錦織、悲願のグランドスラム初制覇へ 勝利への武器は“疲れないラケット”

高樹ミナ
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提供:スポナビライブ

超えるべき高い壁

ウォンバットを抱く錦織(左)。シーズンの幕開けを告げる全豪オープンが16日から始まる(写真右はラファエル・ナダル) 【写真:ロイター/アフロ】

 短いオフを終えたプロテニスツアーが、いよいよ2017年シーズンを迎える。華々しいグランドスラム初戦の舞台は真夏のオーストラリア・メルボルン。毎年シーズンの幕開けを告げる「全豪オープン(OP)」(1月16〜29日)だ。

 シーズン最初の大舞台である上、酷暑に見舞われるこの大会は、選手たちにとってコンディショニングが難しく、番狂わせが起こりやすいともいわれている。現在世界ランキング5位、プロ10年目の節目を迎えた錦織圭(日清食品)も悲願のグランドスラム初制覇へ向けて虎視眈々(たんたん)。だが行く手には、初めて世界ナンバーワンで臨むアンディ・マリー(イギリス)や王座奪還を目指すノバク・ジョコビッチ(セルビア)、あるいは世界ランキング3位のミロシュ・ラオニッチ(カナダ)、同4位のスタン・ワウリンカ(スイス)ら強敵が立ちはだかる。錦織の超えるべき壁は依然として高い。

前哨戦で準優勝も左臀部に痛み

気掛かりなのは左臀部の痛み。昨年の楽天OPや、年明けのブリスベン国際でもその影響が出ただけに、やや不安が残る 【写真:ロイター/アフロ】

 錦織陣営が全豪OPの前哨戦に選んだのはATPワールドツアー250のブリスベン国際だった。同大会7度目の出場にして初めて決勝へ進んだ錦織は、昨年末のツアーファイナルでも勝ったワウリンカを準決勝で下したものの、大会を通じて好調だったグリゴル・ディミトロフ(ブルガリア)にフルセット(2−6、6−2、3−6)で敗退。勝てば自身12個目のタイトルだったが、惜しくもそのチャンスを逃した。

 しかしながら、ブリスベン大会はあくまでも全豪OPに向けた調整の場であり、肝心なのは結果よりも内容。その点で言えば、オフの練習で力を入れてきたファーストサーブの確率向上やネットプレーを取り入れた攻撃を実戦で試せたのは錦織にとって好材料だった。

 ただ唯一、気掛かりなのは左臀部(でんぶ)に出た痛みで、本人は「大したことはない」と言っているが、昨年10月の楽天ジャパンOPでも臀部の痛みを理由に2回戦の途中で棄権した経緯もあり、やや不安が残る。

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著者プロフィール

スポーツライター。千葉県出身。 アナウンサーからライターに転身。競馬、F1、プロ野球を経て、00年シドニー、04年アテネ、08年北京、10年バンクーバー冬季、16年リオ大会を取材。「16年東京五輪・パラリンピック招致委員会」在籍の経験も生かし、五輪・パラリンピックの意義と魅力を伝える。五輪競技は主に卓球、パラ競技は車いすテニス、陸上(主に義足種目)、トライアスロン等をカバー。執筆活動のほかTV、ラジオ、講演、シンポジウム等にも出演する。最新刊『転んでも、大丈夫』(臼井二美男著/ポプラ社)監修他。

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