WBCで大番狂わせ狙うオーストラリア 投手力に自信も打線はやや不安
アテネ五輪では日本に2勝
マリナーズ時代には城島とバッテリーを組んでいたローランドスミス。オーストラリア代表について「投手力には自信がある」と語る 【MLB Photos via Getty Images】
去年の秋、元マリナーズで、昨年からマリナーズのテレビ解説をしているオーストラリア代表のライアン・ローランドスミスとセーフコ・フィールドで会ったときにワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の話になると、彼はその反応を知りたがった。
どうだろう。どちらかといえば、後者かもしれない。2004年のアテネ五輪で日本は明らかに格下のオーストラリアに準決勝で敗れた。あのとき日本は、予選リーグでもオーストラリアに負けている。もちろん今回も、日本の方が総合力で勝る。世代も変わり、苦手意識が残っているとも思えない。しかし、オーストラリアの力は読み切れないものがある。決して、くみしやすい相手とは言いがたい。
投手陣の実戦感覚は「心配ない」
「特にブルペンがいい。トーナメントのような大会では、ブルペンの出来が勝敗を分ける。そこを意識して、選手が集められている」
その中継ぎのメンバーを見ると、マイナーリーガー、もしくはオーストラリアの国内リーグの選手がほとんど。しかも、リリーフ陣の柱になると見られていたアスレチックスのリアム・ヘンドリクスが25日になって辞退を決めた。これは痛いが、「それでも不安はない」とローランドスミスは言う。
「オーストラリアの国内リーグで、それなりの成績を挙げている選手ばかり。十分に通用すると思う」
ティーム・アサートンという投手は、先日終了した国内リーグで16試合に登板すると3勝0敗、防御率1.37という成績を収めている。まだ22歳のジョン・ケネディは、ブレーブスの有望株。スティーブ・ケントは今季、オーストラリアの国内リーグで14試合に登板し、防御率2.08という数字を残した。抑え候補のライアン・シールも、この2年間、国内リーグで26セーブをマークし、昨年の防御率は0.40と驚異的だった。
いずれも、メジャーリーガーではない。が、そこに「アドバンテージがある」とローランドスミスは言う。というのも、昨年11月半ばに始まったオーストラリアの国内リーグが2月に幕を閉じたばかり。彼らは実戦からさほど遠ざかることなく、WBC本番を迎えられる。
「体は出来ている。実戦感覚も心配ない」
打線の中軸は元ヤクルト戦士
「いい選手が揃っているけれど、柱となるような打者がいない…」
確かに、元東京ヤクルトのミッチ・デニングが中軸を打つという状況では底が知れる。
ただ、だからといって悲観的でもなかった。
「1試合勝負ならどんなことでも起こりうる。時には投手が、本塁打を打ったりするわけだから(笑)。さすがに、ノーヒットに抑えられることはないだろう。後は、その1本がどこで出るか。例えば、フォアボールとエラーの走者が塁上にいるときに二塁打が出れば、2点が入る。極端に言えば、ヒットはその1本でもいい。国内リーグを見ている限り、大事な場面でタイムリーヒットが出る可能性を感じる。たくさんのヒットは期待できないから、無駄にしたくないね」
投手陣には自信がある。しかし、点が入らなければ勝てない。1点でも2点でもいい。打線が取ってくれれば、あとは守りきる。まるで、2004年のアテネ五輪で日本を破ったときのような試合展開だ。