ロッテは競争と仕掛けで2強に対抗を OB薮田氏のオープン戦見どころ

スポーツナビ

立場で変わるオープン戦の位置付け

日本ハム、ソフトバンクの2強に食らいついていきたいロッテ・伊東監督 【写真は共同】

 いよいよ2月25日からプロ野球のオープン戦がスタート。3月31日の公式戦開幕に向け、各チームは戦力を仕上げていく。

 プロ野球選手にとって、オープン戦とはどのような位置付けにあるのか。千葉ロッテで主にセットアッパーとして活躍し、2度の日本一に貢献した薮田安彦氏は以下のように語る。

「1軍当落線上の選手と、自分のポジションを確保している選手では、やることが異なってきます。ピッチャーを例にとると、前者の立場だと1軍の枠に誰がどの役割で残るかを考えてしまいますし、とにかく結果を残し続けるしかない。一方、後者であれば持っていない球種などを実戦で試すことができる。置かれた立場によって、オープン戦のピッチングが変わってくるのです」

 薮田氏も現役時代のオープン戦で、持ち球ではないスライダーを何度も試し、相手チームに「今年はこの球種を使うのか」と印象付けたい場面があったという。もちろんこれはポジションを確保してからの話で、目先の結果よりも「どのように相手を抑えていくのか」を長い目で考えた戦略だった。

西野の先発再転向は大成功?

今季から先発に戻る西野 【写真は共同】

 次に、実際にオープン戦を戦っていく、今季のロッテの戦力を分析してもらった。

 昨シーズンを振り返ってみると、先発投手陣はエース・涌井秀章と、最優秀防御率を獲得した石川歩(WBC日本代表)の“二枚看板”は計算できる一方、3番手以降がなかなか続かなかった。

 ただ、今季はそこに強力な候補が加わりそうだ。昨季までクローザーを務めていた西野勇士である。

「西野投手が3番手に加わる可能性が高いと見ています。もともと先発で9勝を挙げた実績がある(2013年)だけに、『やっと戻ってきたか』と。昨季は涌井と石川がこけたらどうなるのかと思っていましたが、この配置転換は大きいですよ」

 薮田氏いわくコントロールに優れ、球種が豊富。先発向きの資質を持つ背番号29は3番手といわず、涌井、石川とともに“三本柱”として君臨する可能性は高いかもしれない。

若きスター候補が遊撃を勝ち取る?

高卒2年目・平沢は遊撃のレギュラー奪取なるか 【写真は共同】

 野手陣の最大のトピックといえば、鈴木大地の二塁コンバート。昨季は遊撃手としてベストナインに輝いたチームリーダーが動くとなれば、周囲への影響は計り知れない。特に鈴木が守っていたポジションを奪うのは誰になるのか、ファンならずとも興味が沸くだろう。

 薮田氏はその筆頭候補に2年目・平沢大河の名を挙げる。

「平沢選手が遊撃に就いてくれたらな、というのはあると思いますよ。守備に関しては1年間プロの打球を受けてみて、まだまだですけど慣れはあるのかなと。バッティングに関してはプロの投手のスピード、キレに戸惑い、相当苦しんだと思います。それでも大器の片りんは見えたので、どう伸ばしていくのか楽しみです」

 その平沢は昨冬の台湾ウインターリーグに参加した際に「秋のキャンプでやってきたことをできた」と薮田氏に明かしたという。春季キャンプ中に行われた台湾・ラミゴとの親善試合(11日)で一発を放つなど、結果も出てきている。中村奨吾らとの争いはし烈を極めるが、若きスター候補が競争を勝ち抜くか。

1/2ページ

著者プロフィール

スポーツナビ編集部による執筆・編集・構成の記事。コラムやインタビューなどの深い読み物や、“今知りたい”スポーツの最新情報をお届けします。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント