会場演出にもこだわり独自の世界観を 花澤社長、小野寺Pに聞く「KNOCK OUT」の全貌

長谷川亮

新キックボクシングイベント「KNOCK OUT」の仕掛け人である花澤社長(右)と小野寺プロデューサーに話を聞いた 【スポーツナビ】

 株式会社ブシロードが仕掛ける新キックボクシングイベント「KNOCK OUT(ノックアウト)」の旗揚げ興行が近づいてきた。
 4日には『KNOCK OUT Vol.0』(12月5日/東京・TDCホール)の全対戦カードが発表され、梅野源治が元ラジャダムナンスタジアム認定王者と、那須川天心が現ルンピニースタジアム認定王者との対戦が決まった。「本当に強い者が立つリング」と謳う通り、ともに強敵との戦いに注目が集まる。

 今回は「KNOCK OUT」の仕掛け人となる株式会社キックスロード代表取締役の花澤勇佑さんとプロデューサーの小野寺力さんに、大会に向けてのここまでの反応やイベントの全貌を聞いてみた。

「ノックアウト」のパッケージを作る

新日本プロレスのプロモーションなどにも関わっていた花澤社長。「まずはパッケージを作る」と戦略を立てる 【スポーツナビ】

――「KNOCK OUT」の旗揚げがいよいよ1カ月後に迫ってきましたが、大会の反響・手応えはいかがでしょうか?

花澤 今は何が当たるのか探りながらプロモーションをしています。ウェブの方では早い段階でフェイスブックも1万いいねを超えましたし、効果も出てきています。ツイッターよりフェイスブックの方が親和性は高いのかなとやっていて思いました。そこはプロレスと違うところで、プロレスは逆にツイッターはすごく相性がいいのですが、フェイスブックの相性はそんなに良くないんです。その感覚で最初は僕もツイッターを強めにしたんですけど、フェイスブックの方が反応がよかったので、やっぱり違うんだなっていうのを実感しました。「KNOCK OUT」に興味を持つような、昔キックボクシングやK-1、PRIDEを見ていた人たちからすると、たぶんフェイスブックの方が合っているのかもしれません。

――新日本プロレスで話題を呼んだラッピングバスや電車での広告など、従来のキックボクシングでは見られなかったPR方法については何かお考えですか?

花澤 地上波や池袋パルコのビジョンでCMも流しています。ツイッター、フェイスブックもそうなんですけど、どれがいけそうなのかを今選定している感じで、もしどこかでラッピングバスをやって効果があればもっとやっていくでしょうし、12月大会に関してはまだやらないと思いますが、交通広告に関してはどれだけ反応があるか一度やってみたいと思っています。これは会見でも言いましたが、新日本プロレスはもともとあったもので、パッケージとしてでき上がっていたので、まず「KNOCK OUT」もパッケージとして作るところを1番最初にやりたいと思います。

梅野、天心がともに敗れる可能性はなくはない

「本物だけが上がれるリングにしたい」と話すのはマッチメークを担当する小野寺プロデューサー 【スポーツナビ】

――4日の会見で梅野選手と那須川選手の対戦カードも発表となり、遂に旗揚げ大会の全カードが出そろいました。

小野寺 天心の相手は現役のルンピニースタジアム・スーパーフライ級チャンピオンで、他にもBBTVというスタジアムでもスーパーフライ級のベルトを持つ2冠王で、ベテランの猛烈なファイターです。2014年にはルンピニースタジアムの年間最高試合賞も獲っていて、倒れたりもするんですけど、そこからの巻き返しがすごくて逆転KOしたりする選手です。過去にフライ級も獲って2階級制覇をしていて、サウスポーで左ミドルを得意にしています。これまで200戦ぐらいやっていますし、今回は“天心最大のピンチ”です。

――那須川選手はタイ人と初めての試合ですし、段階を踏むやり方もあったと思うのですが、いきなり現役王者が相手だったので驚きました。

小野寺 たしかにそういう案もあったのですが、RISEの伊藤隆代表と話をした時、「どうせやるなら本物とやりたい」というお話があり、この相手に決定しました。

――先日ラジャダムナン王者となった梅野選手も日本で5戦無敗、“日本人キラー”というべきシリモンコン選手が相手となります。

小野寺 シリモンコンは元スーパーバンタム級チャンピオンですが今も普通にラジャダムナンで試合をしていて、KO勝ちもしています。旗揚げ戦ですのでKOを見せるために10年前ランカーだった選手を連れてくるというやり方もあったとは思いますがそうではなく、やはり本物同士の戦いを見せたいし、本物を見せればお客さんも感動すると思います。今回は6試合中4試合にタイ人が出ますが、最悪日本人が4敗する可能性もあると思っています。

花澤 僕もドキドキしています。僕はこの事業をブシロード全員の前でプレゼンして、梅野源治と那須川天心、この2人がスゴいから見てほしいと言ったのですが、その2人がいきなり負けてしまうことがあればどうしようと(苦笑)。でも、そうなってもおかしくない相手です。

小野寺 強い者同士が戦えばスゴいものが生まれますし、そもそも強い者同士が戦うのが格闘技です。「KNOCK OUT」は選ばれた、本物だけが上がれるリングにしたいです。

花澤 小野寺さんがおっしゃったように、“強い者しか上がれない”というのが「KNOCK OUT」のコンセプトなので、そのコンセプトがブレないようにやっていきたいです。その上で木谷(高明、ブシロードグループ代表)が言っていましたが上位概念を作ること。上位概念を作るのであれば、やはり“最強”でないとダメだろうと思っています。いろんなところから「あそこのレベルは世界最高だね」「最強だよね」って言われるようにしていきたいです。

今後も6、7試合で 会場の演出にも注目

――旗揚げ大会は全6試合となりましたが、今後も6あるいは7試合というのが「KNOCK OUT」の基本的なフォーマットになるのでしょうか?

小野寺 土日や祝日の大会であれば、多少試合が増えることはありますが、4時間、5時間、6時間という興行にはならないように作っていきます。まずキックボクシングという競技を広めて、たくさんの団体がある中でも本物が集まるリングにして、夢のあるカードを提供していきたいと思います。その上で、ワンデイトーナメントは考えていませんが、いずれタイトルも作っていきたいと考えています。

――試合のコンセプトは分かりましたが、会場での演出に関しては何か従来と変わるところが出てくるのでしょうか。

花澤 やはり選手に感情移入ができないと面白くないと思っているので、そこは煽りVなどでしっかり伝えていきたいと思います。PRIDEの煽りVを見た時の興奮や熱気、それを「KNOCK OUT」でも作りたいです。会場案に関しても、選手たちはテンションが上がって、お客さんも“何かスゴいぞ”と思う、そんなアイデアが出ています。格闘技というよりコンサートとかに近い会場・演出方法になると思います。

小野寺 演出に関してはいろいろ盛っていく方法もあると思うんですけど、我々は基本シンプルに、シンプルだけどちゃんと世界観があってカッコいいものを作りたいねという話をスタッフとしています。

花澤 会場に足を踏み入れたら「KNOCK OUT」の世界が広がっている、そんな風に持っていきたいと思ってますので、当日楽しみにしていてください。
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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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