ハーフナーが過ごした“暗黒の10月” 不振を脱し、チームとともに再浮上なるか

中田徹

開幕から3連勝と好スタートを切ったが……

開幕から好スタートを切ったADOデンハーグだったが、その後は2分け6敗と不振に陥った 【Getty Images】

 11月5日(現地時間)の京セラスタディオンはADOデンハーグがヴィレムに1−0とリードする中、5分間のアディショナルタイムに入った。

 開幕3連勝という最高のシーズンスタートを切りながら、その後は2分け6敗という極度の不振に陥ったチーム状況もあり、サポーターから「アディショナルタイムが長すぎる!」というメッセージのこもったブーイングがこだまする。

 しかし、ADOデンハーグは危なげなくリードを守り切りタイムアップ。その瞬間、選手たちはガッツポーズを作ったり、抱き合ったり、握手をしたりして喜びを表現していた。だが、ハーフナー・マイクはチームメートのシェラルド・ベッカーが寄ってくるまで、その場に座り込んだまま立つことができなかった。

「だいぶ疲れましたね。勝ててよかったです。長かった」
 
 心底安堵(あんど)した表情で、ハーフナーは笑いながら語った。

残留争いに足を踏み入れ、チームは危機的状況へ

0−2で敗れたアヤックス戦での失点は国内で失笑を買うほどだった 【Getty Images】

 開幕戦でチームは3−0でゴー・アヘッド・イーグルスを下し、ハーフナーも2ゴールを決める活躍を見せた。第4節のヘラクレス戦(1−1)でもハーフナーは今季3点目を決めた。ここまでハーフナーは絶好調だった。しかし、パネンカと呼ばれるチップシュートでPKを外したのも、この試合だった。

 インターナショナルマッチウイークを挟んだフェイエノールト戦、ゼリコ・ペトロビッチ監督はハーフナーをベンチに置いた。後半12分から投入されたものの、1−3の完敗という結果に終わり、本人も試合後にフラストレーションを爆発させた。

「3日前にちょっと体調を崩しただけ。俺はできるって言ったんですけれど……。(監督が)何を思ったか、よく分からない。結果的にこうなったら、イライラしかない。非常にムカついています。せっかく首位争いのゾーンにいたのに。なんで俺を出さないんだっていう話です」

 以降、ADOデンハーグは守備陣が崩壊し、ハーフナーにボールが届かなくなる。

 第9節のアヤックス戦(0−2)はDFがスローインから崩され、オランダ国内で失笑を買った。GK、最終ライン、中盤、アタッカー陣――。全てのポジションが批判にさらされた10月だった。さらに中国人会長と現地役員たちの確執といったピッチ外での騒動も話題になった。いつの間にか残留争いに足を踏み入れ、ADOデンハーグは「危機」と報じられるようになった。

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著者プロフィール

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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