台風被災地を慰問した銀次の次なる約束 「首位打者になって帰ってきたい」
銀次のロングティーの打球を目で追う子どもたち。笑顔と歓声が広がった 【写真:BBM】
台風10号の爪跡残る岩泉球場
楽天イーグルス岩泉球場の看板は倒壊したまま。水害のすさまじさを表していた 【写真:BBM】
岩泉町の一大観光スポットである龍泉洞から注がれる小本川は、すっかり穏やかな流れを取り戻していた。ほんの数カ月前に氾濫したとは思えなかったが、川沿いに積み上げられたがれきの山や流木が現実を物語っていた。住民にとっては、まさに悪夢の出来事だったに違いない。「8月に台風の被害に遭ったとき、プロ野球のシーズン中にもかかわらず、銀次さんは真っ先にこの町に駆けつけてくれたんです」。この町に住む男性は、当時のことを思い出しながら目頭を熱くしていた。
数日前に同僚・嶋基宏とともに楽天イーグルス岩泉球場を視察したという銀次は、声を沈めてこうつぶやいた。
「当時と何も変わっていなかった。ショックです」
無理もない。住民の生活が第一であり、球場の復旧が後回しになるのは仕方のないことだった。それでも銀次は「1日でも早くあの球場で野球ができるようにしてあげたい」とかみ締めるように言った。