【新日本プロレス】内藤哲也のIC王座に挑む棚橋弘至 17年は「ニュー棚橋でテッペン取る」

スポーツナビ

1.4東京ドームで内藤の持つIC王座に挑戦する棚橋にインタビュー 【スポーツナビ】

 新日本プロレスの年間最大イベント「WRESTLE KINGDOM 11 in 東京ドーム」(1月4日、東京ドーム)が近づいてきた。メインイベントではIWGPヘビー級王座を懸け王者オカダ・カズチカと挑戦者ケニー・オメガが対戦する。

 またセミファイナルでは、IWGPインターコンチネンタル(IC)選手権試合として、2016年のプロレス大賞MVPを獲得した王者・内藤哲也に、昨年まで6年連続で東京ドーム大会のメインに立った棚橋弘至が挑戦する。

「100年に一人の逸材」、「新日本プロレスのエース」として、団体のV字回復を牽引してきた棚橋。16年もテレビドラマや映画への出演、メディアへの露出も増え、積極的にプロモーション活動も行い、プロレスのイメージアップに貢献してきた。しかし一方でリング上では、ドームでオカダとのIWGP戦に敗れて以来、中邑真輔が返上したIC王座を懸けた決定戦でオメガに敗れ、ニュージャパンカップでは1回戦敗退。5月には左肩剥離骨折、二頭筋断裂の大ケガを負い欠場に追い込まれると、復帰戦となったG1クライマックスでも、後一歩のところで決勝進出を逃した。

 17年は新たな気持ちで臨むためにドーム大会から、コスチューム&入場曲を一新。そして新たなステージに入ろうとする棚橋に、16年の振り返りやドーム大会への意気込みなどを聞いた。

16年は『次のステージ』に進んだ1年

2016年は「次のステージ」への第一歩を踏み出したと話す 【写真:SHUHEI YOKOTA】

――棚橋選手にとって16年はどのような1年でしたか?

 良い1年でしたね。変化の1年。『次のステージ』に進んだなと思っています。

――『次のステージ』とは?

 各カテゴリーには段階があるじゃないですか? 今までは『プロレス』の印象を良くし、お客さんが会場に来て楽しんでもらうことをしてきましたが、これからは次のステップに向かうところだと思っています。

――会場に訪れる観客も増え、プロレスの人気が戻ってきているけど、棚橋選手としてはまだまだ先があると?

 まだまだいけます! うちの(木谷高明)会長も、WWEに対抗意識を燃やしていますが、オレも全然それは悪くないと思っています。目標は高い方が良く、日本でやることもたくさんある。例えば、5大ドームツアーをどこかの団体がやりましたか? プロレスにはまだまだ先があるんです! それが伸びシロです。

――つまり『次のステージ』に上るための入り口に立てたのが16年だったと?

 そうですね。僕の立ち位置は変わってなくて、新日本プロレスの窓口が棚橋。それが僕1人だけでなく、真壁(刀義)さん、本間(朋晃)さん、(獣神サンダー・)ライガーさんと、テレビの地上波に出ている選手も増えていますから。

――16年はメディアへの露出も増えましたが、周りの反応も変わりましたか?

 中高生男子が見ているテレビ番組に出演できたことは大きかったですね。その世代は小さい頃、まったくプロレスに触れずに大きくなってきた子たちなので、そこに気づいてもらえたのは実感として大きいです。
 特に地方の会場はお子さんや家族連れも多く、家族で安心して観戦してもらえるようになったのかと思います。

――地方への波及が実感として見えてきたと?

 僕はマーケティング論の本を読んで学んだのですが、現在はツイッターなどのSNSで選手が情報発信していますが、地方に関してはテレビや新聞、雑誌、タウン誌などの影響力がまだ強いようです。半数の人が1日1回ググらない(※インターネットを利用しない)という話ですからね。SNSにも力を入れていますが、地上波や紙媒体を通じて、地方へのプロモーションはずっと続けていきたいと思っています。

ムーブメントには時差があり、棚橋が“スティル”エース!

――メディアの露出で言うと、今年はドラマや映画にも出演し大活躍でした。

 テレビ慣れしていない感じは若干否めないですが……(苦笑)。ただ、時代劇に出たり、映画に出たりするのは夢があると思います。今のプロレス業界のためにもなりますけど、10年後、20年後のプロレス界のためにもなりますよね。

 やはりプロレスを盛り上げる1番の方法は「いい人材を集めること」。オカダのように身長が高くて運動能力が高い選手がいるのは奇跡に近いことだと思うんです。大体、小さい頃から運動神経がいい子は、サッカーや野球を選んでしまう。田中将大選手やダルビッシュ有選手、香川真司選手のような活躍している選手を見て「あんな風になりたい」と憧れを抱くわけですよ。それこそWWEならロック様(=ドウェイン・ジョンソン)のように、ハリウッドのムービースターになるわけじゃないですか? プロレスラーも、その次のステージを見せられれば、「プロレスラーになればこうなれるんだ」と、子供たちの夢への直線を見せられればと思っています。

――棚橋選手としてはそういう道筋の先駆者になることを意識していると?

 そうですね。ムーブメントには時差があるわけです。今の盛り上がりが何年か後の地方の盛り上がりになるし、今の盛り上がりが数年後のプロレスラーの道しるべになる。情報の伝わりにディレイ(遅れ)があるから、棚橋が今年1年振るわなかったとしても、3年後、4年後に活躍が遅れてくるので、まだ地方会場で見ている人たちにとっては、棚橋がエース。“スティル”エースなんです!
 16年は本業で振るわなかったみたいなことも言われますけど、全然修正可能なんです。すべてはドーム次第です。

――その“遅れ”を感じたのは最近ですか?

 いや、それは昔、山本小鉄さんも同じようなことを言っていました。「3年後を見て練習しろよ」と。「今日のトレーニングは明日強くなるためでない。必ず結果は後から出るからな」という言い方をされていて、プロモーションにしても、じわじわ広がっていくものだと思っていました。

 あとオレなりに今の良い流れを生んでいる要因を分析したのですが、そこはプロレスファンの力が大きいと思っているんです。プロレスファンはいろいろなところに隠れているわけですよ。僕もそうだったのですが、プロレスと卒論をつなげたいと思ったり、何かとプロレスを絡めたいと思っている人が多いと思うんです。例えば、自分の仕事と、新日本プロレスのコラボをしたいと考えていたけど、今までは社会的評価が低くて、プレゼンが通らなかったけど、プロレスがテレビでの露出があったり、「プ女子」が現れたりと、再び「プロレス」という言葉が広まりつつある。そこでプロレスに関する案件も通りやすくなり、いっぱい出てきているんだと思います。

――一つまり今までは影に隠れていたプロレスファンが前に出てきていると?

 プロレスファンとしては「プロレスが盛り上がっていて面白そう」と言われたらうれしいじゃないですか? そういうところで、いい相乗効果が生まれていますね。

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