阪神・板山、1軍定着そして定位置奪取へ 掛布の教えに金本流を上乗せして成長中

週刊ベースボールONLINE

ジレンマはあるが前を向いて

磨けば光る原石として、金本監督の評価も高い 【写真=BBM】

 昨年の2月後半、2軍キャンプから1軍キャンプに呼ばれた板山祐太郎。だが、このときの主役はドラフト1位の高山俊だった。しかし、掛布雅之2軍監督は、自分と同じ境遇、ドラフト6位選手のバットスイングに好印象を受け、1軍に強く推薦した。もちろん板山自身も同期の「高山には絶対に負けたくない」という闘争心を前面に押し出し、4月に1軍デビューも果たした。しかし結局40試合25安打のみとプロのカベに直面。そこから秋季キャンプ、オフと体力強化に取り組み、春もキャンプインから1軍で躍動している。

「今季の目標は、1年間レギュラーとして1軍にいることなんですが、キャンプが進んでいく間に、正直レギュラーというのは現実的にどうなのかな? と弱気に感じている部分があります。キャンプの練習試合ではずっとライトを守っていますが、そのライトには(福留)孝介さんがレギュラーとしています(金本知憲監督が明言)。そしてセンターには糸井(嘉男)さんが入ります。外野のほかにも、練習をしているセカンドを見渡せば西岡(剛)さんに上本(博紀)さんなど、本当に実力者だらけのライバルばかりです。そう簡単にはその座には就けないぞ、という感覚です。それでも、本当に『負けないぞ』という気持ちは常に持っているんですが、毎日、毎日『まだまだだな』と思いながら練習しています。そういうジレンマの中でとにかく前を向いてやるしかないです」

 2月16日、韓国・サムスンとの練習試合(宜野座)では「6番・ライト」で先発出場。初回、味方が3点を奪い1死二、三塁の場面で回ってきた第1打席。2ストライクと追い込まれながらもライト前へ2点適時打を放ち、結果を残した。

「あの打席はチェンジアップを打ちました。追い込まれていたので、どんな球種が来てもついていけるように、そして得点圏に走者がいたので、何とかかえすようにしたいと思って打席に入っていました。チーム全体としての目標で『追い込まれても簡単には三振はしない』というのがあるんですが、そこは三振せず対応でき、結果を残せたので良かったと思います。でも、その後の打席で簡単に三振をしてしまったので、反省です。毎日その繰り返しです。僕の悪いクセは打席のときに力んで体が開いてしまうので、そこを監督に指摘されています。秋季キャンプでは下半身の使い方をしっかりと教えてもらい、今はステップアップして上半身を含めた全体的な打撃を教えてもらっています」

金本監督もつきっきりで指導

2月16日の練習試合後の特打で金本監督とマンツーマンで打撃フォームの修正を行った 【写真=BBM】

 この試合の第2打席、ライトファウルゾーンに大飛球を放ち、観客席がどよめいたが、結果的には空振り三振に倒れた。なぜ、ファウルを本塁打にできなかったのか、そこにははっきりとした原因があった。試合後の特打では金本監督につきっきりで打撃フォーム指導を受け、欠点の改善を図った。

「練習試合の中で1本、ライトに大きなファウルを打ったんですが、もし、試合後に教えてもらったことを先に教えてもらっていたら、ホームランになっていました。そのことを知らないまま打席に立ったので……。あの打席は、甘いボールが来たので『来た! 打てる』と力み、一瞬体が開いたんです。その後、思い切り打ちにいって、さらに体が開きファウルに。その後もとらえきれずに結局三振になりましたので。

 練習の中で『体を開かないようにするために、お前はどこを意識しているんだ』と監督に聞かれたんです。僕は『腰です』と答えたんですが『腰じゃなくて肩を意識してみろ』と。それで肩を意識して振ってみたらいい感じになったんです。肩を開くと顔も外側を向いていくので、ミートする確率も低くなっていきますよね。『肩を我慢すれば顔も残るから』と説明されました。甘い球が来たときは焦らず、バットを始動してもすぐ体を開かないように我慢して、ミートポイントまでしっかり待ってから最短距離でスイングをするということが必要だと分かりました。

 しかも、打撃練習では、教えてもらったとおりに体を開かずに振り抜くだけで、スタンドにボールを運べるようになったんです。監督にも『打球の質が良くなった』とも言われたので継続したいです。本当にこのインタビュー前の打撃練習で教えてもらったので、これから宿舎に帰り、夜間練習でもしっかり復習して、1日でも早く身に付けたいです。僕すぐ忘れるので(笑)。

 今日のファウルのあとの三振などもそうですが、やはり甘い球を一球で仕留めないと1軍には残れないですし、レギュラーにもありつけないと痛感しました」

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