【UFC】若武者達には明るい未来しか見えない! ホロウェイ、チェ・ドゥホの正念場

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視界良好! マックス・ホロウェイの歩む王道

9連勝を飾り、ついにタイトルへの道が開けたホロウェイ 【Zuffa LLC】

 日本時間12月11日(日)に開催される「UFC 206」のメインイベントでは、マックス・ホロウェイ(米国)対アンソニー・ペティス(米国)のフェザー級暫定王者決定戦が行われる。

 当初メインイベントとして予定されていたダニエル・コーミエ(米国)対アンソニー・ジョンソン(米国)のライトヘビー級タイトルマッチがコーミエの負傷欠場により中止となり、ホロウェイ対ペティスがメインイベントに昇格した格好だ。

 さらにUFCでは、フェザー級正王者のコナー・マクレガー(アイルランド)からのベルト返上を受け、現フェザー級暫定王者であるジョセ・アルド(ブラジル)を正王者に昇格させると同時に、今回のホロウェイ対ペティスをフェザー級暫定王者決定戦として位置づけた。

 この変更措置で最も漁夫の利を得そうな選手といえば、これまで実に9連勝を飾りながら、タイトルへの道がまったく見えてこなかったホロウェイであろう。ホロウェイは次のように語っている。

「まるでドミノ倒しだよね。でも僕にとってはいいチャンスがめぐってきたと思っている。ペイ・パー・ビュー大会での初めてのメインイベントだし、暫定とはいえ初めてのタイトルマッチだ。これまで長い道のりだった」

「この階級の先行きはとても見えにくくなっていた。最初は今回の試合だって、勝ったからといってその後どうなるんだろう、と思っていたんだ。何せ正王者のマクレガーは休むと言っているし、アルドは暫定王者に居座っているしね。でも、おかげで視界は良好になった。この試合の勝者が次にアルドと戦うことになる」

 視界が開け希望いっぱいのホロウェイは、これから進むべき道を次のように語る。

「そもそも、『UFC 205』でも、今回の『UFC 206』でも、僕とアルドが戦うという話もあったんだ。でもアルドが断ってきた。今回勝てば、アルドもいよいよ逃げられないことになる。そしてアルドに勝てたとすれば、僕の次の標的はマクレガーだということになるね」

「僕は25歳になったばかりで、まだまだ成長中なんだよ。だからマクレガーと戦えるなら、ライト級でもウェルター級でも構わない。ヘビー級戦にしようというのなら、それも受けて立つ。僕はハワイアンなんだ。ポリネシアの男は、いくらでもデカくなれるんだよ」

 ホロウェイが今回勝てば、2013年8月のマクレガー戦で判定負けを喫して以降、継続してきた連勝記録が10勝の大台に乗る。これまでUFCで2桁の連勝記録を持っているのは、アンデウソン・シウバ(ブラジル)、ジョン・ジョーンズ(米国)、ジョルジュ・サンピエール(カナダ)、ホイス・グレイシー(ブラジル)、デメトリアス・ジョンソン(米国)だけである。とはいえ本人は、連勝記録については意に介していない。

「そのことについてはあまり深く考えないようにしているけど、そういうふうにいわれると何だかすごいよね。でも、レジェンドたちに比べて僕はまだ若い。もちろん僕も、将来的にはレジェンドになりたいから、まあ正しい道を歩んでいるということなのかな。ただ、今はそんなことは気にせず、0勝0敗の選手のつもりで試合に臨む。連勝記録は老後に孫に自慢する楽しみとして取っておくよ」

「強さの秘訣は“猛勉強”」とチェ・ドゥホ

“コリアン・スーパーボーイ”チェ・ドゥホは、アジア人初のチャンピオンに突き進む 【Zuffa LLC】

「UFC 206」にはさらに、日本でもおなじみ“コリアン・スーパーボーイ”ことチェ・ドゥホ(韓国)も出場する。チェ(25)は現在12連勝中で、UFCではこれまで3試合をいずれも1ラウンドノックアウトで勝利している。特に今年7月の「TUF 23フィナーレ」で、くせ者チアゴ・タバレス(ブラジル)をあっさり仕留めたことで、チェに対するアメリカ人ファンの見方がはっきりと変わってきた。

「タバレス戦の前に、多くの人から『これは厳しい試合になる』『君の試金石になる』と言われた。でも僕には最初から、タバレスを1ラウンドでノックアウトできると思っていた」とチェは語っている。

 今大会での対戦相手はこれまでチェが挑発を繰り返してきたベテランのカブ・スワンソン(米国)だ。

「アルドやマクレガーを挑発してもいいんだけど、僕はそんな非現実的な計画を口にするタイプの人間ではない。スワンソンのことは長年見てきた。強い相手だと思う。彼を第1ラウンドで仕留めることができれば、マクレガーやアルドを挑発してもいいと思う」

 チェは自らの強さの秘訣(ひけつ)について、次のように自己分析している。

「パワー、テクニック、スピードの3要素に加えて、プラスアルファの秘密があるんだよ。だからこそ僕は“コリアン・スーパーボーイ”と呼ばれているんだ。僕は相手が誰であろうと、ノックアウトできると思っている。そして、その光景を頭の中でありありとイメージ化している。僕のイメージの中ではスワンソンも1ラウンドでノックアウトされている」

「大事なことは哲学なんだ。医者になるために猛勉強が必要であるように、僕はMMAファイターにも猛勉強が必要だと思っている。マクレガーにもそんなところがある。彼と僕とでは性格は違うけど、同じ哲学があると感じる」

 これまでUFCでスワンソンをフィニッシュした選手といえば、フランキー・エドガー(米国)、リカルド・ラマス(米国)、ホロウェイしかいない。スーパーボーイが現在フェザー級ランキング4位のスワンソンに勝てば、一気にタイトル戦線に殴り込むことは確実だ。

「これまでUFCにはアジア人のチャンピオンがいなかった。僕が初のアジア人王者になる。アジアの選手もUFCでチャンピオンになれるということを、僕が証明したいと思う」

マニア垂涎のカードが目白押しの「UFC 206」

「UFC 206」ではマニア向けの注目カードが並ぶ 【Zuffa LLC】

「UFC 206」ではこのほか、“ファイト・オブ・ザ・イヤー”候補、UFC屈指の殺し屋同士の決闘、MMAファン必見のクレイジーファイトとしかいいようのないドナルド・セラーニ(米国)対マット・ブラウン(米国)、さらに、陸軍国境警備隊所属の現役軍人ファイターであるティム・ケネディ(米国)の2年ぶりの復帰戦、いったんは引退を発表していた若き天才児ジョーダン・ミーイン(カナダ)のほぼ2年ぶりの復帰戦など、やや濃厚な味付けのカードが山積みだ。ニューヨーク進出記念イベントとなった「UFC 205」と、ロンダ・ラウジー(米国)出場の年末の「UFC 207」に挟まれて、華やかさではやや損をしている感もあるこの「UFC 206」ではあるが、マニアがうなるシーンが続出となりそうだ。(文:高橋テツヤ)
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