香川「何の意味がある試合だったのか」 国際親善試合 NZ戦後の選手コメント

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香川はニュージーランド戦を「評価しづらいゲーム」と表現し、不満をもらした 【写真:高須力】

 サッカー日本代表は6日、豊田スタジアムで国際親善試合ニュージーランド戦に臨み、2−1で勝利した。日本は後半5分に大迫勇也がPKを決めて先制したが、14分にクリス・ウッドに同点ゴールを許した。試合終盤の42分、日本は途中出場の倉田秋が酒井宏樹の折り返しをダイビングヘッドで押し込んで勝ち越し。倉田の代表初ゴールが決勝点となり、ニュージーランドに競り勝った。

 香川真司はこの試合を「評価しづらいゲーム」と表現し、「ワールドカップ(W杯)を見据えるという意味では正直、こういうレベルはたぶんない」「W杯という意味では正直、何の意味のある試合なのか」とコメントした。

 また、決勝ゴールを決めた倉田は「スタメンを勝ち取っていくのが自分の今の目標」、W杯に向けて「世界とやりたいという思いは強くなってきた」と語り、さらなる飛躍を誓った。

香川真司(ドルトムント/ドイツ)

「評価しづらいゲーム」

(最初のチャンスシーンは惜しかった?)そうですね、決め切りたかったですけれど、しょうがないです。(最初はいい距離感でやっていた?)相手が慣れてきて、マンマーク気味に僕についてきていました。相手が慣れた中でちょっと行き詰った感じはしましたね。(途中から中盤3人が離れてしまい、香川は3トップに吸収された?)今日は(チームが前と後ろで)2つに分かれていたし、2つに分かれていても別に相手のプレスも強くなかったので、簡単にゴール前まで行けていた。だからなかなか評価しにくいですよね……。

(どうすればよかった?)左サイドの守備が特にルーズでした。右は中盤以降、前半もそうですけれど、うまく(相手に)はめられていたし密集していた。あそこでボールをもらうよりは、左に展開した方が(よかった)。相手は左に展開するだけでゴール前まで行けてしまうくらい、簡単にクロスまでいけてしまう(ルーズな)試合だったので、そこから起点でもう少しやれればよかったです。それは感じていましたけれど、なかなかうまくはいかなかったですね。

(開始直後からシュートを打ち、気持ちを感じたが)もちろん、結果というのは欲しかったですけれど、正直なかなか評価しにくいゲームです。W杯(出場を)決めた後ということもありますしね。みんなのモチベーションも含めて。少し難しさがあるのは当たり前。なので、とりあえず最低限、勝ち切れたことは良かったですけれど、まあ果たしてこれがW杯という意味では正直、何の意味のある試合なのかというのは……。評価しづらいゲームになりましたけれどね。

(それはスタイル的に相手が守って日本が崩すという形になったからという意味?)いえ、別に相手のインテンシティー(プレー強度)もそんなに高くなかったですし、やっぱりW杯を見据えるという意味では正直、こういうレベルはたぶんないと思うので。そういう意味では攻撃でどれだけやれるかという意味では少し、何というか、自分たちでトライする必要はあったと思います。そこの精度はやはりゴール前もそうですけれど、確実に上げていかなければいけないと思います。

(あえて収穫を挙げるとすれば?)勝ち切ったこと。もちろんこういう試合で、1−1で終わるのと、2−1で終わるのはすごく違うと思うので、そこは本当に良かったと思っています。

倉田秋(ガンバ大阪)

代表初ゴールを喜ぶ倉田。スタメン奪取、W杯出場とさらなる目標を掲げた 【Getty Images】

「スタメンを勝ち取っていくのが今の目標」

(ゴールについて)出たら絶対やってやろうという思いで前半からずっと見ていたので、本当にそういう形になって良かったです。(酒井宏から折り返しが来て、スペースも空いていた?)そうですね。左サイドで(乾)貴士が持ったら、ほとんど崩してくれてクロスを上げてくれる状況だったので、中に突っ込んでいけば何か起きるかなと思いました。それをずっと信じてやっていた結果、ああいうゴールにつながったので、貴士が上げてくれたのもありますし、宏樹がホントにいいボールを落としてくれたので、みんなのおかげで取れたゴールだったと思います。

(ヘディングで突っ込むのは倉田らしくない?)いや、意外とヘディングで、俺、年に1回くらいは取ってるので(苦笑)。あれは頭で反射的にいきました。(頭を押さえていたが)試合が終わってから痛くなってきて、たぶんシュートを決めた時にGKが突っ込んで来ていたらしいです。あの時はアドレナリンが出ていて、覚えていなかったんですけれど、終わってから痛くなってきました。

(代表初ゴールの味は)やっぱり特別ですよね。本当に気持ちが良かったですね(笑)。でもここからが俺のスタートというか、もっともっと自分がやらないといけないこともあるし、スタメンを勝ち取っていくのが自分の今の目標なので、もっともっとアピールしたいですね。(どんな部分を伸ばす?)全ての面でまだまだ自分はたぶん監督の満足いくようなプレーはできていないので、守備もそうですし、攻撃でももっと自分の良さを出していきたいですね。

(途中から出る機会が多いと思うが、切り札としての地位を確立させていきそうな雰囲気は?)そうですね。監督が使いたいタイミング、使いたいところで使ってくれれば。ガンバでもそうですし、いろいろなポジションをやったりしているので、そういうのにはけっこう慣れています。時間が長かろうが、短かろうが、僕は自分のいつものプレーを出すだけですね。

(W杯出場が決まったことで監督の変化は感じる?)世界基準でやらないといけないということで、毎日「9カ月は長いようで短い」と言っていました。その通りだと思うので、1日1日を大事にして、一歩でも、少しでも自分が世界に近づけるように努力していきたいと思います。

(交代時の指示は?)「攻撃的にいって、止まるな」と、「(パスを)出して動いて、ゴール前に行け」と言われました。それはある程度できたとは思います。でもまだ90分はそのプレーをできないので、最初から出て90分そういうプレーを毎試合やりたいですよね。

(結果を示せたことで生き残りに手応えは?)今までのサッカー人生で自分のプレーに満足したことは1回もない。今日ももっとできたと思っているところです。だからまだこれで安心というか、もっとやりたいという思いが今はあります。(W杯に向けて)前までは本当に手の届かないというか、すごいところだと思っていたんですけれど、最近は代表に呼ばれるようになって、行ける可能性があるというのが分かった。分かるのと分かっていないのでは全然考え方が違って、やっぱり世界とやりたいという思いは強くなってきますね。

(合宿中に監督と話は?)1対1では話していないです。ポジションごと(のミーティング)はいつも試合前にやっているので、それですかね。いつも言われるのは、「動きを止めたら倉田じゃない」と言われます。「止まってプレーは絶対するな」というのは強く言われているので、ずっと動き続けるプレーをしたいですね。

(交代した井手口陽介のオーストラリア戦の活躍について)本当にうれしかったですね。陽介とは仲もいいし、チームメートですし、しかもW杯出場を決めてくれた。けれど、だんだんと自分もその舞台に立ちたいというか、「負けていられない」という気持ちが強くなったので、切磋琢磨(せっさたくま)して、これからもやっていけたらいいですね。

(乾との関係について、2011年にセレッソ大阪で一緒にやっていたことで思い切ったプレーができた?)どうですかね。あの時は(あうんの呼吸が)メッチャありましたけれど、プレースタイルも知っているし、お互いのプレーの感じは知っている。けれど、もっともっと詰めていかないと世界では戦えないと思うので、もっと全員といい関係を築いていきたいです。

(遠藤保仁からの連絡は?)ヤットさん、来ていないです(苦笑)。

大迫勇也(ケルン/ドイツ)

PKを決めた大迫。試合後に「自分で蹴ると決めていた」と明かした 【写真:高須力】

「PKは自分で蹴ると決めていた」

(試合の手応えは?)入りは悪くなかったんじゃないですか。ただ入りがいい時間帯に点を取ることができずに、ちょっと相手が慣れてきた。そこでもう少し同じことをするのではなくて、変化を与えたかったというか。あそこでもう1個うまくできること、やり方を持ちたいと思いますね。(もっと崩せるようなオプションが欲しい?)今日はもうサイドですよ。真ん中は人が多かったので、サイドで常に数的優位を作れていました。そこでもう少しうまく時間を作りながら、攻めるときには攻めるという形をもっと明確にしていきたいですね。

(PKキッカーは)決まっていました。ただ、自分で蹴ると決めていたので。(武藤嘉紀も蹴りたそうにしていたが)いや、決めていましたよ。

(この2試合の個人的なテーマは?)僕はもう「ゴール前に入ること」「しっかり戦うこと」「点を取ること」。1トップの選手はそこを出していかないと、チームとしていかに良いサッカーをしていてもダメだと思うので、そこは常に代表のときは意識しています。

(ミドルレンジからシュートを打つ場面があった。今日のようなプレッシャーであればそういったプレーもできる?)でも、相手もいい選手はいましたから。相手の3バックの真ん中(ウィンストン・リード/ウェストハム)は強かったですし、プレミアリーグとかでプレーしている選手は体つきも違う。プレッシャーもありましたけれど、その中でもドイツでプレーしているし、少なからず慣れているので、落ち着いてできました。

(サイドを起点にしていたけれど、自分で落として、もう一度リターンをもらうようなプレーは?)そこはやっていくうちにできるものだと思うし、うまくコミュニケーションを取りながらですね。

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