真逆の挑戦が実った金メダル スノボ家根谷、五輪目指して歩む修行の道

スポーツナビ

家根谷が金、神野が銅メダルを獲得

日本勢の金メダル第1号を獲得した家根谷(中央)。30歳を過ぎてからの新たな挑戦、大けが……。試練の末に、求めていた「結果」をつかんだ 【写真:アフロスポーツ】

 冬季アジア札幌大会の金メダル第1号は、19日に行われたスノーボード・アルペンの女子大回転で、日本の家根谷依里(大林組)が獲得した。家根谷は雪の影響でコース状況が刻一刻と変化するコンディションのなか、1本目、2本目ともにトップのタイムで滑りきり、2位に2秒差以上を付ける完勝。もう1人の日本勢、豊田亜紗(ビクトリア)は8位だった。男子では神野慎之助(早稲田大)が銅メダルを獲得したほか、鈴木湧也(山梨学院大)が8位、宮澤拓臣(大東文化大)が15位に入った。

 家根谷は順位が確定すると両手を挙げて喜び、「ずっとワールドカップ(以下W杯)で苦しいレースが続いていたんですけど、自分の滑りができれば結果は絶対付いてくると確信できていました。絶対優勝したかったのでうれしい」と歓喜のコメント。来年に迫った平昌五輪の出場権獲得へ「これを機に、弾みにできれば」と気持ちを新たにした様子だった。

ソチ五輪を逃して 挑んだ新たな取り組み

1本目、2本目ともにトップのタイム。今大会では力の違いをしっかりと見せつけた 【写真:ロイター/アフロ】

 家根谷は2006年トリノ五輪、10年バンクーバー五輪に出場した32歳のベテラン。しかし油の乗った年齢で迎えた14年ソチ五輪は代表の座を逃してしまった。当時は「4年後のことは考えられない」心境だったが、今、彼女の目には平昌五輪出場、そしてそこでのメダル獲得しか映っていない。

「まずは今シーズン、しっかりW杯で着実に決勝に残って上位に戦えるようにして次のシーズンを迎えられるようにして。そうすると『メダルを取りに行きます』と言いきれると思うので」

 ソチ五輪を逃したあと、家根谷は新たに後藤夏樹コーチとタッグを組むことを決断する。しかし最初は「(技術的に)今までやってきたことと逆のことを言われて、最初はなかなか信頼できないというか、歩み寄ることができませんでした」。

 それまで上半身を固定した滑りに磨きをかけていた家根谷に対し、新コーチはむしろ上半身を動かして使う滑りを提案した。ベテランの域に入ってから、自らの体に染み付いた動作を正反対に変えるのは大変だ。ましてや全日本選手権を幾度も制し、五輪出場2回という輝かしい実績もある。それでも家根谷は新しいことにチャレンジする道を選んだ。

「言ってることが反対だから逆に『ちょっとやってみよう』という気持ちにもなりました。やってみたら滑りが安定したりすごいステップアップできたので、この人についていこう、というのが強くなりました」

1/2ページ

著者プロフィール

スポーツナビ編集部による執筆・編集・構成の記事。コラムやインタビューなどの深い読み物や、“今知りたい”スポーツの最新情報をお届けします。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント