立浪和義氏が山田をMVPに推す理由 2016年を彩った選手を振り返る

週刊ベースボールONLINE

大野の成長が日本ハム連覇の鍵

徹底マークを受けながら2年連続トリプルスリーを達成した山田をMVPに 【写真:BBM】

 今回は2016年日本球界のベストナインを私なりの視点で選んでみようと思います。

 まずピッチャーですが、これはやはり北海道日本ハムの大谷翔平投手ですね。勝利数だけなら福岡ソフトバンクの和田毅投手、千葉ロッテの石川歩投手、広島の野村祐輔投手、ジョンソン投手らのほうが上ですが、日本球界最速を出し、さらに“二刀流”での打者としての貢献を加えて考えると、やはり外せません。DHも大谷選手でいいのではないでしょうか。

 難しいのがキャッチャーです。実際のベストナインはセ・リーグが広島の石原慶幸選手、パ・リーグが日本ハムの大野奨太選手ですが、石原選手が106試合、大野選手が109試合出場と試合数が少な過ぎます。近年はメジャーのように捕手を併用、あるいは休ませながら使うチームが増え、今年規定打席に到達した捕手は12球団で巨人の小林誠司選手だけでした。

 ただ、私はそれは違うのではないかと思います。やはり捕手は可能な限り全試合に出てほしいですね。かつての東京ヤクルトの古田敦也さん、谷繁元信・前中日監督、ホークス時代の城島健司君、巨人の阿部慎之助選手と“黄金時代”と言われる時期を築いたチームには必ず絶対的な捕手がいました。1年だけでなく継続して使い、チームを作るためには、攻守の能力に加え、経験、さらに投手陣、守備陣、首脳陣との信頼関係が必要だからでもあります。今回は、これからの成長に期待して日本一捕手の大野選手を選んでおきましょう。ある意味、彼の成長が連覇のカギを握っていると言っていいのかもしれません。

外野は来季へ期待込みで秋山と柳田

 内野ではファーストは完全復活した広島の新井貴浩選手、セカンドが2年連続トリプルスリーのヤクルト・山田哲人選手です。セカンドは広島の菊池涼介選手もいますが、攻守走すべてで考えれば、やはり山田選手ですね。セ・リーグばかりになってしまいますが、ショートは首位打者となった巨人・坂本勇人選手、サードは久々の3割に到達した同じく巨人・村田修一選手とします。

 外野は素晴らしい選手がたくさんいるので難しいですね。ただ、ライトは今年の顔と言ってもいい広島の鈴木誠也選手でいいんじゃないでしょうか。あとは、普通なら横浜DeNAの筒香嘉智選手が挙がるのでしょうが、私は守備、走塁面も加味して西武の秋山翔吾選手、福岡ソフトバンクの柳田悠岐選手にします。同じチームなら攻守で心強い外野手です。ただ、今季は2人とも納得いかない数字だったと思いますし、これもやはり来季への期待込みですね。

 最後にMVPも選んでみましょう。先ほども言ったようにインパクトなら二刀流で日本一にもなった大谷選手ですが、私はヤクルトの山田選手を選びたいと思います。プロの世界で1年だけでもムチャクチャ難しい3割30本塁打30盗塁を2年連続でクリア。日本では誰も達成できなかった大記録ですが、私の現役時代の経験からも、3つのうちの一つ、打率3割を2年続けるだけで、どれだけ大変か身に染みて分かります。

 しかも、優勝に向け、チームにも勢いがあった15年と違い、今年は前後の打者に故障が多く、警戒された山田選手への攻めが非常に厳しくなっていました。その中で故障を抱えながらしっかり数字を残せたことは本当に素晴らしいことですし、大谷選手の二刀流以上の価値があるように私は思います。

立浪氏が選出したベストナイン

投手:大谷翔平
捕手:大野奨太
一塁手:新井貴浩
二塁手:山田哲人
三塁手:村田修一
遊撃手:坂本勇人
外野手:鈴木誠也、秋山翔吾、柳田悠岐
指名打者:大谷翔平
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