DeNA・梶谷、CSへ向け燃える 「1戦1戦集中して向かっていく」

週刊ベースボールONLINE

今年で29歳。若いチームをけん引する立場の梶谷が、CSへ向けて意気込みを語った 【写真:BBM】

 試合中はほとんど表情が変わることなく、飄々(ひょうひょう)とプレーする横浜DeNAの梶谷隆幸。しかし、中身はチームで一番の熱いハートの持ち主だ。窮地になるとその存在感は際立ち、攻守走にわたる捨て身のプレーでナインを鼓舞してきた。2年連続の大舞台、“蒼い韋駄天”はクールに燃えている。

 開幕戦カードで14打数6安打と幸先のいいスタートを切ったが、打撃成績は安定せず、勝負どころであと1本を出せずに自身にフラストレーションを抱えていたことも事実だ。しかし、手にしたCS切符。現在の状況と折り合いをつけて、前に進む。

CS進出は「クリアすべき一つの目標」

──クライマックスシリーズ(CS)進出が決まった瞬間(10月1日広島戦)、筒香嘉智選手、桑原将志選手の外野手3人で喜びを分かち合っている姿が印象的でした。

 3人で集まって「良かったね」って。素直にうれしかったです。僕としては、なんとか(出場が)決まった、という感じでした。今年クリアすべき一つの目標ではあったので。

──打率2割4分3厘、本塁打21、打点60、盗塁21という今シーズンの数字をどう見ていますか?

 毎年、苦戦していますよね。いいものも出ているし、悪いものも出ている。打撃に関しては、今シーズン1年プレーして、このまま同じことをやっていても変わらないな、と感じました。今年はオフからいろいろな取り組みをしてきましたが、結果が出ていない。来シーズンは、打撃を大幅に変えたほうがいいんじゃないかと思います。もちろん、今それをやり始めたらワケの分からないことになってしまうので、クライマックスが終わってからの話ですけど。

──シーズンオフに打撃を大きく見直したいと。

 そうですね。一度頭を整理して、今までの引き出しを一つひとつ開けながら最善の方法を探して練習していきたいですね。毎年、打撃を見直す意識はありますが、今年は特にその思いが強いです。

──打撃のどの部分ですか?

 やはり打率ですね。昨年2割7分3厘で、今年2割4分3厘ですけど、2割ちょっとの数字ならどっちだって大差がない。結局、僕は規定打席をクリアして3割に到達していないんです。なんとか変えていきたい。

──開幕前は、本塁打や盗塁など「増える数字」にこだわると言っていました。

 本塁打は初めて20本を超えることができたのは、イメージどおりでしたね。盗塁は企図数が少ないので何とも言えませんが、走れば走るほど数字は増えていくので打撃のように「今後こうしていこう」という意識はありません。でも、失敗が少ないという点は、良かったです(盗塁死3、成功率8割7分5厘)。意味のある盗塁ができていると思います。

──今シーズン、2番、7番に座ることが多かったです。盗塁は打順との兼ね合いもあると思います。

 はい。普通、7番に入っても次の打順が投手ではない限りは、盗塁を仕掛けることができます。ところが、投手が自分の次の打者(DeNAは投手が8番)だと犠牲バントのサインも多くなります。また2死で僕が盗塁を失敗すると、次の回は投手から始まることになるので、盗塁を仕掛ける機会は減りますよね。

意識変化でチームの勝利を優先

──打撃では、いつも言うように“当てにいくより、自分のスイング”。三振数は両リーグワーストの「157」ですが、特別な感情はありませんか?

 気にはしていますよ。なんとか減らしたいとは思っているんです。三振が減れば、その分、打球が前に飛んでいるわけで安打が増えるかもしれない。これからは2ストライクからの意識を変えたいと考えています。カウントが追い込まれたときにどんな意識でやっているかとか、ほかの人の意見なども取り入れながらですね。

──これまでは2ストライクでも、ファーストストライクを打つのと同じような意識だった?

 いや、実際には、なんとかバットに当てて逆方向へという気持ちはあるんです。でも当てようとすればするほど、当たらない(苦笑)。

──とはいえ、今シーズンは進塁打を意識するなど献身的なプレーがいくつもありました。

 そうですね。走者を進めることを意識した場面は確かにありました。

──今までは、ほとんど意識してこなかった?

 頭にも浮かばなかったし、正直、進塁打を打つ必要がないと思っていました。やっぱり、進塁打で凡退すると自分の成績は下がるわけで、僕はそこまで考えられる立場ではなかった。自分の成績が悪ければ、スタメンから外されます。

──意識が変わった?

 チームということを考えられるようになったんだと思います。僕は言葉で引っ張るタイプではないので、自分のプレーでチームをなんとかしたいという思いはあります。

──打撃でいえば、宮崎敏郎選手が首位打者を獲得。同い年ということもあり、刺激もあったのではないですか?

「すごいな〜」というより、友人として率直にうれしかった。打者としてのタイプは違いますが自分も3割を超える数字を目指さないといけないですね。彼なりに苦しんだ部分はあるんでしょうけど、自分とは違う苦しみをしているな、とそばで見ていました。こっちは2割5分あたりで、いっぱいいっぱいになっているのに、余裕で3割超え。レベルが高いなと(笑)。

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