない。

19連続KO勝利をマークしたこともあるマティセ

経験値の高いベテランのマティセ(右)は攻撃型のファイター。今回の試合もKO決着の可能性が高い 【Getty Images】

 一方のマティセは実績では及ばないものの、こちらも経験値の高いベテランである。44戦39勝(36KO)4敗1無効試合、約82パーセントのKO率が示すとおりのハードパンチャーで、デビュー4戦目から19連続KO勝ちをマークしたこともある。36KOのうち23度は3ラウンド以内でけりをつけたもので、特に序盤に強さを発揮するタイプでもある。上体をやや前傾させた構えでプレッシャーをかけ、距離をつぶしながら右ストレート、左フック、左右のアッパーを上下にたたきつける好戦的なタイプだ。その戦いぶりは鋼鉄のハンマーをつかった破壊作業を想起させる。極めて危険な相手といっていい。だからこそ「戦いたい」とパッキャオに思わせたのだろう。

 ただ、15年10月にビクトル・ポストル(ウクライナ)に10回KO負けを喫してからは1年7カ月のブランクをつくっており、11年から13年にかけて6連続KO勝ちを収めたころのような勢いは感じられない。戦線復帰後は2連続KO勝ちと復調の気配はあるものの、半年前のテワ・キラム(タイ)との王座決定戦では8回で仕留めるまで相手のアウトボクシングに手を焼いていた。

 ともに攻撃型ということで試合は序盤から目の離せない展開になるものと思われる。いきなり両者が正面からのパンチ交換を望んだ場合は、派手な早期決着も考えられる。一方で、戦術に関しては王者よりも幅広い選択肢を持つパッキャオが前後左右にステップを踏みながら揺さぶりをかけて、マティセに的を絞らせずに勝負を長引かせる可能性もある。その場合はパッキャオのスピードと経験が生きてきそうだ。そういえば、かつてマティセはポストルやキラムのアウトボクシングに手を焼き、かつサウスポーのザブ・ジュダー、デボン・アレキサンダー(ともに米国)に地元判定の声も出た僅差の判定負けを喫している。そのあたりにヒントを得て、パッキャオが確実に勝利を握ろうとするならば、両者のミックス型がベストの戦い方ということになるかもしれない。オッズは9対5でパッキャオ有利と出ているが、両者の現有戦力や近況を考えれば、ほぼ互角とみてもいいのではないだろうか。

Written by ボクシングライター原功
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