錦織に出てきた余裕 貫禄のストレート勝ちで3回戦へ
“くせ者”相手に冷静な試合運び
2回戦を突破した錦織圭。冷静な試合運びで、徐々にペースをつかんだ 【Photo:ロイター/アフロ】
第1セット、相手のサービスゲームで始まった第1ゲームで上々のスタートを切った。15−15からの打ち合いで、バックハンドのウイナーをダウンザラインに奇麗に通し、さらに逆クロス、バックハンドのクロスと、このゲームで3本のウイナーを決めていきなりブレークと、早々にいいイメージをつかんだ。シャルディーは、時速200km越えのファーストサーブからワンツーパンチを仕掛け、さらに打ち合いに入ってからもフォア、バックとも角度をつけた攻撃を繰り出して油断ならない。第4ゲームにはブレークポイントを握られ、第5ゲームは15−40からのチャンスを逃がすなど、ことは簡単に進まなかったものの、錦織はそんな道筋も織り込み済みだっただろう。第9ゲームの打ち合いで2度目のブレークを成功させて先手を奪った。
試合慣れしたベテラン、特にフランス人選手は、フルセットの長丁場で試合を組み立ててくる。一喜一憂はスタンドの日本人大応援団に任せ、錦織はメリハリの効いたプレーを心掛けたようだ。
第2セットは、懸命に先手をうかがうシャルディーに対し、錦織が受けてさばく展開に。第1ゲームで、シャルディーが2度チャレンジを成功させてブレーク発進したが、錦織は少しも慌てず、すぐに第2ゲームをブレークバック。こうした流れに精神的な余裕を感じさせた。この日は、晴天ながらも涼しいくらいの気温で、そんな条件も実力差をあぶりだしていった。第5ゲームで再びブレークを許したものの、第6ゲームはじっくりと攻めながら5本目のブレークポイントをもぎ取る落ち着きを見せた。第3セットも第1ゲームをブレークされたがすぐ追いついて、ぴったり離れないのだから、シャルディーの戦意も萎える。完全な精神戦の勝利だった。
3回戦は世界121位のラツコと対戦
終わってみれば貫禄のストレート勝ち。相手に攻め込まれる場面があるも、すぐに対応した 【Photo:ロイター/アフロ】
過去2戦2勝の相手を退ければ、センターコートで、ロジャー・フェデラー(スイス)との対戦が待っているかもしれない。
「フェデラーは当たりたい相手ではありませんが、試合そのものはともかく、テニスをやっていて面白いので、対戦するのは楽しみです」
その先には、このところ善戦している世界ランク1位のアンディ・マリー(イギリス)と、視界は大きく開けてきた。優勝を期待されながら大会途中で無念の棄権となった昨年の楽天オープンの時のように、テニスはいつも「好事魔多し」ではあるが、大いに楽しみな流れになってきた。
文:武田薫
全豪オープンテニス
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