早実・履正社勢以外にも逸材が勢ぞろい センバツ注目プレーヤーを一挙紹介

松倉雄太

西の最強スラッガー・安田 【写真は共同】

 第89回選抜高校野球大会(3月19日開幕/兵庫・阪神甲子園球場)の出場校が27日に決まった。履正社(大阪)の安田尚憲(2年)と若林将平(2年)、早稲田実(東京)の清宮幸太郎(2年)と野村大樹(1年)。昨秋の明治神宮大会決勝を戦った両チームの3、4番が注目される今大会だが、他のチームにはどんな選手がいるのか。秋季大会の成績やパフォーマンスなどから探ってみたい。

日大三・櫻井のスライダーは一級品

 まずは履正社、早稲田実と秋に対戦した4人の投手をピックアップ。
 
 東京大会決勝で清宮から5三振を奪ったのが日大三の櫻井周斗(2年)。27日の選考委員会でも、「140キロ超の直球と縦のスライダーが一級品だった」と高く評価された。最後は野村にサヨナラ本塁打を浴びて悔しい負けとなったが、「変化球はスライダーだけで戦えた」と本人は収穫を口にする。

 秋は44回2/3を投げて防御率1.81。さらに投球回数を大きく上回る58個の三振を奪った。奪三振率に換算すると11.69。出場校の主力投手全体でもトップに立つ。主将として開会式では清宮の隣に並ぶが、オーラでも負けるつもりはない。

打倒早実を目指す2人の好投手

福岡大大濠の絶対的エース・三浦 【写真は共同】

 明治神宮大会で早稲田実に敗れたのが静岡(静岡)の池谷蒼大(2年)と福岡大大濠(福岡)の三浦銀二(2年)。

 池谷は最速144キロの直球が武器の本格派左腕。高校入学時から腰痛に苦しんだが、「自分達の代になった時に投げられるようになれば」と我慢しながら回復に努めた。体幹トレーニングで体を強化し、昨夏前にようやく本来の投球ができるようになった苦労人だ。エースの座をつかんだ秋は14試合で9完投。99回1/3を投げて114個の三振を奪った。「楽しみ」と話していた早稲田実戦では6安打に抑えたものの、野村に対して4四死球を与えてしまい、課題が残った。

 三浦は福岡大会から明治神宮大会までの13試合を一人で投げ抜いた右腕。今大会出場校で唯一控え投手の登板がない、チームの絶対的エースだ。九州大会では3試合連続完封をマーク。明治神宮大会でも明徳義塾を完封した。110回を投げて与四死球28と少ないのも三浦の特徴の一つ。だが最後の試合で清宮に4四死球を与え、野村には本塁打を浴びるなど3安打4打点を献上してしまった。

 池谷と三浦。左右の好投手が打倒早稲田実を目指す。

安定感抜群の仙台育英・長谷川

仙台育英・長谷川は抜群の安定感を誇る 【写真は共同】

 履正社にリベンジを目指すのが仙台育英(宮城)の長谷川拓帆(2年)。明治神宮大会では6回を3安打に抑えながら8四死球と苦しみ降板した。だが崩れたのはこれだけで、残りの登板8試合は与四死球を4個以内にとどめている。防御率0.89は出場校の主力投手全体でもトップクラスの数字。センバツで安田、若林との再戦はあるだろうか。

熊本工・山口は150キロを狙う

 今大会は昨夏の藤平尚真(横浜/現東北楽天)や今井達也(作新学院/現埼玉西武)など、150キロの数字で魅せる投手はまだいない。ただ、今後その可能性を持った選手はいる。その筆頭が熊本工の山口翔(2年)だ。秋の時点での最速は149キロで、本人も「(150は)春に出したい」と九州大会の時に語っていた。

 やや荒れ球気味の球筋で、1試合11四死球や10四死球を与えた試合もあった。それでも秋最後の試合となった九州準決勝で無四球完投。2失点で敗れはしたが、「秋一番の投球ができた」と自信をつかんだ。プロ注目の右腕がセンバツのマウンドにどんな姿で現れるか。

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著者プロフィール

 1980年12月5日生まれ。小学校時代はリトルリーグでプレーしていたが、中学時代からは野球観戦に没頭。極端な言い方をすれば、野球を観戦するためならば、どこへでも行ってしまう。2004年からスポーツライターとなり、野球雑誌『ホームラン』などに寄稿している。また、2005年からはABCテレビ『速報甲子園への道』のリサーチャーとしても活動中。

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