楽天入りの細川、正捕手の座へ意欲十分 日本一5度の経験を若手へ注入だ

週刊ベースボールONLINE

12月5日、楽天への入団会見を行った細川。ベテランらしい落ち着いた表情からは自信もにじみ出ていた 【写真:BBM】

 まだ、終わるわけにはいかない。コーチ就任への打診を受けたベテランはそれを断り、新天地での現役続行を決断。同一リーグへの移籍となった細川亨(福岡ソフトバンク→東北楽天)は、新たに加わるチームにどんな影響を与えるのだろうか。

現役プラス東北が一番の理由

 2013年の日本一以降、3年連続でBクラスに沈む楽天が“経験”という名の大きな補強に成功した。青森県出身で、日本一を5度経験しているベテラン捕手が新たに加わった。17年シーズン、チームが大きく変わる可能性を秘めている。

──12月5日に楽天への入団会見を行い、「東北でもうひと花咲かせたい」という言葉もありました。

 埼玉西武からソフトバンクに移籍したのが10年。まさか2度も移籍会見をするとは(笑)。でも、東北に帰ってこられてよかった。今はそんな心境ですね。

――あらためて、移籍に至るまでの経緯をお聞かせください。

 まだこの年齢(今季終了時点で36歳)で、肩も肘も問題ない。ソフトバンクからコーチ就任の打診があったわけですけど、僕としてはまだプレーできる。コーチをやる時期ではない。そんな思いが強かったんです。現役にこだわって退団を決めたところ、楽天さんのほうから声を掛けていただきました。現役で、それプラス東北で。僕にとっては一番でした。

――早々にオファーがあったと。

 そうですね。大きな決断になるのでいろいろなことを考えましたよ。でもやはり、青森が近くなりますし、地元の方々も試合に見に来る機会も多くなる。青森の子どもたちにも、より近い場所で夢を与えることができる。それも楽天に来る大きなきっかけとなりましたね。

――ソフトバンクの選手たちの反応はいかがでしたか。細川選手が他球団に行くということは、彼らにとっての脅威にもなりますが。

 周りからは「本当ですか?」という反応がほとんどでしたね。僕は「コーチとしてお前らに教えるよりは、対戦したほうが楽しいだろ」と(笑)。互いに考えることですよね。彼らは僕のことを知っていますし。配球面については、長谷川(勇也)なんかとも「亨さんならこう攻めるんでしょ?」とか、いろいろと深い話をしたこともありますし。その上で対戦できるということは楽しみでもありますし、勉強にもなるはず。

――対戦する上で、細川さんがワクワクするような選手はいますか。

 中村晃じゃないですかね?ここで詳しい話はできないですけど(笑)。バットコントロールに優れ、逆方向に打てて、ホームランもある。とてもいいバッターなので、どう抑えるかを考えないと……。また、内川(聖一)とは横浜時代から、イースタン(・リーグ)の試合でたくさん対戦していますし、調子が悪いときにはアドバイスしたこともあります。まあ、打たれることも多々あるでしょうけど、知っていることが多い分、とても楽しみですね。

バッテリーは人間性重視

試合の合間に投手とコミュニケーションを取る。さりげない一言でも投手にとっては大きいものだ(写真左がソフトバンク時代の細川) 【写真:BBM】

――では、来季からチームメートとなる楽天の選手たちをどう見ていたのでしょうか。まずは打線から。

 岡島(豪郎)と銀次は特にイヤな存在でしたね。岡島が出て銀次がかえすというのが一つの得点パターンだったと思います。今季は彼らの調子がいまひとつだったので、チームとしてもなかなか調子が上がらなかったのかなと感じています。

――リードすることになる投手陣については。

 若くていいピッチャーはたくさんいるんですよ。特に先発はいいと思います。ただ、その先発が崩れたり、疲れが出てきたときに中継ぎの力が必要になる。投手“陣”ですからね。お互いにカバーし合いながらやっていかないといけません。素質を持っているピッチャーがたくさんいるので、その能力をうまく引き出してあげられればと思います。

――バッテリーを組む際に大事になることは何でしょうか。

 僕が重視してきたのは人間性。まずはそれを見極めたい。人それぞれ、生まれも育ちも違うわけで、いろいろな考え方の選手がいる。それらを把握しながら、より良い形に持っていければいいですね。自分自身をどう見ているのか。言葉のやりとり、僕の一言で大きく違ってくる部分もある。そこは慎重にやっていかなければいけないんですけど、試合ではそうも言っていられない。ときには大胆さも必要になってくるでしょう。要はアメとムチですね。

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