【ノア】中嶋が杉浦を破りGHC王座V3に成功 潮崎&谷口が初防衛 大原は初戴冠

高木裕美

内田会長が新年のあいさつ。「今年のノアは『NOAH the REBORN』を合言葉に、このリングを青より光り輝くエメラルドグリーンに」 【写真:前島康人】

 プロレスリング・ノアの2017年初興行となる7日の「The First Navig.2017」開幕戦、東京・後楽園ホール大会では、GHC3大タイトルマッチが行われ、1077人を動員。今年のテーマである「NOAH the REBORN」を象徴するかのように、セミとメインは30分を超える白熱した戦いとなった。

 試合前には所属選手がリング上からあいさつ。昨年からノアの経営に関わる内田雅之会長が「今年のノアは『NOAH the REBORN』を合言葉に、先輩たちが築き上げたこのリングを、青より光り輝くエメラルドグリーンにする」と、ライバル団体を意識した発言で、ノア再生への意気込みを語った。

V3の中嶋「再生だけではダメ。その先の光を」

中嶋が“ノアの強さの象徴”杉浦を倒しV3に成功 【写真:前島康人】

 メインイベントのGHCヘビー級選手権試合では、王者・中嶋勝彦が前王者の杉浦貴を破り、3度目の防衛に成功した。

 両者は昨年10.23横浜で同王座を賭けて対戦し、中嶋が勝利してGHC王座を初戴冠。だが、12月に鈴木軍から離脱し、一匹狼となった杉浦が、「時代をまたオレに戻してやる」と王座挑戦を表明したことから、2カ月半ぶりのリマッチが決定した。

「ノア全員をぶっ潰す」と意気込む杉浦は、キックで迫る中嶋に反則のパンチ。さらに雪崩式ブレーンバスターで投げ、逆エビ固め、アンクルホールド、ターンバックルめがけてのジャーマンスープレックス。25分過ぎにはついにオリンピック予選スラムを繰り出すも、カウント2。中嶋も頭突きで流れを変え、垂直落下式ブレーンバスターを見舞うと、張り手連打からのスーパーキック8連発。崩れ落ちた杉浦にジャーマンスープレックス、ハイキックとたたみかけ、バーティカルスパイクでトドメをさした。

 過去にGHC王座V14という記録を打ち立てた“ノアの強さの象徴”杉浦を倒した中嶋は「時代を変えるって大変。もう、過去に戻すつもりはない。再生だけではダメ。その先の光をつかまなきゃ、何も始まらない」と、自分が先頭に立って、ノアを明るい未来へ引っ張っていくと宣言。「もう、誰もオレを止められない」と、2017年もずっとベルトを守り抜くと誓った。

ヘビー転向の小峠、意地見せるも潮崎の豪腕に散る

潮崎&谷口に、ヘビー転向した拳王とマサ北宮組が挑戦表明 【写真:前島康人】

 GHCタッグ選手権試合では、潮崎豪&マイバッハ谷口組が、丸藤正道&小峠篤司組を下し初防衛に成功。試合後、早くもマサ北宮&拳王組が次期挑戦者に名乗りを上げた。

 潮崎&谷口組は昨年12.3ディファ有明大会で鈴木軍の強敵KES(ランス・アーチャー&デイビーボーイ・スミスJr.)を破って初戴冠。一方、小峠は12.24後楽園で突如ヘビー級転向を表明し、GHCジュニアのシングル&タッグの2冠を返上した。

 いきなりタイトル挑戦のチャンスを与えられた小峠に、客席からは厳しい声が容赦なく浴びせられる。そして、王者組もヘビー級の洗礼だとばかりに、交互にボディースラム5連発。さらに潮崎のバックドロップ、谷口のスピードの乗った串刺しラリアットなどに悶絶する。しかし、25分過ぎ、潮崎の逆水平チョップ連打で青息吐息となった小峠が、ついに頭突きを炸裂。お互いの額が一瞬でカチ割られ、流血するほどの衝撃に場内も騒然。すかさず丸藤が虎王を突き刺し、小峠のキルスイッチが決まるも、谷口にカットされ3カウントならず。谷口が丸藤を場外で完全に分断する間に、潮崎が小峠をゴーフラッシャー、ショートレンジ豪腕ラリアットで仕留めた。

 試合後、この日の第4試合でモハメド ヨネ&齋藤彰俊組に勝利した北宮&拳王組がリングイン。小峠より先にヘビー級転向を表明していた拳王は「小峠がヘビー級転向一発目でタイトルマッチって、おかしくないか。このノアをさらに大きくするのはこのオレだ。そのベルトに挑戦させろ」と直訴。これに対し、潮崎も「オレは血で今、先が見えない。でも、明るい未来は見えてるんだ」と呼応。ヘビー級に挑む拳王に「並大抵の覚悟ではないと思う。でも、真っ向勝負で受けてやる」と応じ、両軍のタイトルマッチが決定的となった。

大原は自分がノアジュニアを盛り上げると宣言

大原がムイビエンで石森を捕獲し、ジュニア王者初戴冠 【写真:前島康人】

 小峠が返上し空位となったGHCジュニアヘビー級王座決定戦では、大原はじめが石森太二を破り、悲願の初戴冠。試合後、原田大輔が次の挑戦を直訴した。

 石森は過去に同王座史上最多記録となるV10を樹立。昨年は新日本マットにも登場し、華麗な空中殺法で注目を浴びた。一方、大原は「ケンオーハラ」としてタッグを組んでいたパートナー・拳王がヘビー級転向を表明。タッグを解消し、新たなステージへと挑むことになった。

 大原は開始早々、場外でのジョン・ウーで石森を鉄柵へ吹っ飛ばすと、ケブラドーラコンヒーロ、バックブリーカー、変形の逆片エビ固めで背中にダメージを与える。15分過ぎ、石森の450°スプラッシュをヒザ剣山でブロックした大原は、フィンランド式フォアアーム、ファイヤーサンダー、バックブリーカーからムイビエンで捕獲。石森からギブアップ勝利をもぎ取った。

 試合後、マイクを握った大原は「バイプレーヤーじゃない、脇役じゃない、ケンオーハラじゃない大原はじめが、このノアジュニアをムイビエンにしていく」と決意表明。バックステージでは、昨年、大原同様にタッグパートナーの小峠を失った原田が「ベルトを賭けてオレと勝負だ」と呼びかけると、大原は「やりましょう」と即答。「原田を倒して、さらに大きな声でチャンピオンだとアピールする」と、層が薄くなったノアジュニアを自分たちの熱い戦いで盛り上げると訴えた。
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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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