タイガー・ウッズは完全復活できるか? 本格復帰戦で見えたスイングの課題
入念に準備した復帰戦 そこで喫した予選落ち
PGAツアーに本格復帰したタイガー・ウッズ。初戦は予選落ちに終わったが、「完全復活」はできるのか!? 【写真:USA TODAY Sports/アフロ】
昨年10月中旬のPGAツアー開幕戦、「セーフウェイオープン」にエントリーをしていたが直前になって取り止め。12月にウッズ自らがホストを務める「ヒーローワールドチャレンジ」で公の競技に出場。そして、2015年8月の「ウィンダム選手権」を最後に腰のケガで戦列を離れていたウッズは、ついに先週ツアー復帰を果たした。
舞台に選んだのは過去7回の優勝経験があり、今回が16回目の出場となる「ファーマーズ・インシュランス・オープン」。ウッズの初日は、サウスコースのティーオフから始まった。タフなコースセッティングの中、前半は我慢のゴルフを展開するが、後半はドライバーショットが乱れ4オーバーの133位と出遅れ。
2日目は難易度の低いノースコース。ドライバーショットの調子を戻し、フェアウェイキープは14分の10まで改善(初日は14分の4)、スコアをイーブンパーとしたが、4オーバーの110位タイで予選落ちとなった。
ラウンド内容は及第点 課題は「調整力」
デイやジョンソンをアウトドライブする場面も見られ、スイング改造も成功しているように見える。課題は「調整力」にある 【写真:USA TODAY Sports/アフロ】
ホールによっては自分より10歳以上も若い飛ばし屋のジェイソン・デイ(オーストラリア)やダスティン・ジョンソン(米国)をアウトドライブするドライバーショットを見せ、得意のロングアイアンでピンに絡むショットを放つ場面もあった。
「(昨年12月の)ヒーローワールドチャレンジのときは、バーディもたくさん取ったけれど、ひどいミスもたくさんした」と語ったウッズ。今回の復帰では15年の復帰時に見られたようなアプローチイップスのような動きは一切見られず、距離感も安定していた。
また球筋も高低を打ち分けてピンに寄せ、パッティングでも5メート前後の距離をいくつか沈めるなど、かなり実践的な調整を行っていたことがうかがえる。
スイング全体にも変化が見られた。ウッズは腰のケガをする以前、ショーン・フォーリーコーチのもとで左サイドに軸を置いたスイングに取り組んでいた。このスイング理論に、ウッズは自分の動きを合わせる形でスイング改造を行っていたのだ。
現在はクリス・コモという若手コーチに師事しており、体の動きよりもクラブの運動量を増やし、腰に負担の少ないスイングへ移行していた。ラウンド中、故障した腰を気にするそぶりは見られず、取り組んでいるスイングと体の相性は良さそうだ。
このように技術面に関しては大きな問題は見られなかった。私が気になったのは試合中の調整力だ。
「ショットもパットも昨日より良かった」と2日目終了後に自身のラウンドを振り返った。確かに1日目に出ていたドライバーショットのミスは2日目には修正されていた。しかし優勝争いをする中では、これを同じ日の中でも修正できなくてはならない。
初日のバックナイン、12番から3連続ボギー、15番をダブルボギーとオーバーパーが止まらなかった。練習日のドライバーショットは左に曲がっていた。それを初日前半では修正できていたが、バックナインでは右に曲がりはじめ、それを修正しようとまた左に引っ掛けていた。ミスをした後、すぐさまスイングと球筋の修正をする。ウッズはまだその領域まで、調整力を戻すことができていない。